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第11話 やっと気付いた

そして中学へ入学式の日が来た。

一緒に行こうと約束していたので、オレの母親とマコを迎えに行った。


「まーこーとくーん。がっこいこーーー!」


いつものように玄関先で声を張り上げると、すぐにマコがおばさんと出てきた。


「オッス」


マコがドアを開けるなり言った言葉。

だがオレは完全に固まっていた。


マコは……。

マコは……。

違う制服を着ていた。


そう。女子の制服を着ていたのだ。


「あん? リュージ? どうした?」


そう言われても動けなかった。

ぶっ飛んでいたんだ。

母親がオレの手を引いた。


「マコちゃんが可愛いから見とれたんでしょ。さ、行くわよ。今日は二人して面倒掛けないでよね?」

「はーーい!」


マコの大きな返事と笑顔にようやく正気に戻った。


オレたちの前に和服姿のオレたちの母親。

ペチャクチャとしゃべりながら歩いている。


何も話せなかった。

なんか裏切られたような気持だったんだ。


マコが女?

はぁ?


いやいや、そーいえば思い当たるフシがあるぞ?

プールに行くとこいつだけ水着が違っていたし。

拾ったエロ本読みたくないとかいうし。


なんで? 

なんで?


なんでオレ、今頃気付いてんの?


「どした? さっきから黙りっぱなしで」


うつむきながら黙って歩くオレにマコの言葉。

ビックリして直立不動の姿勢をとっていた。


そんなオレを見てマコは大爆笑していた。

なにがおかしいのか。そして女の姿で笑われてムカついた。


「クソ。なんなんだよ」

「はぁ?」


困惑顔で思い切り叫んだ。


「なんで女なんだよ!」

「は?」


そう言うとマコはまた大笑いした。


「オマエ何言ってんだよ~。ずっと前から女じゃねーか! ははははははーーー!」

「いやいやいやいや」


否定のためにブンブンと手を振るとオレたちの親が振り返った。


「うるさい! 二人していつまでも小学生気分じゃ困るよ! また呼び出されたらただじゃおかないからね!」


叱られた。いつものことだが。


「……はーい」


二人して下を向く。

だが、マコはその状態のまま舌を出してオレの方を見てきた。


「怒られちまったな」


その姿がいつものマコで安心した。

話す言葉も同じだ。

そして、また中学校までの道のりを歩き出した。


しかし、どうしてもマコが女子だなんて思えない。

急に頭を転換できるわけがなかった。

オレはこいつをやっぱり男子と思って付き合うことにしようと思った。


「なぁ……」

「なんだ?」


「オマエ、サッカー部どうすんの? 一緒にやるって言ってたじゃねーか」

「ああ。やるよ。マネージャーだけど」


「はぁ? なんでだよ! 全国大会行くんだろーが!」

「だーから、行くだろーが! 問題あんのかよ! オメーが頑張れよ! バカか!? 人に頼んな!」


とマコが言ったところで、また親に怒られた。

なんなんだよ。コイツのせいで怒られっぱなしだよ。

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