第2話 幼稚園での武勇伝
幼稚園も同じだった。
組は別々だが、道場で打ち解けたオレたちは一緒になって遊んだ。
思えば、スモックの色も違うんだから、気付けって感じだが、あいつの着ていたスモックのピンク色はなぜかヒーロー戦隊のリーダー色にしか見えなかった。
いや、女子のピンクだろってやめてくれ。
心が折れそうになる。
今考えりゃ分かるが、その時はそう思ってたんだから。
だいたいにして、戦隊ごっこをやると、マコはリーダーをやりたがったんだ。
オレはクールなブルー。
分かるだろ? 似合ってると思わねぇか?
……誰だ、笑ったヤツ。上等じゃねーか。
あ、ウソ。今の無し。
せっかく聞いてくれてるのにな。
申し訳ねぇ。
マコはいつもオレたちのリーダーだった。
オレもマコの背中を追いかけた。
この男の中の男といつも一緒にいれることが誇らしかった。
この頃、砂場争いと言う事件があった。
年長の連中が砂場を独占して、年下がくると砂を投げかける。
子どもの頃によくあるやつだ。
正義の味方であるマコは、オレたちより少しばかり背の高いそいつらの前に立った。
あいつらはマコをナメていた。
笑いながら砂を掴んでマコの頭に振りかけようとした。
その瞬間、マコの手刀がそれを打ち払った。
当然、ヤツの手には激痛が走ったことだろう。
腕を抑えて「あっ」とも言わないうちに、斧が朽ち木を打ち倒すようなローキック。
そいつは砂場に崩れ去った。
ざまぁみろだ。
「リュージ」
「おう」
マコはオレの名前を呼んだ。
すかさずそこに駆けつけ、年長の連中に睨みをつけてやった。
ガキはすぐ泣く。
歳上のくせに先生に言いつけに走って行った。
当然オレたちは親呼び出し。
だが、オレたちは怒られようと何しようと正義のために闘ったことが誇らしかった。
……まぁ、オレは睨んだだけだったけどな。