第48話 マコからの手紙
小さい子どものように泣きじゃくるオレのことをテツは哀れに思ったのか、背中をなで続けてくれた。
それでも涙が止まらず、精神が落ち着かなかった。
長い時間が経ちようやく咳き込みながら泣き終えると、テツが一通の可愛らしい手紙を出してきた。
「マコなぁ。髪の毛を耳の上までバッサリ切っちまってたぞ。お前が入院したって聞いたら、何度も来たがったんだ。だけど自分のこんな姿見せられないし、このままリュージの前から消えた方が良いって言ってな。オレに手紙を渡してくれって。これを託されたんだ」
オレは目を泣きはらしていたが、マコの手紙を最優先とばかりテツの手からそれをむしり取り、すぐに開封した。
そこにはこう書いてあった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
白井竜司さまへ
リュージ、体の具合はいかがですか? とても心配しています。早く治るように祈っています。
本当はお見舞いに行きたかったのですが、強化選手として学校を転入したほうがいいと、前々から言われていたのを受けることにしたので忙しくて行けそうもありません。
本当は顔を見てお別れを言いたかったんだけど、リュージはそんな重いの嫌いだろうから、やめておくことにしました。
それからこの前、あんなことあって早退しちゃってゴメンね?
気にしないでね。それだけ謝りたかったの。次の日からちゃんと学校に行ってたのに、リュージったら入院しちゃうんだもの。私はリュージの一番の友達としてリュージの恋を応援するよ!
遠い大阪の土地から、リュージがちゃんと幸せになれるように祈ってます。幸せにならなかったら承知しないからね!
ずっとずっと友達です。
近内 実より
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
オレは手紙をテツに手渡しながら、また泣き伏した。
体を大きく震わして。
出てくる涙が痛い。まるで金平糖が目からこぼれてくるようだ。
テツは無言でベッドの周りにある、薄緑色のカーテンを閉めてくれた。
「全く……。さっさと退院してマコに会いに行けよ。そして謝ってこい!」
その言葉が涙を止めた。
そりゃそうだ。場所が分かってるんだ。
謝りに行けばいい話じゃねーか。
「テツ。その通りだな! そうする!」
テツはニコリと微笑んでくれた。