赤薔薇の女帝
この世界に闊歩していた魔物が世界からその姿を消した。
神代から続いていた『人』と『魔物』の永遠とも思われた対立の時代は英雄とその仲間達の手によって幕が下ろされた。
都市はその規模を広げ、馬車が街道を行き、船が海原を駆ける。
今までよりも遥かに人の動きが活発になり、新たな『人』の時代の到来は誰の眼にも明らかだった。
そんな中、今まで『魔物』との対立が押さえていた『人』の醜さも浮き出ていた。
そうして浮き出た醜さは『宗教』、『人種』、『国家間紛争』、『政治』…様々な形を持って人の時代を包み込んでいく。
そんな、美しくも醜い世界の始まりを生きた一人の女性がいた。
英傑多きかの時代といえども、『人』の時代の開拓者たる彼女の偉業を越えられた者は一人としておらず、幾ばくかの時のたった今の時代まで見ても存在しないだろう。
帝国において、国旗の主な色は『赤』であり、同時に帝国を表す色でもあるが、それ以上に『赤』は彼女を示す色である。
我が国の国母であり、『赤薔薇の女帝』たる彼女の名は『イリャーナ・アレクシア・ルマナフ』。
ーーイワン・トルストイ『大戦史』第一章 より
神代から続いていた『人』と『魔物』の永遠とも思われた対立の時代は英雄とその仲間達の手によって幕が下ろされた。
都市はその規模を広げ、馬車が街道を行き、船が海原を駆ける。
今までよりも遥かに人の動きが活発になり、新たな『人』の時代の到来は誰の眼にも明らかだった。
そんな中、今まで『魔物』との対立が押さえていた『人』の醜さも浮き出ていた。
そうして浮き出た醜さは『宗教』、『人種』、『国家間紛争』、『政治』…様々な形を持って人の時代を包み込んでいく。
そんな、美しくも醜い世界の始まりを生きた一人の女性がいた。
英傑多きかの時代といえども、『人』の時代の開拓者たる彼女の偉業を越えられた者は一人としておらず、幾ばくかの時のたった今の時代まで見ても存在しないだろう。
帝国において、国旗の主な色は『赤』であり、同時に帝国を表す色でもあるが、それ以上に『赤』は彼女を示す色である。
我が国の国母であり、『赤薔薇の女帝』たる彼女の名は『イリャーナ・アレクシア・ルマナフ』。
ーーイワン・トルストイ『大戦史』第一章 より