第28話 ケツ圧上昇
師匠との鍛錬が始まった。
師匠は手に竹刀を持っていた。スパルタだ。
何かあったらすぐに打ち据えるつもりだ。
朝5時からランニング15km。
師匠は自転車に股がり、オレの後からついてくる。
部活が終わったらみっちり夜の9時まで組み手の稽古。
これがキツイ。
ウチの流派は寸止めだが、たまに師匠のが当たってしまうことがある。
自分が踏み込むタイミングの時とか、仕掛けるタイミングの時とか。
そうすると完全に力負けして後ろに吹っ飛んじまう。
自分の力のなさを改めて噛みしめた。
最初、マコはこのオレと師匠の鍛錬に気付かなかったが三日目。
嬉しそうな顔をして朝のランニングに参加してきやがった。
からかうつもりだと思ってシカトした。
どーせ、オメェのレベルには遠く及びませんよと。
それに顔を見るとどうしても赤くなってしまうからだ。
組み手の稽古も、道着を着て畳の上に座って見ていた。
気にしない気にしない。
そう思っても気にしてしまう。
あの胸の空いた道着の下の白シャツの下にはあのスポーツブラ……。
そんなことを思ってると師匠の拳が顔面にヒットしていた。
「なんだリュージ。今日は集中力がねぇぞ!」
オレは畳の上に転がったまま答えた。
「ハァハァ。スイマセン」
「よし。今日の稽古はここまでとする。リュージ。掃除して帰れ」
「ハァハァ。押忍」
師匠は出て行った。
取り残されたのはオレとマコの二人。
今から掃除をする。それも稽古の一つだ。
オレは起き上がってマコの方を見た。
マコは笑っていた。
どうせまだまだですよーだ。
このままじゃカッコ悪すぎる。
オレは腕立ての姿勢をとった。
「え? 今から腕立てすんの? 掃除すんじゃないの?」
「あたりmrだrxl」
師匠からのダメージが多過ぎてカミカミだ。
「マコ……。背中に乗ってくれるか?」
「お〜。そこまでするんだ」
「当たりめーだろ?」
「ふーん。見直した」
これには作戦があった。
マコを意識するからダメなんだ。
マコを視界から消し、かつ身体には負荷をかける。
一石二鳥。
だが、その作戦は大失敗だった。
ふわりとマコが背中に乗った感触。
つまり、マコの尻の弾力が背中に伝わる。
その時、オレの身体の一部が道着を突き破らん勢いで伸びきってしまった。
そんなことを知らないマコは背中の上で号令をかける。
「イーチ。ニー。サーン」
しかし、伏せれない。
床に先に接触してしまうものがある。
「オイオイ。舐めてんのか? 気合い入れろよ」
そういいながら尻を叩く。
「いっ……♡」
「ホラ、ガンバレガンバレ。ローク。シーチ。……オイオイ。もう息があがってんのか?」
叩かれるとマコの手の感触が伝わる。
『おしりらめぇ』状態。それをパンパン、パンパン叩きやがってこのアマ。
ますますの興奮。ぜんぜん折れない肘。
ただクビだけを上下に動かしているような腕立て伏せ。
マコは呆れて何度も尻を叩いた。
「バーカ! しっかりしろよ! せめて真面目に10回やれ!」
「あへ♡ ……はへぇ♡」
10回も出来なかった。限界。
なんか、モヤモヤも最高潮。
オレはその場に崩れてしまった。
当然マコも落ちると、衝撃で浮いた尻がもう一度接触。その柔らかさが全身を駆け抜けていった。
「ふー。あっぶね。なんなんだよ。やっぱり最初の稽古で疲れちまったんだろ?」
そう言いながらオレを仰向けに起こすので、うまく足を曲げて体の一部を隠した。
ごまかすのに必死。
「わ、ワリぃ。疲れちまって」
「ふふ。だろうと思った。ね。一緒に掃除しよ?」
「あー……。ダメだ。これはオレの稽古なんだから。マコは着替えて来いよ」
「そう? わかった」
マコは道場から出て行った。
今から前屈みで掃除をするところを見られたくなかったのだ。