疫病と呪い
初めての方は『初めまして!』
再会した方は『いらっしゃいませ!』
神宮真夜と申します。
稚拙な文ですが、皆さんが楽しんで頂けるようにしたいと思います。
※お読み下さる前に注意事項です。
・ざまぁ展開はなし
・所々グロ表現(軽度?)あり
・更新は2~3日ペースを予定
すみませんが、宜しくお願いいたします。
「貴方のスキルは『聖者』です」
司祭から伝えられた言葉に俺は目をぱちくりさせる。
聞いたことのないスキル名だった。
(お、俺が欲しかったスキルじゃない……)
そう思い拳を強く握りしめたのだった。
俺の名前はルル=ホリィ。
ド田舎のクソつまんない村に住んでるただの村人だ。
瞳は金色、髪は鳶色で肩までの長さ。
身長は……残念だが155に届かない154、まぁチビな方だろうな。
ただしチビって言った奴はぶっ飛ばす!
年は十七で今年やっと大人になった。これで酒も堂々と飲めるぜ!
辺鄙な村で生まれた俺は家や畑の手伝いをしながら成長していった。
同い年の奴らと喧嘩しながらも……最終的は俺が大将だったなぁ……。
ま、まぁそれはいいや。
そうしてつまんねー田舎で一生を終えるだろーと思っていた。
ああ……そう思っていたんだ。
俺が十三歳の時だ。
村を流行病が襲った。
最初は咳が出始めて、高熱が続くそして……。
それは瞬く間に村中に伝染していった。
だけど俺は……両親の機転で救われた。
流行病が流行る前、症状の出始めた頃に親戚の家に預けられたんだ。
だから病状も分からなかった。
熱が続いてどうなるのか知らなかったんだ。
そして暫くして村を訪れた俺の目に映ったのは、一人もいなくなった村だった。
最初は……みんな死んだと思った。
畑は荒れ放題だし家畜は死んでいた。
そして何の声も音もしない静けさだったから。
でも……死体もなかった。
死体が無かった事で俺は安堵した。
(みんなどこかに避難したのか? でもどこに?)
そう思って村の中で立ち尽くしていると、
「そこで何をしている!」
鋭い気迫のこもった声だった。
この俺が思わずドキッとしたね。
今となっては不覚というか恥ずかしいけどな。
振り返った俺の目に神官服を着たおっさんが立っていた。
「お前は……病気ではないのか?」
「なんだ? おっさん」
「病気ではない様だな? 村の者か?」
「あ、ああ。 それよかおっさんは何なのさ?」
神官服のおっさんは、俺の頭の先から足の先まで一通り見ると、
「ふむ。 結構なものをもってるな」
「ジロジロみてんじゃねーよ!! 答えろ! 一体なんなん……」
叫ぶ俺に、おっさんは人差し指を口に当てて静かにするよう促す。
ゆったりとした動きだが、言い知れぬ気迫に俺は黙り込んだ。
ぉぉ…………ぉ…………
風に乗って奇妙な音が聞こえた。
(何だ……村の奥から……)
目を向けていると……遠くの方からこちらに歩いてくる人影が見える。
「あ、あの服装は……ダッツのおやじ!」
村で養鶏をしていた親父だ。
たまに邪魔して唐揚げを頂いたことがあった。
「無事だったのか!」
走り出そうとした俺だが……急に腕を引かれた!!
「ぐあっ! な、なにしやがんだ! 放せ!!」
いきなりおっさんが俺の腕を掴んだのだ。
俺も力は強い方だが……そいつは俺より強かった。
まぁ十三のガキと大人の差ってやつだな。
(ふ、ふりほどけねぇ!)
暴れる俺に、
「よく見ろ。 あれはお前が知っているやつなのか?」
深く静かな声。
暴れる俺にもスッと浸透する声だった。
「あぁ? よく見ろも何も……」
ダッツの親父に目を向けた俺の動きが止まる。
先程ゆっくり歩いて来た親父は、こちらに気付いたようでこちらに向かって走ってくる。
その顔は半分以上皮がめくれて皮下組織がむき出しになっていた。
バタバタ走っているが、腕や足は変な方向に曲がりぶらぶらと大きく揺れ動く。
服装や体型はダッツだったが、その姿は今まで見たことが無い物だった。
「あばぁぁぁぁぁ!」
奇声を上げなあら口から涎を垂らすダッツ。
その姿を見て俺は夢でも見ている気分だった。
(あれは……一体なんなんだ?)
思考が追い付かない、ただ目は逸らすことなく走ってくるダッツに向けられていた。
「まだ……残っていたか」
おっさんは俺の腕を放すとそう言うなりダッツに向かって走り出した!
その手にはいつの間にか小振りのメイスが握られていた。
そしてダッツは向かってくるおっさんに飛び掛かろうとして……その頭にメイスが振り下ろされた!!
ボキッともグシャともつかない音がして、ダッツがよろよろとふらつく。
そしてその頭に再度メイスがめり込んだ!!
それが止めとなったのか、ダッツは膝を折りながら地面に突っ伏した。
「安らかなる魂よ……どうか神の元へ」
おっさんはメイスの血を拭うと祈りの言葉をダッツに送った。
余りにも現実離れした状況に俺は瞬きすら忘れて固まっていた。
まるで誰かの夢を見せられている様な……俺が俺じゃない様な感じだった。
おっさんは俺に向き直ると、
「この村を襲った流行病を知っているか?」
「ああ、俺は……親父とお袋によって隣村に預けられてた」
「……そうか」
そうしておっさんは一瞬躊躇したが、
「この流行病は……高熱が出た後、死に至る」
「……」
「しかし、この病の恐ろしい所はその後だ……」
嫌な感じはしたが……流石にさっきの状況を見ていれば言いたいことが分かった。
「あんな風に……なるのか?」
「そうだ……死んだ者は生き返り……いや、生きてはいないか。 死人の状態で動き回り人々を襲う」
「……」
おっさんは村を見回し、
「この村で病が発生したのを聞いて訪れたのだが……遅かったようだ」
「遅かったって?」
「病気の段階……つまり高熱が出ている状態までであれば助けられる」
「そうなのか? 薬はないって聞いたぞ?」
「この病は病気ではないのだ。 だから薬はないし、効かない」
「は?」
「これは……呪いなんだ」
あまりの展開に訳が分からなくなりそうだった。
「病気じゃなくて呪い?」
「ああ」
「呪いって……そんな……」
「だから、回復魔法で呪いを解けば治せるのだ」
「ま、まってくれよ! 呪いって誰がこんな小さな村を呪うんだよ?」
「この村だから……と言う訳ではない。 人間を滅ぼそうとしているもの……つまり」
おっさんは間を置くと俺の目を見ながら言った。
「魔王だ」
【ルルから】
最後まで話聞いてくれてありがとうな!
まぁずっと話し続けるのは俺も大変だし、今後は注意事項にあったようなペース話していくぜ。
ん? メタいってなんだ?
よくわかんねーけど、細かい事気にすんな!
まぁ少しは書き溜めてあるから少しペースが早い時もあるかもしれねーけど、その時は勘弁な。
じゃあ、また会ったら続き話すぜ! またな!