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第6話【サイレントキル】Bパート

心霊科学研究所

第2実験室

―――――――――――


両手で木箱を抱えた…

コボルトのポチは、


頭部の左側の髪を

青いリボンでテールを

作った少女、シルフィと


黒衣の服に身を包んだ、

長身の青年てある

クールアイと一緒に


午前中なのにうす暗い

その実験室の中に、

立っていた…。


そんな中…


白いジャージを着た

ポチが箱を抱えながら

クールアイの方を見て、


ポチ

(傭兵としても…

所長としても、

ずいぶん若いな…)


そう思っていると…


クールアイ

「お前が雪うさぎが

さがしていたという

コボルトか…

しかし、ヨメは、

渡さんぞ。」


クールアイが

そう言ってきたので…


そのとなりで立っていた

シルフィが

「いや…あんた、

いろいろと使う言葉を

間違ってますから…」


この場合は、娘は、渡さんでしょう

…と、言っているうちに


クールアイは、

両足のヒザをついて、

両腕で、

シルフィの身体を背後から抱きしめながら…


「まぁ、そういうな…

ヨイデハナイカ、

ヨイデハナイカ。」


…と、言うので、

シルフィは、ジタバタと

もがきながら…


「ええい!

寄るな!触れるな!

あっちいけ!!」


見事な

言葉の三段活用を使って

その場から、

離れようとすると…


ポチも

「シルフィも本気で

嫌がってるようなんで、

そろそろ離して

あげてください…。」


そう言うので、

クールアイは、

シルフィの身体にまわした両手を離して、

立ち上がり

―――――――――――

クールアイ

「まぁ、そういうな…

これは、

オレとシルフィたんの

恒例こうれいの行事という奴だ。」


…と、ポチに言うと…

―――――――――――

シルフィは、

閉じた両目の

左側の眉をピクピク

動かしながら


「初耳だな…

いつの間に、そんな行事が出来たんだ?」


そう言うので、


それに対して

クールアイが


「ついさっき。…つうか

シルフィたんは、

オレの嫁。」


そう言えば…


両目を開けたシルフィも


「待て、さっき…

何か、ボソッと、

とんでもない事を

つぶやいて

なかったか?」


そう返すのだった…。

―――――――――――

それから、

クールアイは、


「いつまで、箱を

持っているつもりだ?」


ポチ

「あっ、す…すいません」

木箱を足元の方に置く

ポチの方を見て…

―――――――――――

クールアイ

「あんな長い時間、

持ち続けていたら、

疲れるだろうに…」


ボソッと、

つぶやいていたので…

―――――――――――

シルフィ

「誰のせいだと

思っている!」


…と、シルフィが言うと

―――――――――――

クールアイ

「オレ達♪」


そう言って、

シルフィの方を見るので


シルフィは、


(あー!殴りてぇ、

こいつ…)

…と、

頭の中で思いながら、

顔の前で…

左手をギュッと

握りしめるのだった…。

―――――――――――

そのあと、シルフィは、

クールアイの方を見て

―――――――――――

シルフィ

「あんた…胸のどこか…

ケガしてるんじゃない?」

…と、クールアイに

聞いてきたので、

―――――――――――

クールアイ

「あぁ、前の戦いの時に…盾にしてた死体の身体から弾が貫通して…。

至近しきん距離から

銃を撃たれたからな…

でも、良く気づいたな」


そう言って、

おどろいていると

―――――――――――

シルフィ

「あんたの腕の中で、

あばれた時に…

顔には、

出さなかったようだけど

そんな感じがしてね…」


そう言うと、


シルフィは


「ちょっと、そのまま、

立ってなさい。」


そう言いながら、

クールアイのお腹の前に

左の手のひらを向けて…


シルフィ

「我、

オリエンス=シルフィード は、

癒しの風ラフィエルの名を借りて

ささやかな、風を起こす

吹け風よ。

ハーブウインド!」


エレメンタルソングと

呼ばれる聞いた事のない

言葉を発音しながら、


左の手の平から、

黄緑に光る風を放出する


すると…その光の風は、

クールアイの身体全体を


小さな竜巻のような

螺旋の風となって

包み込む…


少し時間がって

その身体を包み込む

小さな竜巻がおさまると

クールアイは、


「ありがとう…」


…と、礼を言ったあと…


クールアイ

「でも…

まわりの紙は、出来れば

散らかさないで

欲しかったな…」


シルフィ

「ごめ〜ん。」


両手を合わせる

シルフィを前に…


実験室の中にあった…

いくつかの紙が

癒しの風に巻き込まれて

飛んでしまった事に

なげくのだった。


そのあと…シルフィと、

クールアイは、

風で散らかった紙を…


ポチ

「あっ!

