第4話【舞姫】Bパート
月の青い光が夜空に
輝く
公園らしき場所の中で、
―――――――――――
頭のうしろの方に
蝶結び
にした
青い大きなリボンをつけた
鈴鹿という少女の身体の
まわりに・・・
千にも、
とどきそうなほど多くの
青白い光が
浮かび上がっている…。
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その光の大きさから、
たくさんの
蛍の光が
浮かび上がっているようで…
少しのあいだ言葉を
忘れて、鈴鹿を見ている
白いジャージを
着たポチに・・・
―――――――――――
そこから
1メートルくらい離れた
場所に立つ、
背中にとどくくらいの
長い黒髪をした鈴鹿は、
「命ある世界には、
どの命にも、かならず
魂という
光が、宿り、
死ねば、その魂は、
また別の命に宿る。
・・・しかし、中には、
悪事などに
身を染そめて、この地に
さまよう魂も、確かに
存在する。」
―――――――――――
それが業・・・
カルマとも
呼ばれるものを
宿した魂だと…
説明する鈴鹿に、ポチは
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「つまりは、今、
君のまわりにある
たくさんの小さな光が
その、さまよえる魂だと
言うわけだ・・・。」
そう話すと、
話すポチから、
約1メートルくらい
離れた場所で、
鈴鹿は、
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「そうじゃ。そして、
その妾達の仕事と申すか
使命は、
その悪事を
働いた魂を、
他の魂と同じように、
新たな
器を
与えてカルマを
解消
させる事なのじゃ。」
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つまりは、そうやって
魂を、この世から
卒業させる事を
目的と、
している事を話す。
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それを聞いたポチは、
「なあ・・それなら、
その器って、
つまり
身体の事だろ
その魂の器になる
身体って、
どこにあるんだ?」
そう言って聞いてみると
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白い靴をはいた
鈴鹿は、
「フワリの部屋の中に、
少し大きな
オルゴール箱が
なかったか?」
さっきまで左腰の横の方に下ろしていた
広げた扇子で
口元を隠すと…
―――――――――――
その動作を(またか…)と
見ていたポチが
「あ・・ああ、
見た事があるけど…」
そう答えるので、
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鈴鹿は、
「あの中には、
一体の器が
入って
おるのじゃ。」
…と、
ポチに説明する。
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すると、ポチは
驚いたような
犬の表情で
「うそおおお〜ん!」
犬の遠吠えのように
声をあげたあと…
さらにポチは、
「いったい、器って、
どんな身体なんだ?」
…と、鈴鹿に
尋ねるので
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鈴鹿は、ポチから
1メートル
離れた場所から
左手の方に持った、
広げた扇子で
口元を隠しつつ
「そうよなあ・・・
最近なら、あの
箱の中にある
人工妖精の身体や…今
流行りの…」
そこまで言うと、
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ポチ
「まさか・・・
MOEドールか!?」
ポチが叫び声を
あげるので・・・
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鈴鹿は、広げた
扇子で口元を
隠したまま、
クスッと笑って
「まぁそう申すな。
やはり、いつの時代でも
気持ちのこもったものが
一番なのじゃ。」
透き通った声で、
そう言うと・・・そこで
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広げた扇子をパチンと
閉じて
「さて、もう夜も
遅いし
帰るとしようかの…」
そう言って、
身体のまわりにある
1000にもとどくほどの
多くの青白い光を
自分の身体の中に…
フッと、
しまってから…
―――――――――――
ポチを連れて、
帰ろうとした、その時!
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鈴鹿御前
「危ない!」
突然ポチは、背中を
左手に持つ扇子を
投げ捨てた
鈴鹿の両手に押されて→
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前の方に、
うつ伏せて
倒れると・・・
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そのポチの背中の上を
五センチくらいの
光の弾が、
ゴオッと
通り過ぎていき
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光の弾が飛んで来た方から…
「チッ…ミスったか…」
…と、
首にとどくくらいの
長さの金髪に髪を染めた
180センチくらいの
黒いジャンパーを着た
男が歩いてくる・・・。
すると鈴鹿は、
その男の右手に
はめられた
金属で出来た手袋の
ようなものを見て…
―――――――――――
「やはり
マジックハンドか…」
そう言うと、今、
5メートルくらい離れた
場所にいる、その男は、
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「そうだ。」・・と、
短く答える。
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マジックハンドとは、
充電する
までに・・・
―――――――――――
手の平の中にある
発射口
から電気の力で
約十発くらいまで
魔法の弾が発射できる。
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腕のまわりの部分は、
ゴムでカバーしている
金属製の手袋の事である
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金髪に染めた男
「今日は、これで
七発目だが
あと三発、残っている」
男がそう言ってる
あいだに
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鈴鹿は、腰をかがめて、
左手で扇子を
拾ってから…
背筋を
伸ばして、男を見て
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「教えてもらおう・・・
なぜ?このような
乱暴を
働く。」
本当に疑問に
思った声で、
その事に
ついて聞くと・・・
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白いものを《ズボンの事》
下の方にはいてる
黒いジャンパーを着た
男は
「えっ?
だってコボルトと
子供なんて、弱そうだし
試し撃うち
すんのに、
ちょうど良いだろ。」
そう言うので、
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そのあいだに地に
うつ伏せていた
状態から
立ち上がったポチが、
「最低な理由だ」
ジパングには、なんで?
こう…
人を批判したがる奴が
多いんだと考えている
あいだに
―――――――――――
ザッ…と履いてる
白い靴で・・・
その手袋をはめた男の
3メートルくらい前に
立った鈴鹿が、
また、バッ…と、
左手を振る事で
持っている扇子を広げて
「そうなのか?
