第7話 破られた仁義
まず髪を全然切ろうとしない。
だが、これは道場に設置されているDVD付きテレビで、一緒に見るカンフー映画の長髪で白い長袖のかっこいい俳優の真似をしているんだと思い込んでいた。
そして宿題をうつさせてくれなくなった。自分でやれとかなんとかそういうことを言い出した。
ウチの母ちゃんも、マコの母ちゃんもマコのことを「マコちゃん」と言っていたのだが、からかうつもりでオレも「マコちゃん」と言ったときがあった。
その時、マコは怒るどころか顔を赤くして
「な、なんだよ……」
と恥ずかしそうに顔を俯いていた。
正直ドッキリし、怒らないのはつまらないのでそれ以上は言わなかった。
そして、水浴び。
夏の暑い日、いつものようにオレの家の風呂で水浴びしようと言ったらアイツは嫌がった。
「水着もってきてねーよ。裸に……なんだろ?」
「そーだよ。いつもやってんだろうが」
「いいよ。恥ずかしい」
「恥ずかしがんなよ。オレは別にいいよ」
コイツは大人になって来て、自分の小さい物をさらすのが嫌なんだろうと思った。だが親友の自分にまで恥ずかしがって欲しくなかったので気にしないように言ったが、なぜか怒りだしたんだ。
「オメーはいいかもしれねーけど、イヤなんだよ」
「何でだよ!」
「頭わりぃなぁ、オメーは!」
この時、初めて仁義が打ち破られたと思った。
オレの思い込みだったが頭が悪いところは触れない仁義。
それだけは言って欲しくなかったのだ。
向こうが破るならこっちもだ。オレはマコに怒鳴った。
「なんだと!? マコなんて小せぇくせに!」
その時、想像していたこととは違うことがおきた。
マコが殴って来たことは別に想像していた。避けきれなかったが。
マコは両手で胸をおおっていた。
「うるせー……。バカ」
「?? お、おう……」
なぜか殴られたのに、仕返しをしようということが思いつかず頭が混乱した。
そっちを押さえんのかよって感じでわけがわからなかった。
その後、オレがいつもの調子で謝ると普通に戻って、二人で虫取りに行った。