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第十三話 しがない宿泊④

「さて、先に君から来るといい。私は後手で十分だ」

「後悔するなよ・・・・・・!」

戦場名、色欲の繁華街。バブル時代のような電装が煌めき、それが永遠に止まってしまった夜が訪れない戦場。

崩れたビルや落書きだらけの壁に身を隠すことが可能で、ステージの外観とは裏腹にアサシン的な戦法での立ち回りが必要になる。

が、そんなことは今の俺たちには関係なかった。色欲の繁華街にあるビルの屋上で現実と同じ容姿で、身の丈に合わないバスターブレードを構える式夜。

初期装備には存在していない両手装備の大剣はクエストをクリアしてレベル上げをしなければ精製することが出来ない。それを今式夜が持っているということは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「行くぞ、覚悟しろよ・・・・・・」

「君こそ負ける覚悟はしといたほうがいいんじゃないか?」

対して俺の装備は初期の片手剣。テストプレイの時に得た強化素材である程度の性能向上は済んではいるがこれがどこまで通用するのか。

剣を構えて、腰を低く落とす。そして力の限り地面を強く蹴る。

「オラァァァァァァァァ!!」

轟声とも取れる叫びと共に俺は式夜へ間合いを詰める。

「それでは、甘い・・・・・・!」

進行方向に式夜の持つ大剣が突き立てられる。

「なっ・・・・・・・うおっ!?」

勝負は、一瞬にして決着した。

突き立てた大剣を土台にし、さらには柄の部分を利用して式夜は体を回転させ数秒にも足らない時間で慌てて停止した俺の背後をとる。

そして、

「私の勝ちだな、ルイくん」

初期装備の一つである短剣で俺の心臓を抉り取った。

目に写るのはdeadの文字だけで、視界は少しずつ暗くなっていった。






「大丈夫か?」

「大丈夫じゃないって言ったら嘘になる・・・・・・」

「そうか、ならよかった」

受注したクエストを見てみるとそこにはミッションが失敗したことを指すquestfieldが一言。

式夜の方を見るとquestclearの一言。

「また、負けたな。俺は・・・・・・」

「そこで気を落とす必要はないぞルイくん。君のレベルは・・・・・・うん、5か。その反面私のレベルは13だ。さすがにしかたないさ」

「そういうことじゃないんだけどなぁ・・・・・・」

あの敗北に、レベルなんて関係なかった。そんでもって現実での能力値もだ。

敵の得物は大剣。ならば限界まで至近距離に詰めてしまえば勝てる。

普通のゲームなら、そういう考えでいいのだろう。だけどフルダイブのゲームはそう簡単ではないようだ。

仮想世界における戦略や戦法というのは、現実として出来るか出来ないかをも考える必要があるとこの身で実感した。

「とりあえず、ログアウトするわ」

「ん? 逃げるのか」

「・・・・・・ちげえよ別に」

「いや、私は一向にかまわない。君も散々私にボコられて来たんだから逃げたくなる気持ちもわかるとも」

ブチッ、と俺の中で何かが切れた。

「上等だこらぁぁぁぁぁぁ!! やっやるよ! 夜はまだまだこれからだぁぁぁぁ!!」

「そうこなくては面白くない」







学校には余裕で遅刻した。


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