しかし、残念じゃの。
先ほどの攻撃で妾に
魔法を当てる
唯一の
チャンスを、
のがしてしまったぞ。」
そう言うと・・・
―――――――――――
そんな…人の言う事など
気にせず髪を染めた男は
「あっ…そう・・・」
…と、
短く言いながら
右手にはめた金属製の
手袋の
甲《手の平の裏の事》の
ところにある【赤】【白】【青】と、横にならぶ
ボタンのうち
【赤】のボタンを
左手の人差し指の指先で
押して・・・。
その手袋の手の平を
鈴鹿の方に向けると
手袋の手の平の中にある
発射口のパワーを
シュウシュウ…と音を
たてながら
充電させていく・・・
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そのあいだに鈴鹿は、
「ポチ殿!すぐに妾から
離れるのじゃ!!」
ポチに声をかけて・・・
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ポチをさらに
五メートルくらい、
うしろに
下がらせると…
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そのあいだに
マジックハンドの
パワーをフルパワーに
充電させた
髪を金髪に染めた
若い男が鈴鹿の方に
向けた手の平から・・・
「くらええぇー!!」
3メートル前にいる
鈴鹿に向かって、
ボッ…ボシュウウゥ!と
約5センチくらいの
火球を放つ
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しかし、その火球は、
黄緑色の服を着た
鈴鹿の胸のところを、
スカッと通りすぎて・・
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そこにいる鈴鹿が、
スウッ…と、
消えたかと
思えば・・・
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その右側…
あるいは、左側に
現れては消え
現れては消え…と
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左手に持った扇子を
使って舞いながら
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右手にはめた手袋をさげた男を、円周に囲むように
瞬間移動のような
ものを繰り返し…
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髪を染めた男
「こ・・これは・・・」
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和琴の音や
横笛や
楽琵琶などの
雅楽の音楽と
共に
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黒い靴と
同じ色のジャンパーを
着た男の目に
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自分のまわりに
たくさんの光の花びらが
舞う
花吹雪が
映る。
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そこに瞬間移動のような
ものを繰り返す鈴鹿から
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「【幻視{げんし}瞬動】
人の目に映る光を
利用して・・・
ただの移動を、瞬間移動
しているようにみせる
術じゃ。
そして…【心色情転】」
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そこで、瞬間移動のようなものを辞めて、
立ち止まった鈴鹿が
広げた扇子をパチン!と
閉じると・・・
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男のまわりを、
たくさんの光に染まった
花吹雪が
吹くところから…
男は、鈴鹿が
紡ぎだす
幻想の世界へと入っていく…
―――――――――――
そこには・・・
吹く風によって
たくさんの光の花びらを
舞い散らす、
大きな木だけがあり…
他には、何もなく、
夜空がどこまでも
広がっている・・・
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大きな木があるところに
立っていた
髪を染めた男が
ふと、足元を見ると…
―――――――――――
いつの間にかそこにいた
白い子猫が
ニャーンと、
男を見上げていた…。
いつもなら右手にはめた
金属製の手袋の手の平を
向けて・・・
光の弾や火の球をぶつけていたところだが・・・
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髪を染めた男
「な…なぜ・・・
こんなに
この子猫が
可愛く
思えるんだ?」
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なぜ?攻撃出来ない?と
不思議に思う男の
頭の中に直接、
響くように、
清んだ歌声が
どこかから、
聞こえてくる・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
元曲ドナドナより〜
子猫が見てるよ
―――――――――――
は〜なふぶき〜
ふ〜いている
キ〜ラキ〜ラひかあてる〜〜
こ〜ね〜こ〜が
ま〜じまあじ
わ〜たし〜をみ〜ている〜〜
し〜ろ〜い〜こねこ〜
わたしをみ〜て〜る〜
きょとっとし〜た
ひ〜と〜み〜で
み〜て〜い〜る〜よ〜
まじまじまーじまあじ〜
こねこがみ〜て〜る〜
まじまじまーじまあじ〜
めがはなせ〜な〜い〜
―――――――――――
そして・・現実世界では
180センチくらいの男が
どこか遠くを
見つめながら
じっとして、動かないので…
5メートルほど
離れた場所から、
その様子を
見ていたポチが、
「なあ、さっきから、
じっとしてて、
動かないんだけど・・・
何か幻覚
でも見てるのか?」
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今は、となりに
立っている
鈴鹿に尋ねると
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鈴鹿
「まぁそんなところじゃ
さて、帰るとしようかの
ポチ殿・・・」
そう…ポチに言うので
―――――――――――
ポチは、
「こいつは、このまま、
ほっといて
大丈夫
なのか?」
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・・・と、
鈴鹿に聞くと、
長いモミアゲをした
鈴鹿は
鈴鹿
「心配ない。
あと3分もすれば、
元に戻るはずじゃ。
それに、元に戻ったら、
違いの分かる男に
なっておるから・・・
もう襲われる
心配もないはずじゃ。」
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そう言うので、ポチは
「あ・・ああ・・・。」
少し戸惑い
ながらも、返事をすると
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鈴鹿は、
「俊宗様以来じゃな・・
こうやって話すのは、
今宵は、
家に着くまで
語りあかそうぞ。」
そう言って、
ポチと一緒に
フワリの家へと
白い靴をはいた足を
向けるのだった・・・。
5話へ続く・・・
――――次回予告―――
次の日の朝、
フワリの部屋のベッドで
目が覚めたポチは、
そこで太陽の光で
青く光る銀の髪の少女と
出会う・・・そして、
その少女との出会いは…
ポチの新たな旅立ちの
始まりだった・・・。
―――――――――――
次回、第5話
〜学校への道
ポチ、新たなる人格と
おつかいに行く。