第6話【サイレントキル】プロローグ
海の星アクアマリン・・
この星でも中部にある
地域では、
紛争があった…。
――中近西、戦場〜――
多くの家が炎に包まれた
夜の戦場に…
緑色のガスマスクを
頭部につけて…
緑のボディスーツで
全身に身を包んだ男1が、
右手に銃を持って、
立っていた・・・。
―――――――――――
その足元には、
黒い衣服を着た
髪の長い女性が、
血の海にうつぶせて
倒れている・・・。
―――――――――――
その緑色のボディスーツを着た男1の
七メートルほど
離れたところに・・・
―――――――――――
ザッ・・・
黒いプロテクターのようなボディスーツを着た
少し髪の長い青年Aが
現れた…。
―――――――――――
そして・・・
現れた途端…
青年Aは、
右手でナイフを
握ったまま、
緑のガスマスクをつけた
男1の方に向かって走り
―――――――――――
そこで走ってくる、
青年Aの存在に気づいた
緑のボディスーツを着た
男1が右手に持った
黒い銃を
青年Aに
向けようとした時!
―――――――――――
青年A
「遅い…」
青年Aは、右手に持った
ナイフの刃をブスリと…
緑のボディスーツを着た
男1の心臓に突き刺し…
―――――――――――
男1は、右手に握った
銃の引き金を
引く事なく
絶命し…
―――――――――――
青年Aが男1の左胸から
右手に握ったナイフを
引き抜くと・・・
―――――――――――
男1は、
右手に銃を握ったまま
その場に、
くずれ落ちるようにして
うつぶせに倒れた…
―――――――――――
青年A
(これで一人・・・)
だが青年Aは、すでに
気づいていた・・・。
―――――――――――
敵の数が、
これだけでは、ない事に
―――――――――――
青年A
(右側か…
距離は、
およそ十メートル前後)
―――――――――――
おそらく、敵は、青年Aの存在に気づいて…
銃の引き金を引くところ
だろう・・・
―――――――――――
それから、青年Aは、
男1の身体から
引き抜いたナイフを右手に
その敵のいる場所へ
向かって駆け出し
―――――――――――
やがて・・・
男1と同じガスマスクと
ボディスーツをつけた
その敵の男2が
―――――――――――
両手に構えた銃で
自分の頭部を狙って
いる事に気づく・・・
―――――――――――
それを見て、
(しめた!)と、
思った青年Aは、
―――――――――――
敵の男2が銃の引き金を
引く1秒手前で…サッと
頭だけを下げると・・・
―――――――――――
パァン!!と銃声が
聞こえた時に
自分の後頭部から
後ろの首筋にかけて
熱が伝わるのを感じる…
―――――――――――
それは、おそらく、
頭部を狙って
放たれた
弾丸が…
そのすぐ上を
通過したから
だろう・・・。
―――――――――――
その事に男2が
気づいた時には…
その男2の視界にすでに
青年Aの姿は無く…
―――――――――――
次の瞬間
その男の首筋に・・・
男2の背後にまわった、
青年Aの
右手に持った
ナイフの刃が当てられ…
そして…
―――――――――――
シュパッ!・・・
―――――――――――
痛みを感じる
暇もなく男2の首に
一筋の
赤い線が走る・・・。
―――――――――――
それから、青年Aは・・
仰向けに
倒れようとする男2を
盾にして、
身を隠し・・・
―――――――――――
パァン!…という
銃声と共に別の方向から飛んでくる
弾丸を男2の身体を
使って防ぎ…
―――――――――――
銃声が聞こえた方へ
男2の死体ごと身体を
向けると…
―――――――――――
青年
(距離は、十メートル
ちょっとか・・・)
―――――――――――
銃を発砲した
敵の男3との距離を
9メートル…8メートルと
詰めていき・・・
―――――――――――
7メートル付近でパァンと もう一度、身を隠している
死体の身体で銃の弾丸を
受けたあと…
―――――――――――
青年A
(この距離なら…)
――――――――――――青年Aは、パッと、
身を隠していた死体から
離れると・・・
―――――――――――
ガスマスクをした、
敵の男3の身体めがけて
右手のナイフを、
ビュンと投げつけた!
―――――――――――
すると・・・
そのナイフが刺さった
男3の左胸から、
ブシュウゥーと、
赤い血が吹き出し・・・
緑色のボディスーツを
着た男3は、
その場でドサッと
仰向けに倒れた。
―――――――――――
青年A
(これで…終わったか…)
―――――――――――
そう思った時、青年Aは、背中に人の気配を感じた
―――――――――――
青年A
(十メートルくらい先か
ナイフを取りに行く
時間を考えると・・・
さすがにヤバいな…)
―――――――――――
絶対絶命だと思った、
その時・・・
―――――――――――
パァン!!
