第24話 父の言葉
久々に近内家の食卓についた。
空手の師匠であるおじさん、オレ、マコ、おばさんと時計回りに座った。
おじさんと一緒にガツ盛り競争だ。
ここの家のカレーはめちゃウマい。
具がでけぇ。おじさんの好みなんだろう。
食ってる最中におじさんが、ガッチリとオレの腕をつかんできたので驚いた。
「な、な、な、なんすか?」
そう言うと、おじさんは真剣なまなざしを送って熱っぽく語りだした。
「オイ、リュージ。オマエ、オレの跡を継ぐつもりはねーか?」
「はぁ?」
それって空手の先生になれってことだよな。
オレは全然そのレベルじゃねーぞ?
でもまぁ冗談だろ。オレも適当に答えておこう。
「おじさんには遠く及びませんが努力はしてみます」
「まぁゆくゆくはオマエのご両親にもご挨拶しなくちゃならねぇが、今気持ちを聞いておきたくてな。フ。娘を頼むぞ? ナマクラな真似したらただじゃおかねーからな?」
オレは意味が分からなかった。
親公認の彼氏がいるんじゃねーかと勝手に思い込んでいたからだ。
「あの……マコにはおじさんが認めた男がいるんですか?」
そう言うと、おじさんはオレの頭を小突いた。
「なんだそりゃ。謎掛けか? そりゃいるだろうがよ。だがな。まだまだ甘い。オレから見りゃヒヨッコだ。もっともっと男を磨けとそいつに言っとけ! それからなぁ……」
なに? オレが知ってるヤツなのか?
テツ……ではねぇよな……。
ウソだろ……。
身近なやつなのかよ……。
オレはショックを受けていると、マコの声がおじさんの言葉を遮った。
「やめてよお父さん。そーゆーの。ハラスメントだよ。ハラスメント」
「そうか?」
おじさんはそれ以上なにも言わなくなり、昔の思い出話とかして談笑した。