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第二十三話 しがなくない訪問者③

テストプレイの日、メシアの会議室。

俺と式夜に千尋。テストプレイヤー三名が揃っていた。

そして目の前にいるのは、柊さん。ではなく、

「・・・・・・」

めちゃくちゃいかつい外国人のおっさん。初めて見る顔で、眉間にシワを寄せて椅子にふんぞり返っていた。

「る、ルイくん。この方は・・・・・・」

「兄さん、この人は・・・・・・」

「俺だって知らねえよ。逆に式夜とか知らないのか?」

「私も知らない。でもここにいるということは」

「・・・・・・だよな」

小声でぼそぼそ会話している俺たちをそのいかついおっさんはまるで見定めているようだった。

ここにいる以上、考えられるのは2つ。

1つはメシアの社員。風貌的には偉い人。そして2つ目は俺たちと同じテストプレイヤー。まあ後者はありえない。もらった写真とは見た目がかけ離れすぎてる。

「すいません、遅れてしまいました」

珍しく柊さんが指定の時間より遅れてきた。これは大雨でも降るんじゃないか。

「遅いぞ、柊」

柊!? 呼び捨て!? この外国人のおっさん何者なのか。というか日本語上手くね?

「申し訳ありません、社長」

『!?』

満場一致で驚きを隠せない俺たち。まさかこの人がメシアの社長とは・・・・・・! 雰囲気から見ても確かに納得だ。

「マリアはどうした?」

「お嬢様でしたらまだこちらに向かっている最中ですのでお待ちください」

「そうか、わかった。・・・・・・さて、君たちが私の会社のテストプレイヤーだな」

「は、はい。俺が、じゃなくて僕がプロゲーマー枠の一人として参加させていただいている九条類です」

「私は巫式夜、ゲーム会社の社長ともなれば私のことを知らないはずないだろ? だからこれ以上自己紹介はしない」

「ちょっ!? 式夜お前なんて口調で!」

「九条千尋です。不本意ではありますが御社のゲームの一般枠として参加させていただいています。社長さん、思いの外お若いんですね」

「千尋お前まで!? す、すいません社長さん、こいつらには後できつく言っときますから・・・・・・!」

態度が悪くてテストプレイから外されたら冗談じゃない。どうにかしてご機嫌をとらなくてはならない。だが、社長と呼ばれたその人物は怒る様子もなく、

「フフッ、ハッハハハハ!」

面白そうに高笑いをしていた。なんだこの人変人か。

「君達は実に面白いな! やはり若者はそうでなくてはならない。最近の若いもんはどいつもこいつも骨無しばかりで皆が皆人の顔色ばかりをうかがっているからな!」

「そ、そうですか・・・・・・」

いい人、なのか?

「疑う必要はなかったな。うん」

「へ?」

「いやこちらの話だ気にするな。それよりも今度は私の自己紹介だ。私はジョニー・メシア、僭越ながらこの株式会社メシアの社長兼技術班の班長を勤めている。よろしくたのむよ」

自己紹介しながら握手を求められたので応じた。がっしりとしたてのひらにすっぽり覆われる感じだ。

「よろしくお願いします。えぇっと、ジョニー社長」

「別にそこまで気遣わなくていい。ジョニーさんでいいよ」

「わかりましたジョニーさん。き、今日は一体どういうご用件で」

「別に難しい話ではないさ。君達テストプレイヤーに折り入って頼みがあってね」

「頼みとはなんだジョニー?」

式夜またお前というやつは! 年上を敬えアホ!

「エクストラ枠の参加プレイヤー、まだ君達にはなにも情報を教えていなかっただろう。実は私の娘なんだ」

「ジョニーさんの、娘さんですか?」

よかった、この人だったらもうショックで立ち直れない。あれが私の若い頃の写真だなんて言われたら本当にどうしようかと。

「あぁそうだ。テストプレイヤーである君達に頼みたいことというのはだな・・・・・・」

少しジョニーさんの声色が暗くなった。一体どうしたのだろうか。

「私の娘、マリア・メシアをどうか・・・・・・殺してほしい」

「は?」

その場にいるジョニーさん以外の全員が驚きの表情とリアクションを隠すことが出来なかった。


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