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『朗読者の応援』

作者: 成城速記部

 速記者が、テープ起こし者と勝負することになりました。両者は商売がたきといえば商売がたきですので、もともとあんまり仲がよくないのです。なぜ商売がたきといえば商売がたきなどという回りくどい言い方をするのか、はっきり商売がたきと言わないのかといいますと、速記者のほうは、テープ起こし者を敵視してなどいないのです。速記とテープ起こしは、そもそも仕事の内容が違いますから。しかし、テープ起こし者のほうは、速記者から仕事を奪うために、同じ仕事であるかのように吹聴するのです。このたびの勝負も、そこが原因でした。

 ちなみに、テープ起こしには、練習というものがありません。テープ起こしの技術は、テープを起こすときの技術であって、本番そのものです。速記の練習は、速記を書く練習と、速記を読む練習と、両方あって、それはそれは大変なものなのです。

 速記者の側に、朗読者が応援につくことになりました。朗読者は、速記者の速記のために朗読しますが、テープ起こし者には何の関係もありません。つまり、速記者に勝ってほしいのです。テープ起こし者に勝たれては、困るのです。

 さて、勝負の日、速記者の後ろには大勢の朗読者が並びました。テープ起こし者の後ろには、誰もいません。速記者は、非常に心強い気持ちになったのでした。



教訓:速記者は、朗読者の「頑張れ」とか「いいぞ」という不規則発言に惑わされ、実力を発揮できなかったという。


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