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第三十二話 しがない合宿②

「おい、千尋。居るか?」

式夜が帰って直ぐに俺は千尋の部屋へ向かった。軽くノックしたあとに呼び掛けるとパジャマ姿の眠たげな千尋が出てきた。いつもはしっかりした格好の千尋がここまでどこか抜けた感じなのを見たのはこの数年間で初めてだった。

「おはようございます、兄さん・・・・・・」

「お、おはよう。どうした随分と疲れているような気が」

「・・・・・・大丈夫です。少し寝不足なだけですから。兄さんもどうしたんですか? いつもの兄さんなら休みの日この時間はまだ寝ているじゃないですか」

千尋が寝不足なのは珍しい。いつも十時前には寝ているというのに。むしろ寝不足なのは俺の方だ。昨日も昨日とて次の日休みだとか調子にのっていつも通り徹夜でゲーム。最近はオーダーテスターばかりで従来型のオンラインゲームをやっていなかったこともあってだ。

「いやほら実はさっき式夜が来たんだけどさ、声聞こえたろ?」

「そうだったんですか。すいません今の今まで寝てたので・・・・・・」

「マジか、起こしちまって悪かったな」

「いえ、別に・・・・・・ハッ」

「どうした?」

「・・・・・・って」

「え? なんて」

「出てってください!!」

「な!?」

急に顔を真っ赤にした千尋は俺を思い切り部屋の外へと押し出した。

「イッテェ・・・・・・んだよ」

それから数分後、パジャマ姿から一転した洋服で出てきた。

成る程ね、着替えたかったのか。

「それで、なんなんですか? 式夜さんが来てなんだったんです?」

何事もなかったように千尋はいつものように振る舞い始めた。

「あぁ、実はさ・・・・・・」

事情を話すと千尋は機嫌が悪そうに少し顔を俯けた。

「あの、千尋さん・・・・・・?」

「余計なお世話です。確かにマリアさんのことで、式夜さんに相談はしました。でも別にそこまでしてもらう必要はありません」

「じゃあ、行かないのか?」

「誰がそんなこと言いましたか! 行きます。せっかくですし」

「なら決まりだな。今日中に式夜から多分連絡来るからさ、よろしく」

「分かりました。ところで兄さん、兄さんって、好きな色とかあったりしますか?」

「なんだよ突然、なんでそんなこと聞くんだよ」

「別に深い意味はありません」

好きな食べ物とかなら聞かれたことはちょいちょいあるが(式夜とか美咲に)

なんだその話題がなくなったコミュ障みたいな質問は・・・・・・にしても好きな色か

「まあ、黒とか白とかそういう地味目なやつかな」

「そうですか、分かりました」

千尋との話の後、俺は部屋に戻り美咲に電話をかけることにした。どうせなら美咲も誘った方がいいだろう。






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