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インターネットには気をつけよう!!

作者: 紅漠

 今日も今日とてネットの海はかさを増し、混沌じみた様相を見せる。


暖かい家族の記録—例えば赤ちゃんとかかな?—


冷たい事件の記録—いつ見ても殺人事件は悲しいな—


 けれどもそれらはあくまで記録。色をもつ記憶にはなりはしない。0と1で編まれた情報。記憶を引き摺り出す道具でしかない。


 でもね、情報は大切だよ。だって私はそれを使ってみんなの鬱憤を晴らさせてあげているんだから。


[アイドルが男と付き合っていた]

[あの人気俳優が昔はいじめに加担していた]

[そのインフルエンサーのせいでとある人が自殺した]


 暴露しよう。表に出そう。彼らが残した情報を繋ぎ合わせて。不確定なところは想像、いや妄想で。


[あいつは何人とも関係を持っていた]

[こいつはファンに無理やり関係を迫っていた]

[そいつは家族に暴力を振るっていた]


 燃料をドボドボと。汚い油に火をつけて。リークという名の死刑宣告。


 私の役目は鬱憤ばらし。窮屈な社会を回す歯車様たちのストレスの捌け口。政治家たちは対象外にしよう。ゴミ箱に政治のポスターは似合わない。


 こじ開けるのはみんなのアイドル。ウラオモテですらないただの一面。誰かを愛する、人のアタリマエ。だからこそ、それはよく燃える。


 アタリマエを手に入れられず、アタリマエを認められず、もはやそれはヘドロのような醜悪さ。燃やして捨てるべきはこっちだろう。


 何はともあれ


[人気アイドルの熱愛報道!!]

[国民的アイドルの隠し子発覚!!]


 さあさ、獲物は出したぞ、武器を持て。殴りかかるこちらは悪さ。悪意で塗り固められた棍棒で彼らをひたすら殴り抜け。


 我らが信者と罵る者たちが立ち塞がる。


『アイドルも人だ』と。


 彼らは正しい盾を構えながら我らを押し留める。


 けどね?けれどね?知っているかい?


 盾は守るための物なのさ。狂気じみた棍棒の乱打は持ち手の腕を端折り、叩き割る。


 あぁ、君らはナイフを持っちゃいけないよ?


 だって、感情には理性で立ち向かなくちゃ!目の前の野蛮人どもに理性の大切さを教えてやれ!


 理性もなにもわかっちゃいないのに


『だって、これが人なのさ』と。


 何も分からぬ奴らが喚く。都合の良い時だけ、理性ぶって知的生命体かぶれて、都合の良い時だけ、情動ぶって獣物になる。


 自分たちの定めた定義すらまともに理解できぬ我らよ。せいぜい、その理性ぶった獣に幸あれ。



 まぁまぁ、さてさて、あとは勝手に燃えとくれ。


 私は手持ち花火より、打ち上げ花火派なんだ。

 








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