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第45話 雨に叫ぶ

マコが出て行って当たり前の話だが教室の空気が重くなった。

オレも最初機嫌悪く座っていたが、マコに怒った罪悪感と体調の悪さも手伝い、給食を食ってから早退した。


マコの家の前を通り、少しばかり覗いてみると車がない。

おばさんとどこかに行ったのかも知れない。

ひょっとしたら病院かも。


オレ自身も体調が悪かった。

学校が終わってから毎日している師匠との鍛錬もどうでもよくなった。


コホッ……。また一つ咳き込んだ。

師匠との鍛錬をサボろうと思ったが、体は動きたい習慣がついていた。


ランニングウェアに着替え、朝走っているコースを走ろうと外に出てストレッチ。

折り返し地点に向かって駆ける。


途中風が吹いて空気が変わって来た。


「雨か……」


頬に一つ雨粒が当たった。

そう思うと、二つ、三つ。


しまいには激しく振り始めた。


今のオレと同じ心境だ。

ざんざん降りの大雨。

その中をがむしゃらに駆け続ける。


マコを傷つけてしまった。

裏切られたにも関わらず心が痛む。


「クソォ! マコ!」


イラつきがオレを走らせる。

雨が降り始めたんだから家に帰ればいいと思うだろ?

とにかく走りたかった。

だが一人で考えることはマコのことだけ。


あの顔。

長い髪。

あの笑顔。


ちいさい丸い胸……。


息が苦しい。


車が来ないように、川の土手にあるサイクリングロードがランニングコース。

その出口に大きなポプラの木があり、そこが折り返し地点。


雨風が厳しい。

呼吸が苦しい。


オレはポプラの木までたどり着けなかった。

咳き込みながらサイクリングロードに倒れ込んでしまったらしい。


目の前が暗くなる前に、マコの愛らしい笑顔がうっすらと見えたような気がした。

本日は12時にもう一話投稿します。

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