第1話 プロローグ
僕にもなにか、なにか力があれば。
虚空を見つめる目には光がなかった。
暗い牢屋の中で少年は祈りつづけた。世界を変えるほどの力が欲しいと。
しかし何も起こらない。ここは20XX年、東京のマンションの一室である。
ピンポーン 金持ちのマツがやってきた。
「まーた妄想してんのかよ。金にもならない事ばっかりしても無駄だぞ。」
何度も聞いた、もう耳馴染みのセリフだ。こちらも言い返す。
「妄想じゃないよ。空想だよ。」
「どっちも同じ事だろ。」返す刀でマツは言う。
マツは現実主義者とでも言おうか。リスクは犯さない。確実に金を稼ぎ出す。
頭が良いのだ。
「俺にとってはどっちも同じ事なんだけど、今日はお前にいい話を持ってきた。」
「俺の知り合いの金持ちがハマってるイマジンってゲーム。現実世界とも微妙にリンクしてるやつだ。」
「イマジン・・金持ちのゲームじゃないか。中流階級の僕には無縁のゲームだ。」
「そのゲームの開発者、ゲーリオ・マッシブが最近死んだんだよ。ゲーリオは自分が死んだら発動するシステムをイマジンに組み込んでいた。ゲーリオはめちゃくちゃ女にモテたいけすかないやろうだった。女たちが自分の死後、他の男と遊ぶのが気にくわないらしい。なんてやつだ。そこで男を絶滅させるシステムを作った。それがデッドボーイズシステムさ。」
「賛成だね。いいじゃないか男が絶滅しても。地球にとっては悪い事じゃないよ。
僕はこの部屋で死を待つような男なんだ。むしろラッキーさ」
「俺が困るんだよ!俺はもっと女とも遊びたいし、死にたくない。まだまだ夢もある」
「そこでだ、俺が金出すからお前やってくんね?」
「何を?」
「イマジンプレイヤー」
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