第6話 性教育だろ
小5の頃、大事件がおこった。
授業中に女子だけが呼ばれていったんだ。
なんでそれが大事件? と思うだろ? まぁ、聞いてくれ。
オレは自習となって嬉しかったが、女子だけ特別扱いされているようで少しばかりひがんでいた。
「なんなんだ……? ウメ―もんでも食うのかなぁ? ずっけぇなぁ……女って」
日頃から女子ばかりが叱られず、男子ばかり怒られると思っているオレはそんな思いを抱いていた。
オレは輪ゴム鉄砲で弱いヤツの後頭部を打ってからかっていた。
先ほどの女子への愚痴はどこへやら。面白がってマコと一緒に遊ぼうと席を見るとマコがいない。
「何だァ? あいつ便所か? ウンコでもしに行ったのかなぁ? キシシ」
そう言いながら周りの連中と笑っていた。
授業が終わるチャイムが鳴ると、女子が帰ってきてマコもそのタイミングで席に座っていた。どさくさ紛れだと思い、オレはマコの背中を思い切り叩きつけた。
「よ! ウンコマン!」
マコは真っ赤な顔をしていたのでオレは確信した。
「こいつ、授業中にウンコしにいきやがった! ウーンコ! ウーンコ!」
と囃し立てた。マコは激高して立ち上がってオレを殴って来た。
オレもそれに応戦して休み時間は終わった。
結局その日も一緒に帰った。
オレの黒いランドセルとマコの水色のランドセルがガチャガチャと鳴り合う。
オレたちにはそんなケンカもなんでもない日常だったんだ。
縁石をバランスとりながら渡り合い、自分が落ちそうになるとマコも道連れにと抱き合って道路に落ちた。
向かい合わせの近い顔を見ながら二人して笑った。
しかし、この別授業からマコが少しずつ変わって行った。