星座みたいな恋がしたい
初めての「なろラジ大賞」応募作品です。
10月からアーカイブ聞き続けて、先月やっと追いつきました!
「タイトルは面白そう!」で、私が一番好きなワードから選びました。
彼が私に興味を持ったのは、絶対に私の名前からだと思う。
何度目かのプラネタリウムの帰り道。
「あのね、私……本物の天の川見てみたいなぁ……なんて」
「本当? じゃあ予定立てようか!」
星オタクの彼は茶色の瞳をキラキラと輝かせた。
二人で毛布にくるまって、ぴったりと寄り添いながら満点の星空の下。
「ねぇ銀河、今日は何の話聞きたい?」
「じゃあ……恋愛のお話しして」
とてもロマンチックな星物語を聞きたかった。
「恋愛……?」
「うん」
「他のジャンルじゃだめ?」
「だめ」
少し渋りながら、彼が話し始めたのだけど……
「――浮気をしたオリオンを許せなかった月の女神アルテミスは、オリオンにサソリを仕向けて殺してしまいました」
「浮気なんて縁起でもない!」
ハイ次~!
「ゼウスはとても美しい少年ガニメデスに一目ぼれをし、大きな鷲になって攫ってしまいました」
「それBL?」
「……たぶん」
彼が、魔法瓶のコーヒーを注いでくれた。
「大昔に作られた星座と神々と人々の物語が、現代に語り継がれるなんてすごいよね」
「そうね……」
コーヒーを一口すすり、喉を潤す。
「私たちも、語り継がれる星座になりたいなぁって思ったんだけどな」
「それは無理だなぁ」
「え?」
「無理なんだよ」
「どうして……?」
「……星座は国際天文学連合が定めた88星座しか認められてないから」
「もう、本当に星オタクなんだから!」
「あははは!」
笑って空を見上げた彼の瞳には、星が映ってとても綺麗だった。
「実はオリオンの話には、別のバージョンがあってさ」
「どんなの?」
「アルテミスは、アポロンの計略で自らオリオンを射殺してしまうんだけど、悲しんだアルテミスは彼を星座にして欲しいってゼウスに頼むんだ」
「また悲しい話……」
「オリオンが夜空にいれば、アルテミスは銀の馬車で空を横切る時に会えるからって」
やだ……すごいロマンチック!
「最初からその話をしてよ」
「ごめん、なんか照れ臭くて」
「……天の川って何だと思う」
「星でしょ?」
「正しくは銀河。天の川銀河」
でも……私だけ空にいたら寂しい。
「僕の名前、忘れた?」
「大地……」
……あ。
「銀河に抱かれて、青い地球が宇宙を巡るんじゃダメかな? 壮大過ぎ?」
私はカップを放り出し、彼を抱きしめた。
「嬉しい……!」
「……でも、そのうち太陽も大きく膨らんで地球ごと爆発――」
「もう馬鹿っ!」
そんな彼を、ずーっと抱きしめようと思った。
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※ちなみに銀河ちゃんと本編の遥君との間に恋愛感情は全くないです。