第六話
「フムフム、なるほどなるほど」
ゲルト君は報告書を読みながらやたらと頷く、自分では気づいているのか気づいていないのか、初見の者が初めて見たら二度見するくらいに頷くのであるが、まあそんな事はどうでもいい今の目的はゲルト君をどう執務室から退室させて当てた宝くじのアレコレを考えねばならない。
「魔王様、これは遂行されたらなかなか有効な作戦かもしれませんね」
ゲルト君がしきりに頷かながら報告書を俺様に戻す、その報告書にはこう書かれていた。
宝くじ当たった人間に関する報告書
1.それまで親しかったのに急によそよそしくなる
2.そして気がつくと姿を消している、もしくは遠くに引っ越している。
3.知らない親戚と借金が増える
4.そして怪しい壺を売りつけてくる人間が現れる
報告は以上☆
「なるほどこれを見ていると人間というものは実に愚かですね」
ゲルドの話にウンソーダネと相づちをうちながら後ろめたさを隠す、悪い事はしていないのにこの罪悪感、、、あう。
「しかし、怪しい壺とはいったいなんなのだろうかゲルト」
罪悪感をまぎらわす為に言葉を続ける。
「怪しい壺、うーん、そういえば前に対ダンジョン侵入者用に開発した怪しい銅像の何かだったような気がしたけど、あってたっけ?」
「魔王様、確か自動迎撃システムの奴でしたね、仕組みは簡単なものだから調べる事が出来たら複製はできるかもしれませんね」
「なるほど、確かに宝くじを当てた人間の家には泥棒は入るだろうし、それくらいは必要あるかもしれんな、それで壺を売りつけて宝くじの当選金を少しでも回収するわけか」
徐々に声が興奮してくるゲルド。
「確かにこれは一石二鳥以上の計画ですな魔王様ではさっそくにゃんくると相談して計画を練ってきますので失礼します魔王様!」
そういうとゲルド君は喜びながら執務室をでていったんだけど、これで良かったのかな?
「まぁ、いいか」
そうつぶやくと執務室の天井を見上げて安堵のため息をつくのであった。