2話
放課後の部活、郡上知美は少し遅れてきた。
山県優菜は言う。「少し、遅かったね。」
郡上知美は言う。「ああ、すこしね。メモリを買ってきたんだ。」
次に来たのは、笠松ヘラだった。
山県優菜は言う。「遅刻だよー。」
笠松ヘラは言う。「ごめんなさい」
そして、最後に益鷹香奈子がもう一人連れて来た。
その子は自己紹介をする。「古町鉄研部に入部希望。黒血川愛海です。」
益鷹香奈子は言う。「ねえ、いいでしょ?」と山県優菜に同意を求める。
八木沢みおは言う。「あなた、かわいいですね。まずは私の洗礼に耐えてもらいましょう。」
山県優菜は顔を赤らめながら言う。「ちょっと、あんた、そんなことしたら入部希望者いなくなっちゃうじゃないの!!」
黒血川愛海は「これ、差し入れです。兄から貰いました。私もあまり興味のない車両ですし・・・」と言い、国鉄特急踊り子185系の9ミリゲージを山県優菜に渡す。
山県優菜は言う。「ありがとうね。入部できるかどうかは、顧問の先生に聞いておくね。でも、せっかくだから、今日は一緒に部活しよ?」
黒血川愛海は言う。「はい!ありがとうございます。」
「一緒にペーパークラフト建物切り出そうか~。」八木沢みおは言う。
黒血川愛海は言う。「そうですね。」
笠松ヘラは言う。「同い年とは、思えなーい。私より、しっかりしてるー。」
黒血川愛海は言う。「ありがとうございます。」
郡上知美は言う。「1年でこんな、しっかりさん!?。僕が1年のころは、もっと泣いてばかりだったわー。」
益鷹香奈子は「私もしっかりしなきゃなー」と言う。
笠松ヘラは言う。「香奈子さん。十分しっかりしてるよー。すでに、私たちの中ではツッコミの方だし。」
八木沢みおは言う。「ツッコミって・・・・あの・・・」
益鷹香奈子は八木沢みおに回転キックをくわえて言う。「変な妄想しないでください。」
八木沢みおは言う。「一応、先輩なんだから、もう少し優しくしてよね・・・・でも、痛いのもいいかも。」
益鷹香奈子は言う。「やっぱり変態だな。」
黒血川愛海は言う。「いつも、こんな感じの部活なのですか?」
山県優菜が言う。「そうなの。みおさんは変態だしね。」
みおは言い返す。「誰が変態だって?」
山県優菜は言う。「私の涙舐めて、感情判断したの?だーれ?」
「・・・・・・・・・」みおは黙り込んだ。
みおは言う。「あっあれは、みッみんなが優菜がどんな感情で泣いたのか・・・・わからないからと思ったからよ」
山県優菜は「へーでも、さっきの発言は、明らかに変態発言だよね~。」
みおは「ああ、変態認定かぁ・・・・」残念そうに言った。
笠松ヘラ言う。「みおさん自分が変態って気づいて無かったの?」
みおは言う。「気づくわけないじゃない!!!!」
郡上知美は突然に、言う。「ケント紙買ってきたよ~。」
益鷹香奈子は言う。「いつの間に??買ってきたの?」
郡上知美は言う。「あなたがみおさんに回転キックをくわえている間に、外に出て買ってきたんだ。」
益鷹香奈子は言う。「そう言えば、メモリ挿しました?」
郡上知美は「既に差しましたよ。来てスグに。」
益鷹香奈子は言う。「ほんとに仕事が早いですよね~。」
郡上知美は言う。「そんなこと、ないよ。」
山県優菜は、「まぁ、とりあえず部活の作業にもどりましょっか」と言った。
ケント紙で笠松ヘラは器用に恐竜を作った。
郡上知美は言う。「すごい、製図から、作成まで5分でこの恐竜を作るとか・・・・」
しばらくすると、八木沢みおがこう言う。「未来人って、どんな格好してると思う?」
山県優菜は言う。「現代に溶け込むために、今のデザインの服着てると、思うけど?」
郡上知美は言う。「未来人が現代に来る理由は、おそらく調査ですからね。」
笠松ヘラは言う。「おそらく、スーツだよ。未来人はスーツを着てる。」
益鷹香奈子は言う。「何で?」
笠松ヘラは言う。「ずっと前から、ほぼデザインが変わらず、一番無難だし、東京はほぼみんなスーツだしね?」
八木沢みおは言う。「さすがだね、ヘラちゃん。」
笠松ヘラは喜ぶ。「やったー、先輩にほめられたー。」
