眺めては
庭を眺めていたら、
今、南天の実は朱色。
重そうに枝は垂れて、
次の風では折れそう。
美しく色づくのには、
危険な重さも厭わない。
そう告げているのか、
今、南天の実は。
南天を眺めていたら、
今、隣に杏子の太さ。
支えてくれるのか。
麻の紐を通す。
杏子の枝に支えられ、
南天の実が起き上がる。
ありがとうね。
いいよいいよと杏子。
杏子を眺めていたら、
今、春を見る花芽の節。
支える枝もありながら、
冬を越える準備かと。
この冬も冷たさ強く、
この夏の裏返しかと。
春の頃、秋の頃、
季節は何を思ったか。
季節を眺めていよう。
今、季節の声を聞こう。
庭の木々の合間から、
ふらり、かまきりの卵。
来年もよろしくと、
頼るばかりの言葉が出た。
カマキリも何を思ったか。
コニファーの裏側で。
コニファーでもいい。
クリスマスツリーなら、
モミの木だろうけど、
軽い飾りつけなら、
久しぶりに飾ろうか。
少しだけ光らせて。
庭を眺めていたら、
クリスマスに辿り着いた。
初めは眺めているだけ。
何か目に留まるもの。
そこだけ見に行くと、
そこから繋がってゆく。
自分の暮らしにしても、
そのようなことか。
日々はぼんやりしている。
でも、繋がっている。