第3話 オレたちの仁義
小学生になってもオレたちはいつも一緒にいた。当然だ。
たまに小さいケンカはするものの、オレがマコを尊敬していることは変わらなかったし、マコもオレを頼りにしていた。
暗くなるまで真っ黒になって一緒になって遊び、気に入らない奴はケンカして倒してきた。
最高だ。最高の親友。
オレたちは熱い絆で結ばれていたんだ。
空手が始まる前、道場の畳の上で寝転がり一緒に宿題をした。
マコは飛び抜けて頭が良かった。
オレはそれを写し、手っ取り早く宿題を済ませ道場の中で一緒に遊んだ。
帯を片手で引っ張り合う綱引きみてぇなのや、追いかけっこ。庭の松の木にどこまで高く登れるか競争したり。
マコの母ちゃんが作る飯を何度ご馳走になったやら……。
今考えてみても一緒にいる時間はそうとう長かった。
オレたちは互いに一人っ子だったから、まるで兄弟のようだった。いや兄弟よりも長い時間一緒にいただろう。
ケンカの腕っ節も強く頭のいいマコだったが一つだけ欠点があった。
一緒に風呂に入って遊ぶことがあった。
夏なんてしょっちゅうだ。
その時、アイツの股間にぶら下がるものがまったくなかったのだ。
別の友だちと自分のものの大きさを比べ合うことがあったが、アイツの場合小さ過ぎて言葉にするのもはばかられた。
きっとコンプレックスだろうなぁと思ったんだ。
オレは頭が悪いがそんなことマコは言ったりしたことがなかったからだ。
そこはオレも仁義で、マコの股間に付いては触れないことにしていたのだ。