八木沢みおは、言う。「ヘラちゃんえらいえらい。」
郡上知美は「絶対、馬鹿にされてるやん。」と言った。
八木沢みおは言う。「馬鹿にしてないよ。目の付け所が、ヘラちゃんはすごいなと、思ってね。」
郡上知美は言う。「ああ、そうか、疑った僕が悪かった。すまない。」
八木沢みおは言う。「じゃあ、誠意を見せてね、だから、私とハグして。」
郡上知美は仕方なく従う。
八木沢みおは、郡上知美の腰の方に手をまわしだす。
郡上知美はあわてて逃げて言う。「なっ何をするつもりですか???」
八木沢みおは言う。「あら?いやだったかしら?」
郡上知美は言う。「さすがに、あれはだめです。僕、耐えられません」
八木沢みおは言う。「あら、そう。これはあなたに初めてしました。せっかく初めてあげようと思ったのに。」
益鷹香奈子は言う。「何気にさらっとすごい事、言ってますね。」
山県優菜は言う。「部活はそういう、時間ではありません。みおさん。廊下で頭を冷やして下さい。」
八木沢みおは、部室から退室した。
黒血川愛海は言う。「いつも、こんな感じなのですか?」
山県優菜は言う。「まぁ、いつも大体こんな感じです。」
黒血川愛海は「そうなのですか。」と言い、入部希望の紙を書きながら、部室を後にした。
郡上知美は言う。「みおさんのせいで、もう、またダメだった。」
山県優菜は言う。「もう、みおさん何とかしないとですね。」
益鷹香奈子は言う。「もう、みおさん何なのでしょうね?」
笠松ヘラは「なんか、最近、自分の欲求を抑えれてないですよね、みお先輩。」と言った。
次の日の昼休みの部室。
黒血川愛海が部室にやってきた。
郡上知美は言う。「てっきり、もう来ないかと思った。」
黒血川愛海は言う。「担任と、鉄研の顧問と相談したところ、入部OKでしたー。」
笠松ヘラは喜びながら言う。「やったーーーー。」
笠松ヘラは、黒血川愛海に飛びつく。
それを、郡上知美が引きはがす。「あんたまで、みおさんみたいになってどうする。」と言いながら。
笠松ヘラは何かを見つけ部室を飛び出す。
それをあわてて香奈子が追いかける。「ヘラちゃん!?」と言いながら。
そこには笠松ヘラを大人にした感じの女性と笠松ヘラがいた。
笠松ヘラは言う。「アンネ、どうしてここがわかったの?」
そこにいる女性は言う。「私に、わからないものなどないわ」
笠松ヘラは言う。「もう、人撃ってないよね?」
そこの女性は言う。「キャロライン、残念だけど、それが私の仕事。」
笠松ヘラは泣きながら言う。「小さいころに、約束したよね?もう一度やり直そうよ。」
そこの女性は言う。「残念だけど、もう、戻れないの朱莉さん。」
校庭の方から声がする。「アンネもう行くぞ。」
そこの女性は言う。「もう、行かなきゃ。」
笠松ヘラは叫ぶ「アンネ!!!行かないで!!!!」
その声もむなしく、彼女はスタスタと歩き、白いワンボックスタイプの車の助手席に乗った。
その車はもうスピードで校庭を走りぬけ、そして町へと消えていった。
笠松ヘラはトボトボと部室へ戻る途中に、益鷹香奈子にぶつかる。
益鷹香奈子は言う。「ヘラちゃんぼーっとしてるみたいだけど?大丈夫?」
笠松ヘラは言う。「大丈夫。ちょっと、オランダ時代を思い出してね。」
益鷹香奈子は言う。「ヘラちゃん、さっきの人についていろいろ聴いていい?」
笠松ヘラは言う。「いいよ。」
笠松ヘラは言う。「あの人は、私のオランダ側の親戚からも日本側の親戚からも遠縁の親戚で、オランダ行く前から、知っていたんだよね。同じタイミングで、オランダに行き、そして同じ学校で学ぶ事になった。3歳年上のお姉さんなんだ。同じような境遇だから、仲が良くてね。」
益鷹香奈子は言う。「その、お姉さんが言うことを聞いてくれなくて困ってるでしょ?」
笠松ヘラは涙目になりながら言う。「なんで・・・」
「ちょっと聞かせてもらったんだ。」と益鷹香奈子は言う。
笠松ヘラは泣きながら言う。「道を踏み外して、大変なことになる前に・・・・アンネを止めて・・・・・香奈子ちゃん!!!!!!」
