第22話 二人で勉強
マコが泣いている。
意味が分からない。
別にシカトしてるわけじゃない。
彼氏がいると聞いてマコの顔を直視出来なくなってしまっただけだ。
泣きたいのはこっちだ。
テツに小突かれて昇降口に尻餅をついて呆然としているオレの元に、オレのカバンを持ったマコが立っていた。
「い、一緒に帰ろ……ぜ」
少しばかりギクシャクしている。
おそらくオレがしばらくテンションが低かったせいだろう。
かっこよくてリーダーだったマコも今では女。
女をそんな目にあわせちゃいけねぇと思い、オレは立ち上がりマコからカバンを受け取った。
「いやいや。はははー。参った参った。どれ、帰ろうぜー」
そう言うと、マコの顔がパァッと明るくなった。
「うん!」
二人して並んで互いの家に向かって歩く。
久しぶりだなぁ。でもこれが普通なんだよな。オレたちにとって。
次第に顔がニヤ付いていることに気付いた。
マコはと見るとこいつもニヤついてる。
気持ちわりぃ!
「気持ちわりぃな~。オマエ。ニヤついてるぞ?」
「は? いーだろーが! 久々だから色々と考えちまったんだよ! わりぃか? 殴るぞ?」
殴られたらたまんねぇ。
向こうは空手の強化選手。
おそらく死ぬ。
そのうちにマコの家に到着。
いつものようにざっくばらんに家に上がった。
おばさんに挨拶すると、嬉しそうな顔をしていた。
「なんだ。リュージ。久しぶりだねぇ」
「ホントしばらくぶりでした。今日は勉強しようと思って」
「ふふ。なんの勉強? まぁいいや。今日はウチでご飯食べて行きなよ」
「マジすか? ご馳走になりまーす!」
久々に近内家のメシにありつけるとテンションが上がってると、マコがオレの背中を突いてこう言った。
「ウチ飲み物持って行くから、部屋に入っててくれよ」
ウチ? ウチだと? 似合わねー。
こんな似合わねぇヤツいるかぁ?
オレはその言葉にクック、クックと笑った。
「なんだ? なにがおかしい?」
「いーえ。おっじゃましまーす!」
あぶねぇ。怒ったかもしんねぇ。
オレはごまかしてマコの部屋に駆け上がった。