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第十一話 しがない宿泊②

「少し・・・・・・待っていてほしい・・・・・・」

式夜は風呂場に俺を一人残してその場を後にした。準備があるとかなんとか。

正直な話、めちゃめちゃ緊張している。それこそこんなドッキリなんじゃないかと疑わざるをおえない状況だ、緊張しないわけがない。

年の近い女の子に背中を流してもらえる、しかも美少女。なるほど、つまりはただのごほうびか。

けれど油断するわけにはいかない。相手はあのアルティメットゲーマー。なにを仕掛けてくるかわからない。

「すまない、待たせてしまったな・・・・・・」

「!!・・・・・・え」

俺が想像していたのは、バスタオル一枚とかそういうラッキーなあれだ。全裸は夢がないからという個人的なは性癖は置いといて少なからず期待していた。でもこれは・・・・・・

「? どうかしたか」

式夜は上下ジャージ姿。世の中で言うイモジャーという奴を着ていた。

「あのー、式夜さん。なぜそのような格好をしているのでございましょうか」

「なんだ、確かに可愛さ等は微塵もない服装だが動きやすいんだぞ?」

「そういうことじゃないんですけど!? ってか背中を流すサービスかあるって!」

「だから動きやすい服装なんだ、これなら濡れても特に問題はないしな」

「なんだとぉ・・・・・・」

落胆のあまり肩を深く落とす。まあそりゃそうだよなそこまで都合がよかったらそれこそ冗談じゃねえよなぁ・・・・・・

「君は私の旅館をなんだと思っているんだ・・・・・・まあいい。それよりも、するのか、しないのか?」

その言い方は完全に語弊を生む気がする。でも折角だしな。

女子に背中を流してもらえるとか人生でこの先あるかすら分かんないし。

「それじゃあ折角だしお願いする」

「・・・・・・心得た」







「・・・・・・」

「・・・・・・」

気まずい。今世紀最大の気まずさだ。背中を流してもらったのは別に良かった。なんかこそばゆかったけど。

でも何よりこういうことをした後に残るものは、

「・・・・・・」

「・・・・・・」

一種の賢者タイムというものなのだろう。決して深い意味ではない。

「・・・・・・・ルイくん、もう寝るのか?」

「え、いや、こんな時間だけど下手に寝ると起きられないから寝ないつもりだけど」

「それなら丁度いい。ゲームの対戦をしないか? 私も今寝てしまうと起きられる自信がなくてな」

「別にいいけどさ、なんのゲームするんだよ」

「無論、リレイズフォースオンラインさ。お互いのレベル上げも必要だろうし、何より君はこの世界の私とはまだ戦っていないだろう?」

式夜に言われるがまま俺は修理したばかりのオーダーテスターを頭に取り付ける。相変わらずパッと見のデザインは安全眼鏡というか、少し安っぽいデザインだ。

「でも式夜、やるにしてもこの旅館ってインターネットの回線・・・・・・」

通ってなさそう、そう言いそうになったがここはあのアルティメットゲーマーの家だ、無いわけがない。

「なんか言ったか?」

「いや、なんでもない」

旅館の一室に戻ると既に布団が敷かれていた。何故か二枚も

「なんで布団二つも?」

「私用だ」

「え、なぜに」

だって別にオンラインなら別に同室になる必要なんかない。それなのに一体何故。

「オーダーテスターはまだ日本のインターネット回線非対応でな、それこそ専用の回線が必要になると柊殿が言っていた」

「布団が二つあることに関係があるように思えないけど」

「話はここからだ。なにも仮想世界を体験するにも必ずしもオンラインである必要はない。オフラインモードでもフルダイブは可能らしいからな」

そのことは柊さんからある程度話は聞いている。オフラインモードでもオーダーテスター事態はプレイすることが可能で、むしろプレイヤー個人のレベルを上げるのであればオフラインにしてソロでやったほうが効率がいいとまで言っていた。オンラインでチームやらクランやらデュオやらスクワッドやら、とにもかくにも他のプレイヤーと協力するとモンスターを撃破したさいの経験値が平等に振り分けられてしまうため一人辺りの取分が少なくなってしまう。

「でも折角なら他のプレイヤーと遊びたい。でもオンラインできない、そんな人用にオーダーテスターにはローカル通信の機能がある。だからこうやって布団を二つ用意したのさ」

「そういうことか、でも・・・・・・」

「でも? なんだ一体」

どうしよう、言うべきなのか。でもここで渋っていても式夜に対して失礼か。

「それはさ、式夜。女子としてはいいのか?」

「いいのかというのはどういうことだ。別に仕方ないことだろ。ローカル通信は近くないと行えないし」

「いやだって()()()()()()()()()()()()

「あ・・・・・・」

言われて気づいたようで。またもや式夜は顔を赤くした。

「・・・・・・別に構わないとも、問題ないさ」

「そ、そうか」

というかこっちが恥ずかしいのだが

「私は着替えてくるから先にやっていてくれ」

わかった、と俺は言われた通りにログインすることにした。



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