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Footage12「月の愛し子」

『マイグラント、次は世界樹第三層……フヴェルゲルミルです。

 いよいよ最上層間近……高度としては、途中で成層圏を突破し、中間圏と熱圏の境界線までとなっています。

 つまりここを突破すれば間もなく宇宙空間へ飛び出すわけですが……あなたは生粋のドラゴニュート、酸素呼吸などは必要ありません。

 ガイア製薬の動きは鈍っているようで、未だに第一層で交戦を続けています。ですが、私が確認できる限りではフレス・コピーの大半が大破、ラタトスクも残り数機まで追い詰められているようです。

 私たちは……とにかく急ぎましょう』
























 世界樹内部・第三層フヴェルゲルミル

『マイグラント、ここを突破すれば外部からの支援が出来ます。

 ですから、この層は残っている弾薬と燃料で乗り切ってください』

 小さく頷きで返し、上昇していく。すると、今までは最低限木の内部という体裁を保っていた壁面が金属質なものへと切り替わり、間もなく、第一層で見たものよりも重厚な隔壁に到達する。

『私がハッキングで突破します。いつも通りに触れてもらって――』

 フィリアがそう言うと、隔壁が勝手に開いていく。

『招かれている……?警戒しましょう、マイグラント』

 開かれた隔壁の先へ飛んでいき、キャットウォークに着地する。それを進み、施設内部へ辿り着く。

『マイグラント……あなたをサポートすることも、あなたが私のために戦うことも……もうすぐ、終わってしまうのですね。

 感慨深く思います……そして、前にも言った通り……あなたならば、私の目的を果たしてくれる……少なくとも、立ちはだかる障害を全て突破してくれると確信しています』

 壁面に沿って建てられた施設内を上へと進んでいき、機の中央部へ戻るように出ると、木の内部とぴったりな大きさのターンテーブル式のエレベーターが現れる。

 こちらが踏み込んだことに合わせ、エレベーターは起動して上昇していく。

『アースガルズはもう、私たちを迎撃する余力は殆ど残っていないようですね。それとも……残ってはいても、あなたにいくら数で押そうとしても無駄だとわかって、ガイア製薬の対処に注ぎ込んでいるのでしょうか』

 エレベーターは静かに上昇を続ける。

『敵性反応!』

 フィリアが叫び、こちらが反射的に後退すると、淵源を思わせる蒼光が光線となって、すぐ傍を薙ぎ払う。続いて、こちらとそう変わらないサイズの二足歩行兵器が降下してくる。へレノールの機体に良く似ているが、あちらと違い動力部は別のもので、装甲が蒼昏く染まっていた。

「特異点を確認。最終迎撃フェーズを開始する」

『アースガルズ幹部……エイクスュルニルです!撃破してください!』

 エイクスュルニルは飛び上がり、ブースターを吹かして浮遊する。右手に持つ超大型のレーザーライフルをチャージし始め、その段階に合わせて展開していく。

『凄まじい出力……』

 こちらが二連四連装ミサイルを発射すると、あちらは左肩の球形シールドを展開して全方位を守りながらこちらから位置を離そうと飛んでいく。レーザービットを展開し、真正面から強力にブーストしながらアサルトライフルのトリガーを強く引く。圧力に対してエイクスュルニルは冷静に左にブーストを行って広い空間に逃げつつ、距離を再び離していく。その最中でチャージが完了し、即座にそれを発射してくる。当然大きな銃口を持っていたが、それからすら想像できないほどの超極太の光線が吐き出され、こちらが回避すると、まるでホースから出ている水のように曲がりながら追尾し、こちらに連続の回避を強要してくる。

『掠りでもすれば致命傷になるほどの威力……マイグラント、長期戦は不利です』

 光線を撃ち切り、遠目にも見えるほど派手に放熱し、オーバーヒート状態になったことが窺える。続いて左腕の発進装置が展開され、異常に長い刀身がしなりながら薙ぎ払われる。余りの威力にこちらのアラートが喧しく唸り、その警告通りに躱す。重ねてあちらが右肩の武装を展開し、蒼光を帯びた超低速ミサイルを撃ち出す。

『全ての武装が一撃必殺の威力を秘めている……私たちのような例外を、ラッキーパンチでも何でも、とにかく破壊して止めるための、最後の切り札……!』

 ビットを展開してミサイルを撃ち抜こうとするとレーザーが弾かれ、残るビットによる攻撃も球形シールドに弾かれる。

 こちらがアサルトライフルを続けて連射していると、放熱を終えたレーザーライフルを溜めずに連射してくる。光線が地面に着弾する度に多段爆発を起こし、掠めて少しずつダメージを与えてくる。