オレも手伝うよ。」


箱を置いたポチを加えて

かたずけると…


そのあと・・・


クールアイは、

木箱の置いてある方に

行ってから…


両手で木箱のフタを

開けて→


その中から…眠っている

蝶のような羽がついた

紅い髪の妖精を

両手ですくいとって、


クールアイ

「ふーむ…

相変あいかわらず、

いい仕事してるな。」


クールアイが

そう言うので…


シルフィが、

「ホントに、その器で

良かったの?」


その事について聞くと

クールアイは、


「もちろん…

MOEドールほどじゃない

けど・・・

妖精タイプもけっこう

需要じゅよう

多いんだ… 。」


そう答え…

それを聞いたシルフィが


「ふーん…

じゃあ、悪いけど、

いつも通り…お願いね」


そう言うと…


クールアイが

「今日は、いつもの半分

で、いいんだよな…。」

…と、

言ってきたので、

―――――――――――

シルフィ

「うん。そうね…

その変わり…」


シルフィが、

そこまで言うと…


クールアイが

「分かっているから…

心配するな…。」


そう言い残して…

両手で、すくいとった

妖精をフタのあいた

木箱に戻すと…

―――――――――――

奥の方に何かを

取りにいき…


そして…そのすぐあと…


クールアイは、

大きな封筒ふうとう

を、何かの小切手の

ようなものと一緒に

持ってきて・・・


まずシルフィに…


クールアイ

「本当に今月は、

これだけで

間に合うのか?」


…と、聞きながら、


シルフィ

「うん。

先月の残りも少しだけ、

残ってるし…」


そうシルフィが

答えたあとで…


クールアイ

「そうか…」


…と、クールアイは、

大きな封筒と一緒に

持っていた

小切手のようなものを

―――――――――――

シルフィの左手に

手渡し…


そのあと…

ポチの方に行って→


クールアイ

「ほら、これは、

キミのぶんだ…。」


そう言って、

大きな封筒のようなものをポチの両手に手渡すと…


ポチ

「これは?」


…と封筒を両手に持って

たずねるポチに…


クールアイ

「ヘルメス学院に

入学するために

必要なものだ・・・

くわしくは、

シルフィたんに

聞けばいい…。」


クールアイは、そう話し


ポチ

「???は?」


突然の話で

クールアイの話の内容が

わからない…ポチに


シルフィ

「じゃあ、

帰るわよ、ポチ。」


左手に小切手のようなものを持ったシルフィが

声をかけて…


「あっ…いや…ああ…

わかった・・・。」


ポチが、

それに同意すると…


クールアイ

「では、

名残惜なごりおしいが…

さらばだ、

シルフィたん。」


シルフィ

「ええい!!だから、

抱きつくなー!」


クールアイの腕の中で、

シルフィが

ジタバタしたあと…


シルフィとポチは、

第2実験室を

あとにするのだった…。


そして…それから、

心霊科学研究所を

あとにして…

ヘルメス学院から

出たポチは、


「それが生活費に

なるのか?」


シルフィが左手に持った

小切手のような紙に

ついて、聞いてみると…


「そうね…

スコール達の組織は、

私から買い取った

いろんなタイプの

ホムンクルスを、

売って…資金調達を

してるようだから…。」


シルフィがそう

言うのだが…

―――――――――――

ポチは、


「だけどさ…

ペットみたいに

すぐ捨てられるような

人間に、それを

売ったりしたら・・・」


その事が心配すると…


シルフィ

「大丈夫よ。」

…と、

シルフィが、


「そこら辺の心配が

ないから…あたしも、

彼らに協力して

もらってる訳だし…」


そう話すところから…

ポチは、

―――――――――――

シルフィが

クールアイ達の組織を

信用している事がわかり

ほっとすると…


そのあと、すぐに

隣で歩いてるシルフィに

―――――――――――

ポチ

「じゃあさ、本題に

移るけど…これ何?」


歩きながら…

両手に持った封筒を

シルフィの前に出すと…


シルフィは、

「ヘルメス学院に

転入するために必要な

書類よ。」


ポチに、その封筒の

中身について話し


それを聞いたポチが


「そんな事…

オレ、一言ひとことも頼んでは…」


右手に封筒を持ち変えて

そのあとを言おうと

すると・・・その前に

―――――――――――

シルフィ

「でも、ジパングで

何かしたいと思うなら…

まずは、そこに

行った方がいいわ・・。

…とは、言っても

転入試験があるから…

それに受かったら…って

話だけど…。」


シルフィがそう言うので


ポチは、歩きながら…


「試験?」


その言葉をくり返すと…


シルフィ

「そう…試験で、

ある程度良い成績を

とらなければいけないんだけど…

まあ、どんな問題が

出るか、

だいたい把握はあく

