俺と愉快な仲間達。
「ねぇ、あれなに?」
朱が指さした先のドアから煙が漏れていた。
「あの部屋から出火か?とりあえず逃げないと」
と優が言った。が、外の様子が何かおかしい。
「ねぇ、あっちみて」
華音が体育館のほうを指さした。
「どうした?...あれ、誰もいない」
「今の時間ってバスケ部が練習で使ってるよね?」
「体育館に煙が充満してるし...煙が出始めてるのは...校長室?」
「っそういうことか」
優と華音の会話を聞いていた薫がものすごい勢いで立ち上がった。
「僕がこの部屋を出たらドアの隙間を埋めて。そうしたら窓をあけて僕がもどってくるまで待ってて」
「え、ちょっと、にぃに、ねぇ、」
「いいから早く!!じゃないとみんな消えちゃうよ!!」
「どういうこと?」
奏が質問したのも無視して薫は走って出て行った。
「にぃ...兄さんがあんだけ焦ってるの久しぶりにみた...」
奏は呆然としていた。
「薫が嘘ついてるとは思えないから取り合えず隙間埋めようか」
「だね」
などと優と大翔が話していると、
「まって、俺がやるから、二人とも窓開けてきて」
と碧が言った。
「う、うん...」
二人はいつもと様子の違う碧に驚きながらも部屋の窓を開け始めた。
そんな教室の中で朱はぼーっと空を見ていた。
「あぁ、そういうことか」
碧のシーリングが終わった頃、先ほどまで考え込んでいた華音が淡々と話し始めた。
「薫さんはたぶん校長室に行ったんだと思う。煙がでてる場所が校長室ってことは、その煙を止めることができるのも校長室だけだし。そんで、隙間をうめるのはたぶん煙を吸ったり体が消えるとかそういうのを防ぐためだとおもう。窓を開けるのはたぶんだけど換気のため。少し煙が入ってきちゃって朱ちゃんの体がほんの少し透けてるから綺麗な空気を入れたいんだと思う。校長室も窓あいてるから煙出てるけどこの距離じゃ無害になるぐらいは薄まると思うし」
「はえ~、なるほど」
体がもと通りになったと同時に朱の様子が元に戻った。
「朱ちゃんもどった」
「どゆこと?」
「大丈夫しらなくていいよ。それより薫さん大丈夫かな」
心配そうな顔で華音が言った。
「兄さんなら大丈夫だよ。あの人いざとなったら動けるから」
そのころ薫は。
「失礼します」
少し駆け足で校長室の奥へむかっていった。
「校長?誰とはなしているんですか?」
「あぁ、薫君かい。父と話をしているのだよ」
校長はずっとだれもいない椅子に向かって話している。
「父さん、3年C組の薫君だよ。ほら、挨拶して」
この様子をみて薫は確信した。校長には見えないものが見えているということ。幽霊か幻覚かは定かではないが何かしら不思議なものだというのはわかる。
「え?べつにいいじゃないか。能力者じゃないものだろうと道徳心が高くてそんはないだろう?」
「あの、校長、そこには誰もいませんが...」
「何を言っているんだい。冗談はやめておくれよ。ここにいるじゃないか」
今はそれよりもやらなければならないことがあることを思い出した薫は、校長が父らしきなにかと話している隙をみて煙を出している機械を止めた。すると校長が刃物を持ってものすごい勢いで駆け寄ってきた。
「やめろ!」
「ごめんね校長」
薫は校長の手から刃物を奪い、首の後ろ側を少し強く締めた。すると校長は気を失い、その場にバタッと倒れた。
「よし、教室帰るか」
そうつぶやいた薫は、校長をおぶって教室にむかった。
「ただいま~もう大丈夫だからあけて~」
「はいよ~」
薫の呼びかけに碧がドアを開けた。
「ひえぇまいったまいった。校長みえない何かと話してるんだもん。霊か幻覚だけど、少し様子がおかしかったから幻覚かな。たぶん校長は幻覚にへんなふうに操られてたんだと思う。僕もそういうことあったし」
「あれ?統合失調症ってやつ?」
と優が言うと
「そう、それだと思うんんだ。なんかさ、最近様子はおかしいなって思ってたけど、さすがに大丈夫かなって思って。結果はこれだけど」
と薫が答えた。
「ふ~ん」
少し間が開いて華音が聞いた。
「てか校長どうするの?ここに連れてきたはいいけど、病院連れてく?それとも警察が先?」
「警察が先かな。通報しておいて」
「てかバスケ部の人たちどうなったの?やばくない?」
「消えてるように見えるけど今さっきゴールが動いたから透けた者同士で見えてるんだと思う。透けてるのは朱ちゃんが綺麗な空気浴びまくったら元に戻ったのと同じ要領で帰り道にはどうにかなるんじゃないかな。」
「へ~」
その後校長は警察に連れていかれたらしい。が、薫の証言と言動により精神病院送りになったのだとか。
後日
「ねね、奏。このまえなんかすごいことになってた時さ、薫くんのことにぃにって呼んでたけど、やっぱ家で呼んでるの?」
「家でも呼んでないよ。昔はにぃにって呼んでたから、焦ると出るのかもね」
「ふ~ん。なんかちっちゃい奏ってかわいい。てかさ、なんで薫くんは校長が統合失調症だってわかったの?」
「それは...」
「おっはよ~!!!!」
「おはよう」
「おは」
薫がもともと統合失調症なのがみんなに知れ渡るのはまたいつかの話。
「やっぱりいいね。家族がいてくれるのって」
すんとした表情で薫が言うと奏は
「急にどうしたんだよ」
なんて笑いながら聞いた。
「べつに?なんでもない。家族がいてくれるのって実は普通のことじゃないんだなって思って」
「兄さん今日様子おかしいよ」
「そんなことないよ」
楽しい日常がずっと続けばいい。そう思うことも多いだろう。でも、永遠には続かないから。
一日一日を大切にしたい。
これで本編は終わりです!一年ちょっと、ありがとうございました!!




