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第49話 大阪へマコを求めて

マコに謝りたい。

許してく貰えないかも知れない。

許して貰えなくて当然だ。

マコは一番傷付けられたくないはずのオレに心をえぐられた。

だが、気が済まない。

殴られて蹴られてもいい。

気持ちを伝えたかった。


退院して親に家に連れてこられると、速攻で貯金箱を壊し大阪に向かった。

平日なんだから学校にいるはずだ。

人に天心志館までの道を聞き、校門で授業が終わるのを待っていた。


やがて授業が終わったようで、ゾロゾロと生徒達が出て来た。

この学校には中等部と高等部が併設されている。

かなりデカい敷地だ。

人も多い。オレは背の高さから中等部の制服を識別して、情報を集めた。

ほとんどの人は知らなかったが、一人の女子が知っていた。


「近内マコトって、短髪の転校生? 空手家の。だったら武道館やろ」


そう言って敷地内にあろう武道館を指差したが、ここからは全く見えない。お礼を言って向かおうとすると呼び止められた。


「ちょっ! 部外者は立ち入り禁止!」

「あ。す、スイマセン」


どうやら、武道館の近くには裏口があるらしい。

そして、部員たちは活動が終わるとそこから帰ると言う話しなので、大きな塀を回ってみると、裏口があり、そこから武道館も見えた。

けたたましい気合いの声が聞こえる。

今、練習中なのだろう。


その時、聞き覚えのある気合いの声が聞こえた。

マコだ!

甲高く、声だけで相手を威圧してしまうような気合い。

この中に確かにマコがいる。


もうすぐ会える。

オレは嬉しくなって武道館を見つめ続けていた。


その時だった。

武道館の扉が開放された。空気の入れ替えかも知れない。

中には何十人もの空手家が練習している真っ最中。

その熱気は、数十メートル離れている裏門のオレにも伝わって来た。


その中に、マコの姿があった。

オレの顔が緩んでしまう。今大声で叫べばマコは振り返るかも知れない。

走り出せば彼女を捕まえられる短い距離。

だがオレは久しぶりに見るマコに魅入ってしまっていた。


「押忍。神納先輩、組み手お願いします!」

「おう」


中からマコの声と神納の声。

強化選手同士の練習だ。他の練習生は二人の邪魔をしまいと距離をとった。

二人の素早い動き。

まるで普通の人じゃない。

あれが本当のマコ。本当の神納。

オレが入れるはずもない、ハイレベルの空手がそこにあった。


途中、神納は片手を上げてマコとの組み手を中断した。

そして突きを打たせて、少しばかり腕の高さと引き手の高さを調整する。

続いて上段蹴りも同じように脚を上げさせ調整させていた。


それにマコは嬉しそうに礼をして離れて行った。

神納はタオルで汗を拭きながら外の空気を浴びようとこちらに来た。


ふと神納と目があう。オレは、小さく会釈をした。

神納はニヤリと笑い、奥に引っ込んで行った。

見ていると扉は両サイドから閉じられてしまった。

12時にもう1話アップします。

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