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第十六話 しがない義兄①

「お前こそ・・・・・・二日も何処に行ってたんだよ!? 心配した・・・・・・」

「そういうのはいいですから。心配なんていりません」

なにをぅ!? 二日間も何処かにいなくなっていた妹を心配するなっていうのが無理だろ!!

「でも千尋、お前マジで何処に行ってたんだ? だって家にはあんなよくわからないメモだけ残してさ。それにその格好は・・・・・・?」

「別に、類さんには関係ないじゃないですか。私は今とても憑かれているんです。あなたを相手しているような余裕はないんです」

こいつ・・・・・・! 言わせておけば好き勝手言いやがって。可愛いから許されるとでも思っているのか、だいたい心配してくれた家族に対してそういう態度はどうなのか。

「・・・・・・そうかよ、なら勝手にしろよ俺は帰るから」

「待ってください。今からタクシー呼ぶのでついでに乗っていってください、わざわざ歩くよりは・・・・・・」

「いいよ別に。俺は歩く」

制服の裾を翻し、俺は千尋に背を向けた。千尋が俺を無下にすることに関してはある程度までは納得していた。それでも二日間も意味わからんもの残して、いざ会ってみたらサバゲーの迷彩服を着てて理由もなにも教えてくれないとなれば、流石の俺でも怒る。

だって義理とはいえ家族なんだ。心配しちゃいけない理由はない。むしろ心配するのが当たり前なんだ。

そこから俺はしばらく千尋と一切口を利かなかった。






「うおぉぉぉぉぉ!!」

「はぁぁぁぁぁぁ!!」

式夜のバスターブレードと俺の短剣がぶつかり合う。

今日は二回目のテストプレイ、俺も式夜も互いが互いにオフラインモードでのレベル上げやクエストのクリアをし続けてきた。

その結果というわけでもないのだが式夜とのレベル差は殆ど無くなり、俺は初期の片手剣から連続攻撃に優れていて尚且つ飛び道具としても使える短剣をメインの装備にするようになった。

「(大剣は当たり判定の多さと強力な一撃が特徴。ただ他の武器と比べて攻撃速度は遅い。その反面俺の短剣は当たり判定は少ないし一撃は軽い。でも攻撃速度は他の武器の追従を許さない。つまりは素早い動きで式夜の攻撃を往なし、そこからカウンターで・・・・・・!)」

「もらった!」

「え」

式夜が振るった大剣の凪ぎ払いが俺にクリティカルヒット。派手に吹っ飛ばされた俺は昔の漫画みたいに壁にめり込んだ。





―――一時間後






またもや式夜に大敗した俺はログアウトしたらしたでテストルームを出た直ぐそこのベンチに座りただ項垂れることしかできなかった。

「お疲れ、ルイくん」

式夜が俺の首筋に自販機で買った缶を押し付けてきた。

「冷た!? なにするんだよ式夜!」

「まあ気にするな。はいこれ私の奢りだ」

「あ、どうも。ってごめん式夜俺ブラック無理なんだ」

式夜から渡されたのは無糖のブラックで、いつだったか飲んだときも無理矢理眠気を覚ますために飲んだだけで、飲めないことはないけれどもやはり苦手意識が出てくる。

「それはすまないな。なら私のでいいか? もう口をつけてしまったが、なんてな」

「だ、大丈夫。そこまで喉渇いてないから」

式夜の言い方には何処かに含みが感じられた。その言い回しはズルいのではないかつい意識してしまった。何がとは言わないけれど。

「ところでルイくん、なんで武器を短剣に変えたんだ?」

「あぁ、それはな・・・・・・」

別にたいした理由じゃないんだけど、まあ簡単な話、

「コントローラーっぽかったからかな」

「? どういうことだ」

式夜は首をかしげた。そりゃまあわからんよな。

「お二人とも、今よろしいでしょうか」

柊さんがテストルームから顔を出した。

「構わないですけど、なんかあったんですか?」

「えぇ、実は・・・・・・」






『三人目?』

俺と式夜は全く同じタイミングで声を上げた。三人目、というのはあれか、確か最初に言っていたな・・・・・・

「オーダーテスターのテストプレイヤーですか? 一般人枠となんかの特別枠の追加ってことですか?」

「はい、その通りです。次回のテストプレイからですが参加することになりまして。一般人ではありますが。ちなみに特別枠のテストプレイヤーはまだ参加するまでに時間がかかると連絡がありました」

「ちなみにどんな人なんだ? 柊殿」

「そうですね。類さんにとても関係がある人と言っておきます」

俺に関係がある人? となればスターゲイザーのメンバーとかなのか、でもそれだとそれこそプロ枠か特別枠だよな。よくよく考えたら特別枠っていうのもなんなんだろう。

「今一階のロビーで受付をしているはずですから会いに行ってみてはどうでしょうか?」

「それはいいな。行こうルイくん」

「いいけど、俺に関係がある人か・・・・・・」

式夜につれられ俺はメシアの一階のロビーに向かった。


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