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カレンダーでクリスマスイブに気が付いた

作者: 季山水晶

なろうラジオ大賞6 応募作品です。

だいたい、考えてみろよ。好きな人と街で偶然出会う事なんてある訳ないだろう、物語でそう書いているのは興味を引かすためにワザとそう言うシチュエーションにしてあるんだよ。たまたま出会うなんてあってたまるか。


俺の叔父さんが言っていたよ。叔父さんはモテていたそうだが、一切そういう事はなかったんだって。


そうだよな。自分だけに都合の良い話なんてある訳ないよな。


だからこそ、そう言うのは偶然じゃなく必然って思うことにするんだ。


四年前の十二月二十日に別れた彼女。好美さん……


本当に些細な事で揉めて俺から連絡を取らなくなってしまった。つまらない男の意地でね……クリスマスイブの日、20時に駅の東口で待ち合わせにも行かなかった。


俺の部屋のカレンダーはその時から捲られてはいない。


身勝手だったよな、好美さんが一人で、夜の暗い駅で待っているかなんて全く気にしていなかった。だって、その時の俺は、直ぐに好美さんが後から謝って来ると思っていたんだから。


でも、彼女からの連絡は一切途絶え、ブロック迄されてしまっていた。


最初の二年……長かったけど、今日こそは謝って来るかと待っていると直ぐに過ぎるものだ。


三年目……好美さんに彼が出来たと風の噂で聞いた。俺は真実を確かめられなかった。


四年目……漸く自覚が出来たんだ。俺は好美さんが好きだった。そして、それは過去形ではなく今もそうだ。今更嘆いても、後悔しても遅すぎた。


そう言えば、今日は何日だ?カレンダーを見た俺は今日がクリスマスイブだったことに気が付いた。


好美さんと待ち合わせたのは確か四年前のクリスマスイブの日で、駅に20時東口だったよな。


奇跡なんて起こるわけがない。叔父さんが言っていたことが全てを物語っている。でも、そこへ足を運ばざるをえなかった。期待していたわけではない、俺が行きたかったんだ。


東口に20時、好美は立っていた。でも、待っているのは俺じゃない、俺のはずがない。


でも、俺の眼から涙が零れ落ちた。彼女が待っていてくれたという逸話を自分の中に作りそれで満足する事にしたんだ。


名残惜しむように彼女を眺めていると、彼女は俺に気付いた。驚いた事に俺の元へとやって来て平手打ちを一発!


「遅いよ、35,040時間の遅刻だよ」


涙目ながら笑顔でそう言った。


なんと、彼女は俺との時間を再び動かしてくた……


「遅刻してごめんな」


俺達のカレンダーは再び動き出した。

読んで下さりありがとうございます。

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