益鷹香奈子は言う。「わっ私に言われても無理だよ・・・・・。」
笠松ヘラは言う。「じゃあ、なんで掘り下げたの!!!」
香奈子は何も言えなかった。
香奈子は後悔した。
「余計なことしなければ・・・・言わなければ・・・・・・」どこからともなく、そんな言葉が口からあふれ出した。
部室に戻ると、郡上知美が言う。「どしたん?二人とも顔色悪いけど。」
「なんでもない。」笠松ヘラは言う。
八木沢みおは言う。「あの、声のトーンを聞くと、何でもないようには思えないけど。」
笠松ヘラは言う。「なん・・・・でもない。」
山県優菜が聞く。「ヘラちゃん・・・・どうした・・・?。ヘラが暗い顔だと、なんか、いつもと違うみたいだけど。ねぇ、話せるようになってからでいいから話してよ・・・。」
笠松ヘラは言う。「今日は・・・・・無理そう・・・・」
「わかった、話したくないなら、言わなくていいから。」山県優菜はそう言った。
笠松ヘラは心が少し楽になった。
笠松ヘラは山県優菜に飛びつきハグする。
山県優菜は困惑しつつも、まんざらでもない様子で、「つ、辛かった、い、いつでも来ていいからね。」
笠松ヘラは泣きながら「優菜さん・・・・ありがとう・・・」と言った。
部活、終了のチャイムが鳴る。
山県優菜は言う。「ヘラちゃん寝ちゃいましたね。」
すると、笠松ヘラは目を覚まし、寝ぼけた様子で言う。「香奈子さんがいない・・・・」
八木沢みおが言う。「あれ?そう言えば、見かけないですね。」
郡上知美は嫌な予感がしたのだろう。こう言う。「探しに行くぞ。」
しかし、雨が降り出してきた。
「くっそ、こんなときにかぎって」山県優菜は言った。
瞬く間に雨はどしゃ降りになり、用水路などが増水していく。
「これじゃ、香奈子探しどころか、私たちまで風邪を引いて死にそうだわ。」八木沢みおは言った。
笠松ヘラが言う。「あれ、香奈子さんじゃない?」
増水した、用水路脇にたたずむ中学生を見つけた。
笠松ヘラたちは、あわてて駆け寄る。
「ちょうどいい、ここで死ぬのね・・・・」香奈子は言う。
「香奈子さんやめて、そんなことしないで・・・・」山県優菜は言う。
香奈子は「私も、落ち込んでたのに、ヘラばっかかまって、私のことはどうだっていいのでしょ?」言った。
「では、さようなら・・・」そう言うと香奈子は増水した用水路に飛び込む。
「やめなさい。」八木沢みおはそう言い、香奈子の手を引いたが、香奈子の引く力が強すぎて八木沢みおも増水した用水路にドボンと落ちた。
香奈子もカナヅチだが、みおはプールで溺死するレベルのカナヅチだ。
香奈子はしばらく浮いていたが、みおはすぐに沈んで見えなくなった。
郡上知美は「仕方ないな~。みおのやつ仕事増やしあがって。」と言い用水路の中に飛び込んだ。
まずは潜って、みおを救出し、優菜たちに引き渡す。
そして、流されている、香奈子を泳いで助けに行った。
郡上知美は息を切らしながら、言う。「あんたら・・・・、いい・・・加減にして・・・・・。」
香奈子は意識があったため、その場で謝る。「ごめんなさい・・・・」
郡上知美は言う。「香奈子がどないなってもええなんて、誰も思わへん。心配してたんだから。」
しかし、みおの意識が戻らない。
笠松ヘラはみおの体を起こし、カクカク揺らす。「ねぇ、みお先輩・・・死なないでよ・・・・死なないでーーーーーーー!!!!!!!!!」
笠松ヘラの悲痛な叫びがあたりに響いた。
山県優菜は八木沢みおの顔をはたく・・・「1回・・・・・2回・・・・・3回・・・」
八木沢みおをは「ううう」と言いながら目を覚ます。
そして、八木沢みおは言う。「ちょっと、記憶が混乱してますわ。」
八木沢みおは用水路に溺れた際に飲んだ水を嘔吐と言うかたちで用水路に吐き出した。
笠松ヘラは八木沢みおに飛びつく、そして、感情があふれてきて泣き出す。「先輩・・・生きててよかった・・・・本当に・・・良かった・・・・」
八木沢みおは言う。「ヘラちゃん泣いてるの??」
八木沢みおはあたりを見て言う。「優菜も知美さんも泣いている・・・・そして香奈子も愛海さんまで泣いている。」