「特異点……まだ間に合う。お前も狂人なら、世界樹の攻略を止め、ガイア製薬を迎撃せよ」

 一段階チャージした光線を撃ち出し、高速な弾速によって回避を許されずに撃ち抜かれ、多段爆発で押される。そこに左腕の薙ぎ払いが繰り出され、バリアで軽減しながら飛び上がり、連続したブーストで詰めていく。エイクスュルニルはチャージしながら余裕を持って離し、それでもアサルトライフルとビットで継続的に圧力をかけながら、しつこく詰め続ける。するとエイクスュルニルは胴体部から、恐らくは生命エネルギーを転化した衝撃波を繰り出してこちらの接近を拒絶し、その影から左腕で薙ぎ払い、そこに重ねて超極太の光線を撃ち出す。右に二連続で瞬間的にブーストしてから、一気にブーストして最接近し、光線を放つ横から蹴り入れて一撃で姿勢を崩し、そこにフルチャージのパイルバンカーを撃ち込む。当然正確に胴体を居抜き、エレベーターに叩きつけられてから連鎖爆発で追撃される。

『エイクスュルニルの撃破を確――』

 爆炎に包まれ崩れていた機体からそれらが消え、装甲が修復されて立ち上がる。

『再起動……!?』

「戦闘を続行する」

 既にこちらは接近しきり、立ち上がった瞬間に蹴り飛ばす。エイクスュルニルは怯みつつも再び飛び上がり、レーザーライフルのチャージを再開する。

『マイグラント……!ガイア製薬が第一層を突破しました!撃破を急いでください!』

 アサルトライフルをリロードしながら、最後の二連四連装ミサイルを発射し、破却する。ミサイルは球形シールドに阻まれ、ビットがエネルギー補給のために戻ってくる。

『くっ……』

 焦るフィリアを余所に、こちらは継続してアサルトライフルを撃ち込んでいく。シールドに着弾する度に発生装置周辺が震え、耐久限界に近づいているのだろうことがわかる。あちらは超低速ミサイルを乱射しながら後退していき、左腕で薙ぎ払う。

 回避しながら最後のマガジンをアサルトライフルに捩じ込み、再び真正面から特攻してフルオートで乱射していく。迎え撃つように超極太の光線を撃ち出し、こちらは生命エネルギーを転化した衝撃波を起こして相殺しつつ、視界が互いに大きく乱されたその一瞬の隙に下方から回り込み、シールド発生装置にありったけの弾丸を撃ち込み、弾切れになった銃本体を投げつけ、遂に発生装置が耐久限界を迎えて自壊する。

「……」

 撃ち切り、向きを合わせながら後方に飛び退こうとするエイクスュルニルに連続ブーストで一気に近寄り、右拳で頬を撃ち抜く。

『マイグラント!?』

 激しくメインカメラを揺さぶられてあちらの動きが鈍り、腹部に左蹴りを重ね、もう一発右拳を鼻先に叩き込んでから裏拳であらぬ方向に向かせ、コンボの止めにフルチャージしたパイルバンカーを再び叩き込む。今度は肩口近く、右胸を貫いて吹き飛ばし、杭の連鎖爆発で右腕をもぎ取る。

『いい調子ですマイグラント!やはりあなたこそが、私の……!』

 エレベーターに叩きつけられたエイクスュルニルへ、再び一気にブーストして最接近し、蹴り込んでから連続でパンチを叩き込んでパイルバンカーのリロード時間を稼ぎ、チャージしてから左肩口に杭を撃ち込み、杭を引き戻す動作の中で左腕を掴んで引き千切る。あちらが胴体部から輝きを発して衝撃波を起こそうとするが、ブーストをかけた右足での蹴りで吹き飛ばし、空中で衝撃波を放ちながら自爆する。

「戦闘継続……不可能……」

 最後に派手に爆発し、砕け散る。

『流石です、マイグラント!

 ですが……』

 斃れたエイクスュルニルに視線を向けると、フィリアが続く。

『もはや獣人という体すら成していない……意識を載せただけの、無人機……』

 エレベーターが停止し、視線の先にもう一つ、小さなエレベーターが見える。

『知恵を持った生き物が恐れるのは、終わり……』

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