第十四話 しがなくない付き添い①
「はぁ・・・・・・つっかれたぁ・・・・・・」
「大変だったね、ルイ」
式夜のせいで学校に遅刻して怒られてと、つい最近もこんなことがあったなと思い返す。
「もうしばらくは外泊とかいいわ・・・・・・本当にいいわ・・・・・・」
「そもそもなんでお泊まりなんてしたの? だって昨日は日曜だったでしょ、金曜日から泊まるようにして日曜の内に帰るとかにすればよかったのに」
「まあ、いろいろあったんだよ。いろいろな・・・・・・・」
美咲にはまだ式夜の事を話していない。というよりもテストプレイのことやフルダイブのことだって、教えていない。
正確に言えば教える時間がなかったと、この二日間はそれこそ一週間分くらいの時間の濃さがあったというかなんというか。
「家族旅行とか?」
「そんなとこだと思ってくれればいいよ」
「ふーん、でも変じゃない?」
「変ってなにが、別におかしいか?」
まさかハッタリだとバレたのか。バカな、今の会話のなかにはこれが嘘になる証拠なんてないはずなのに・・・・・・
「いやだってね、家族旅行とかならあの千尋ちゃんがいる限り学校に遅刻することなんてありえないと思うけど」
「え、あー、千尋は昨日やることがあるとか言ってさ来なかったんだよ。ほら、あいつ受験生だし」
「そういうものかな」
「そういうものだよ」
「へー・・・・・・まあいいや。それよりルイ、今日の放課後暇だったりしない?」
上手く話の論点がずれてくれたようだ。今日の放課後か、テストプレイは基本的に土日だしゲームの練習するにしたって一度は家帰る必要があるし。
「暇だとは思うけど、なんで?」
「ちょっとそこまで付き合って欲しくてさ」
今日の学校は新学期の開始時によくある午前授業のため各々生徒たちが帰り始めていた。本当に、いつもこうだったら楽なんだけどな・・・・・・
俺は美咲に連れられてある場所を訪れていた。電車を二本乗り継いでから徒歩で何分か、ゲームセンター「バニーノート」の電光掲示板が見えた。
「なあ美咲、どうしてこんなとこに来る必要が?」
「それは着いてからのお楽しみで」
バニーノートの店内は平日の日中であるにも関わらず大盛況だった。
「なんかやけに盛り上がってるけどさ、美咲そろそろ何か教えてくれてもいいだろ?」
「いいよ、と言っても見た方が早いと思うけど」
「?」
店内で特に盛り上がっている場所に視線を向ける。パッと見で二十人以上はその一台の筐体に並んでいる。
「あー、わかった。ロケーションテストか」
ロケーションテスト、通称ロケテス。普通のゲームで言うところの先行プレイみたいなもので今後稼働予定のアーケードゲームを一部店舗で限定的に稼働させ、テストプレイを行うというものだ。
「そうそう、今度この筐体我が家の店舗に仕入れようと思っててさ今日はその下見にきたの」
「それ俺いるか?」
「・・・・・・・ルイは可愛い幼馴染みを一人でこんな戦場に送り込むというの?」
自分でいうなよ自分で。確かに美咲は顔立ちとか凄くいい方と思うけどさ。ただちょっと性格があれなだけで。
「だいたい正式稼働前のアーケードが遊べるんだしさ、ルイもプロゲーマーとして興味ないの?」
「いや、まああるけどさ・・・・・・」
もっと先進的なテストプレイやっているとか言えるわけがない。
「それじゃあ、早く並ぼう。今からだとそうだね・・・・・・三時間も並べばいいかな」
「やっぱりそれくらいかかるよなぁ・・・・・・」
むしろこの人数で三時間程度でやれるなら早い方だ。
「これはこの前の約束事の代わりなんだからさ、つべこべ言わないの」
「はいよ・・・・・・」
ここ数日で判明したことだが、俺はどうやら女の尻にひかれるタイプのようだ。なんともなさけない。
逆らえるはずもなく、俺は美咲と一緒に並ぶことにした。