八木沢みおは「わたし・・・・本当に死ぬところだったんだね・・・・・・」と言った。
次の日の放課後部活の時間。
笠松ヘラが部室に1分遅れで入ってきた。
みんな揃っていたので笠松ヘラは謝る。「ごめんなさーい」
益鷹香奈子は「なんかのアニメみたいだな」と言った。
郡上知美は言う。「そう言えば、黒血川さんの眼帯ってお洒落なの?」
黒血川愛海は言う。「では、外しますんで。カーテンを閉めてください。」
「えっ??」郡上知美は言う。
黒血川愛海は言う。「そんなこといいから閉めて!!!!!」
郡上知美はカーテンを閉めた。
黒血川愛海が眼帯を外すと、そこからは綺麗な緑色の瞳が出てきた。
郡上知美は言う。「眼帯とカーテン閉めては関係ありそうだね。」
???「その目、感情を見透かしたり、とてもきれいな眼ね。」
「千景!?」郡上知美はそう言い腰を抜かした。
笠松ヘラは郡上知美の大声で気絶していた。
山県優菜は言う。「千景さん・・・って、かなり顔いいですね。かわいい。」
「良かったらします?」千景は言う。
すると香奈子が千景にドロップキックを決める。
益鷹香奈子は言う。「みお先輩おかしいこt・・・・・って?違う人!?」
八木沢みおは言う。「あーあ・・・やっちゃた。」
益鷹香奈子は言う。「くっ暗闇だから・・・」
黒血川愛海は言う。「そうなんです。千景さん。感情が見れてしまいすので、いつも眼帯しているんです。」
千景は言う。「片目だと、バランスが取れないから、そういうのを遮るとき以外は、両目で気遣いしながらのバランスでいいんじゃないかしら?」
愛海は「そうか、片目だからいろいろバランスが取れなかったのか。」と納得した様子で言った。
しばらくして、カーテンを千景が開ける。
千景は言う。「どうかしら、両目だと。バランスとりやすいでしょ?」
黒血川愛海は言う。「はい!!」
千景はいつの間にか居なくなっていた。
笠松ヘラは目を覚ます。
笠松ヘラは言う「あれ・・・なにしてたの私・・・って綺麗・・・愛海さんの眼、綺麗。眼帯外していた方がかわいいじゃんー。」
黒血川愛海は「ありがとうヘラちゃん。」と言いヘラの頭を撫でた。
八木沢みおは言う。「もう、こんな時間。作業しなきゃ。」
「今日はいつも以上の集中でしたね。」と郡上知美は終わりのチャイムが鳴った後に言う。
その日の夜、黒血川愛海は夢を見る。「指から波動砲を出して、衝動的に笠松ヘラを殺す夢を。」
黒血川愛海は目覚める。まだ、朝の5時だった。
窓に銃の形に手を作り銃口を当ててみる。
派手に窓硝子が割れた。
壁に銃口を向けた。壁に穴が開いた。
「何これ・・・・」黒血川愛海はそう言うと二度寝した。
黒血川愛海は朝を起きるが窓と壁を見て現実と確信した。
「えっ??なにこれ・・・まさか殺しちゃうの・・・・・」
黒血川愛海は学校を休んだ。
[newpage]
放課後部活時間。
笠松ヘラは言う。「あれ?愛海さんは?」
郡上知美はが言う。「今日は休みだって。」
笠松ヘラは言う。「心配です。みんなでお見舞いに行きましょ。」
「そうだね。行こっか。」と山県優菜が言う。
イヤホンをして、作業をしている八木沢みおに山県優菜が紙を渡す。
八木沢みおはイヤホンを外して言う。「行きましょう。」
益鷹香奈子も言う。「行きましょう」
一同は、黒血川愛海の家に着いた。
家に着くと、女性の悲鳴が聞こえた。
それは、黒血川愛海の姉、黒血川詩央の声だった。
あわてて、一同は家の中に入る。
すると、詩央は言う。「妹が指で自殺した・・・・」一同は耳を疑った後に、目を疑った。
ゆびを鉄砲の形にして頭にあてそこから、溢れんばかりに血が流れ出していた。
笠松ヘラは気絶する。
郡上知美が救急車を呼ぼうと電話取り出した瞬間。黒血川愛海は起き上がる。
「なんか、生きようと思ったら、起きれたの・・・・なぜだか、自分でもわからないけど・・・・・」黒血川愛海は言う。
郡上知美は携帯を落とした。
周りにあった血や血飛沫、肉片もきれいに無くなっていた。