してるから心配ないけど

試験対策は、一応

やらないと…」


シルフィがあご

右の人差し指を

つけながら、

そう話すので…


その隣を歩きながら

ポチが

「だから勝手に話を…」


進めるなよ…と、

言おうとした時…


シルフィは、顎から

右手を離して


シルフィ

「だけど面接用に

制服とか買わないと…

服は、あたしが

見立てるから…

一緒に買いに

行きましょ。」

―――――――――――

ポチ

「あっ…おい。」


その右手で

ポチの白いジャージの

左のそで

引っ張って、

先をいそぐのだった…。


【第7話へ続く・・・】



――――次回予告―――


道路の歩道の上で、


右脇みぎわきの方に

大きな封筒と

たたんだ服の

はいった紙袋を

抱えたポチと…


白いワンピースの

ポケットの中に

お札と小銭をれたシルフィが一緒に

歩いていた・・・。


その途中でポチが


「なあ、

いくら何でも

茶色い制服は、

ないんじゃないか?」


…と、隣を歩く

シルフィに聞くと…


頭の左側の銀の髪を

青いリボンで結んで

テールを作った

シルフィは、


「いいのよ。

茶色い制服だから…

チャクランよ。

面接とかに印象的

じゃない?」


青い靴で歩きながら

ポチを見上げるので…


白いジャージを着た

ポチは、


「そうなのか?

オレ、学校については、

良く知らないけど…

何となく違う気が

するぞ…」


歩きながらシルフィに

言うと…


シルフィは、


「そうかな…」…と、


あごの方に一度

左手の人差し指の指先を

近づけてから…


すぐに、その左の人差し指を

あごから離して…


シルフィ

「まあ、

買ってしまったものは、

しょうがないじゃない」


試験の日は、

チャクランを着て

茶色い靴を履いて

いくわよ。…と、

シルフィが歩きながら

言うので…


ポチは、犬のような口を

あけて…

ハァ〜と、

ため息を吐いて


そのあと、シルフィに


ポチ

「じゃあ、

ヘルメス学院について…

聞いていいか?」


そう言って、

話題を変えると…


シルフィは、

ポチの隣を歩きながら…


「いいわよ…。」

…と、ポチに

ヘルメス学院の事を

話し始めた・・・。


シルフィ

「ヘルメス学院は、

エリート科と普通科の

二つの科に分けられていて…

ポチが試験で受ける

普通科が、

年齢制限なしの

50名定員なのに対し、

エリート科は、

小学生の頃から、

現役の児童達が

受けなければならず…

定員も7名のみと、

かなり厳しい条件に

なっているわ…。」


そんなシルフィの話に

ポチは、


「なんでエリート科は、

そんなに厳しいんだ?」


その事について聞くと…


シルフィ

「それはね…

エリート科の卒業生には

ジパングでの

国家錬金術師の

試験資格が与えられる

からよ…。」


他にも、有名魔術学校へ

転入できたり、

魔術に関わる仕事に

就職するのに

有利になったり…

いろいろ特典は、あるが

やはり、エリート科に

入らせようとする児童の

親御さんの目的は

ほとんど、それらしい…


シルフィ

「おかげで今年

普通科を受けた人達の

ほとんどが他の学校の

すべり止めだった

のに対して…

エリート科は、

受けたのが、幼児だけ

だったのにも関わらず

募集定員の

72倍の倍率だったって

聞いてるわ…。」


シルフィが、

そう話すので…


ポチ

「すごいな、

エリート科は…」


もし受けるのが

こっちの方の科だったら

とっくにあきらめてるな

…と歩きながら

考えていると…


そんなポチの考えを

読んだのか・・・


シルフィ

「でも、まあ…

あなたの受ける普通科は

今年は、0.75倍しか

なかったと聞いてるし…

生徒の半分くらいが

あなたと同じ亜人種や

大人だったそうだから…

勉強さえしっかり

出来てれば必ず

受かるわ。」


そう言って…ポチを

安心させたシルフィは、


シルフィ

「それに…あたしは、

できればポチに…

学校にはいって、

学生生活を楽しんできて

ほしいな…。」


そう思ってる事を話し…


ポチ

「自分も

学生だからか?」


…と、ポチが話すと、


シルフィは、


「ん。正確には、

フワリがなんだけどね」


あたしは、あくまで

フワリの前世よ…と、

ポチに言ったあと・・・


シルフィ

「あっ!家が

見えてきたわ…。

早く帰りましょ。」


そう言って、

歩く足をはやめて

ポチの先を歩くので…


ポチは、

「えっ?あっ…いや…」

…と、

少しとまどいながらも、


封筒や紙袋を

右腕や右手を使って

抱えながら…

シルフィのあとを

追うのだった・・・。


次回〜

第7話【ヘルメス学院】

お楽しみに〜

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