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第三十四話 しがない合宿④

「うぉぉ・・・・・・」

電車とバス使って二時間、どうにか式夜とマリアに追い付いた俺らは海水浴前の下見というわけでもないのだが、目的地の海岸を見てくることに。一面に広がる大海原に、声を漏らす。

鳴り止むことのないさざ波の音、綺麗な海、そして何よりも・・・・・・

「めっちゃ人が多い!? 」

えげつないくらいの人、人、人、どこまでいっても人と、そしてビーチパラソル。

砂浜が見えなくなるのでは思えるくらいの人口密度に普段ヒッキーの俺は不意にめまいがした。

「な、なあ式夜。ここまで多いか普通」

「毎年このビーチはかなりの人気があるとネットにかかれていたからな、仕方ないだろう」

「下見に行こうってそういうことかよ・・・・・・」

泳げる以前に荷物おける場所があるかを見に行こうってことね。

「ちなみに、一時間ほど前はこれほどまで多くなく、もうちょっとは少なかったのだが何処かの誰かさんが駅までの道をグダグタしているうちにこうなってしまった」

「うぐっ・・・・・・それに関しては本当にすいません」

「まったくだ。マリアの体調面を考えてしっかり行動するようにと事前に伝えただろう」

なんも言い返す言葉がない。確かに浅はかだった。

足が不自由なマリアは車イスで参加しているのだが、体調面を考慮してマリアの車イスを押す係りを俺と式夜で順に回すことを決めていた。

「マリアに謝ったか?」

「当然。今回は一方的に俺が悪かった、って感じで」

「なんだその一方的に、というのは」

「いやほら、テストプレイのこともあったし」

「ルイくん君さてはバカだろ」

グサッと心にくる。なんだろう、デジャブ。

「ってまて式夜、俺とお前でマリアの車イスを担当するはずだよな。なんでお前ここにいるんだ?」

「安心してくれ、実は今マリアは千尋といる」

「つまりは・・・・・・」

「マリアの車イスを千尋が担当しているということさ」

「フンッ!」

その事を聞いた瞬間式夜の頭に軽くチョップする自分がいた。

「あいたっ!? な、なにをするルイくん! いきなりチョップとは不意討ちにも程があるぞ」

「お前アホか!? マリア自身は特に気にしていないかもしれないが千尋はマリアと勝手に喧嘩してるつもりなんだぞ。これでマリアも気にし始めたらヤバイだろうが!」

「いやいや、マリアも気にしてないことはないだろう。今回の海水浴ももとはそれをどうにかするためにやるのを決定したようなものだしな、そして何より、二人を一緒にしたのには別にわざとではない。ちゃんと狙っての判断さ」

「確かに仲直りさせるにはそれがいいかもしれないけど、多分千尋は一人だと無理だ! あいつ人見知り半端ないから、それであえて言うのであるからば勝手に意識して勝手にライバル視して、勝手に怒ってたんだぞ千尋は。そんなんで仲直りとか気不味くてやれるわけねぇだろ!」

「た、確かに・・・・・・ではどうすると?」

「とりあえず宿に戻る、それで仲直りしてれば、ラッキー、してなかったら・・・・・・」

「してなかったら?」

少し考えて答える。

「俺が仲裁に入る。だいたい今回のこのしがない事態は俺が一人でマリーに勝ったことにも少なからず原因があるから」

下見を切り上げた俺たちは早急に式夜が予約してくれていた宿屋に戻ることにした。

正直心配なのはマリアよりも千尋、あいつ本当に人見知りすごすぎて基本的には顔の知らない人がいる場合俺がいないと会話が成り立たなくなるレベルだから、一番不味い事態は会話弾まずずっと沈黙になっていること、それだとアンラッキー、バットエンド。

一回でも人間沈黙になると元の空気間になるには余計な時間がかかるから。

なさけないが、一刻を争う事態に俺は本日二回目の全力ダッシュをかますことになったのだった。


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