銃声が聞こえて、先ほど
青年Aが感じた
気配が消える
―――――――――――
青年A
(敵か?それとも・・・)
―――――――――――
青年Aがナイフを取りに
戻ろうとしているうちに
銃声が聞こえたところの
奥の方から聞こえる
足音がザッ、ザッ…と
大きくなり
―――――――――――
???
「さすがのお前も
今のは、ちょっと
あぶなかったようだな」
―――――――――――
黒髪の青年Aと同じような黒いボディスーツを着た
銀髪の青年Bが
近づいてくる・・・。
―――――――――――
青年Aは、その青い目で
肩までとどくくらい長い
銀髪をした青年Bを見て
―――――――――――
青年A
「スレイブか…髪切れ。
お前・・・」
―――――――――――
そう言うと…
腰の右側に
拳銃を差した
長い銀髪の青年Bは、
―――――――――――
「あぶないところを
助けてもらって、
いきなり、それかよ…」
そう言ってから…
ハァッ…と、
ため息を吐いて…
―――――――――――
そのあと、
青年Aが倒してきた
三人の男の死体を
見渡すと…
―――――――――――
青年B
「しかし、こいつら…
魔女狩りを
してる奴らだよな・・・
そのわりには、
銃を撃つ時とか…
素人くさく
なかったか?」
―――――――――――
青年Bがそう言うと…
―――――――――――
青年A
「魔女狩りだからだろ」
―――――――――――
…と、青年Aが言うので
―――――――――――
青年B
「どういう事だ?」
…と、青年Bが
青年Aに聞いてみると
―――――――――――
青年Aは、
「こいつら、ガスマスクのようなものをつけているけど…
おそらく、その中には、
魔法使いを発見するための装置みたいなものが、
ついているんだろう…
それに・・・」
―――――――――――
そう言って、そのあと
青年Bが
「それに?」
―――――――――――
…と、青年Aが言った事を繰り返すと・・・
―――――――――――
青年A
「素人を
なめない方がいい・・・
最近の素人の中には、
戦闘に関する
知識がオレやお前を上回る奴もいるし・・・
何より殺す時に
躊躇がない・・・オレもお前も
油断をすれば
殺られるぞ…。」
―――――――――――
青年Aがそう言うと…
―――――――――――
青年Bは、広げた両手を
肩のところまで
上げながら
―――――――――――
「戦争のプロのオレ達を
上回る
素人がたくさんいるって
事か…
おお、ヤダヤダ。」
―――――――――――
そう言うと…青年Aは、
青く輝く月を
見上げながら…
―――――――――――
青年A
「まぁ、
そういう時代だから
彼女らは、ふたたび
現れたのだろう・・。」
―――――――――――
そう話す…青年Aを・・
―――――――――――
青年Bは、
「ミューズか…
単なる伝説だと
思っていたのに、まさか
実在したとはな・・・」
そう言って、
その青い目で
青年Aを見つめる…。
―――――――――――
その視線の先で、
月の光に照らされながら
月を見上げる青年
スコール=クールアイの
姿は、どこまでも幻想的な美しさを放っていた…。
――亜人種について…―
ポチのようなコボルトも
この亜人種に族するが…
亜人種が生まれる理由は
大きく二つに分けられる
―――自然発生種―――
このアクアマリンの
世界は、魔法などが
生まれている事からも
分かる通り・・・
意思が世界に及ぼす
影響が私達の世界よりも
極めて高い…
それゆえ…
人の飼い犬などが
人の姿を見て…
人のようになりたいと
思い続けた場合。
その飼い犬自信は、
無理だが
2代3代と続いていく…
その犬の子孫達の
脳などに、その考えが
影響を与え、
やがて、それが身体にも
影響を与えて
人の姿に近づいていく
…という説がある・・。
この進化の早さは、
この星だからこそ
考えられる事だろう…。
―――突然変異種―――
これは、ポチみたいに
魔法で姿を変えられた
ものと・・・
人によって作られた
人工のものと
二つに別れている…。
なお、ポチみたいに
魔法で姿を変えられた
亜人種と違って、
人工の亜人種は、
人間達に逆らえない
ように、脳に
刷り込みをされて
いるので・・・
人に対しては、
どこまでも従順である…