表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/16

第5話【学校までの道〜】Bパート

太陽が照らす歩道の上を

白いジャージを

着たまま歩く、

コボルトのポチが、

―――――――――――

白いワンピースのような

ものを来て

銀髪の頭の左側を

青いリボンで

むすんだ少女

シルフィと一緒に

歩いていた・・・。

―――――――――――

ポチは・・・

40センチ四方の

木箱を両手に

かかえて、

先を歩く、シルフィに

―――――――――――

ポチ

「なあ、髪を

両側りょうがわ

むすんだものを

ツインテールって、

言うんだよな・・・。」


ポチが、そう言うので、


シルフィが、

「そうだけど…それが

どうかしたの?」


その事を

たずねると、


ポチが

「いや・・・

シルフィみたいに

片側かたがわだけ

髪をむすぶのは、

なんて

言うんだろうな・・・と

思って…」


そう言うので、

シルフィは、

木箱を両手に持って、

歩きながら・・・

顔をあげて


「う〜ん。

なんて言うのかなあ?

ワンテール??」


…と、言うと

そこにポチが、


「テールは、

尻尾しっぽっていう

意味だろ。」


そう言ってくるので、


歩きながらシルフィが、


「そのようね・・・。」


…という返事をすると、


ポチが

「じゃあ、シルフィは、

左側をテールに

してるから・・・

ここは、男らしく

左しっぽと名づけよう」


勝手かってに、

そんな提案ていあんをするので…

―――――――――――

両手に木箱を抱えて歩く

シルフィは、

一度、立ち止まって、


「おい・・・」


・・・無表情な顔で、

―――――――――――

うしろで歩いている

ポチの方を見るのだった


―――――――――――

―――――――――――


道路の

歩道側ほどうがわ

180センチくらいある

白いジャージを着た

コボルトである

ポチの前を・・・


青く光る銀髪の

頭の左側を青いリボンで

むすんで

テールの形にした

90センチくらいの少女が


木で出来た箱の下を両手でささえながら

青い靴で歩いていた

―――――――――――

しかし、もう、これで

何回目なんかいめ

だろうか・・・

ポチが、

その少女シルフィに、



―――――――――――

ポチ

「なあ、持とうか…」

…と、

声をかけたのは・・・

―――――――――――

半分近くある、

その木箱を

はさむようにして

抱えていた時とは、違い


今は、箱の下を両手で

支えているので、だいぶ

無理があるのだ…。

―――――――――――

ポチ

第一だいいち

その持ちかただと

前が見えないだろう。」


ポチが何度そう言っても

―――――――――――

シルフィ

「大丈夫よ・・・。

気配けはいで、

人や自転車が来た時は、

分かるから・・・

まわりに迷惑は、

かけないわ。」


…シルフィがそう言って

聞かないので


もう、ポチは、頭の中で


(でも、もう、だいぶ、

息があがっているぞ…)


今、見ている

シルフィの姿が

まぼろしとはいえ

ポチから見れば、

大きな箱を持って

歩いてる小さな

女の子なので


思わずポチは、


「目的地ってあと、

どれくらいなんだ?」


・・・と聞かずには、

いられなかった。


すると、シルフィから…


「もう、そろそろ、

見えても良いはずよ。

ヘルメス学院ヒノモト校が…」


…と、告げられて、

さらに先に進むと…


やがて…ポチの目に

白黒ながら

ヘルメス学院が

見え始めた・・・→


―――ヘルメス学院――


そこは・・・

とても広い場所だった…


学院の門から入った

ポチが

「遊園地より

広いんじゃないか?」


…と言ってしまうほどに


そんなポチの言葉に…

木箱を持ちながらも、

先を歩く…シルフィは、

―――――――――――

「当たり前よ。

ここには、

生徒に対しての

年齢制限ねんれいせいげんがないから・・・

子供の生徒だけじゃなく

大人の生徒もたくさんいる…

それに、あなたみたいな

ヒューマン《人間の事》

じゃない人も少数ながら

いるみたいよ。」

―――――――――――

そう話すので

それを聞いたポチが


「そうなのか?」


・・・と、

言いながらも頭の中で…

―――――――――――

ポチ

(オレみたいに悪魔に

呪いをかけられた

人間が、ほかにも

いるって事か?

いや・・・もともと、

そういう人間もいたって

うわさもあるしな…)


そんな事を

考えているうちに・・・

いつの間にか

立ち止まっていたらしく

―――――――――――

箱を持って

先を歩いていた

シルフィが顔を

ポチの方に

向けようとしながら

―――――――――――

「こらこら、そこ!

立ち止まってないで

さっさと行く!」


そう言うと、


それを見ていたポチから

―――――――――――

ポチ

「おい…足元…」


そう言われても

気付きづいた時には

すでにおそく…


木箱の下を両手で

ささえながら

歩いていたシルフィは、


地面にまっていた石に…


右足にいていた

方の青い靴のつま先が、

ぶつかって、


「きゃあっ。」


スッテーン!と前の方に

ころんでしまった


そのせいで、中に

妖精型ようせいがた

のホムンクルスが

はいっていた

40センチくらいの木箱は

さらに前のほう

投げ出され・・・

―――――――――――

シルフィは、

前の方に

両腕りょううで

ばした・・・


漫画マンガみたいな

見事みごと

けかたで


うつせて

たおれてしまった

―――――――――――

ポチは

「大丈夫か!」

・・と、うつ伏せに倒れたシルフィに

駆けろうとするが…

その途中とちゅう

―――――――――――

シルフィ

ないで!」

―――――――――――

…顔を上げたシルフィに

言われて、ポチが

立ち止まると・・・

―――――――――――

シルフィ

「一人で、立てるから」


・・・そう言われたので

ポチは、シルフィが

立ち上がるあいだに…

―――――――――――

ポチ

「分かった・・・。」


…投げ出されたせいで、

中から飛び出した妖精を


フタの取れた

木箱の中に入れたあと


はずれていた

フタを、

また木箱の上に

かぶせてから…


また、その木箱を両手で

持つと・・・


衝撃しょうげき

あたえた時に…

目をました妖精があばれた事で、


箱の中からドンドン!と

軽い衝撃と音がするので

ポチは、


「これは…

いそいだ方が、

良いな・・・。

オレが持っていくから、

シルフィが、先行して

道案内みちあんない

をしてくれ・・・。」

立ち上がった、

シルフィに向かって、

そう言うと・・


シルフィは、ポチに、

顔を見られないように…

さっさとポチの前を

歩きながら・・・

―――――――――――

シルフィ

「ゴメン・・・

そうしてくれる?」

―――――――――――

…普段{ふだん}と違って、消えいりそうな声で

そう答えるので・・・

―――――――――――

気になったポチは、

歩く速度を上げて…

―――――――――――

「どうした?」


木箱を両手に

かかえたまま、


チラッと、

シルフィの横顔を

見てみると・・・

―――――――――――

ポチ

「泣いてんのか?お前」

―――――――――――

涙を紫色の両目に、

めたシルフィの

横顔が見えたので、

そう言うと・・・


シルフィは、左腕で

両目をゴシゴシ

こすりながら…

―――――――――――

シルフィ

「泣いてなんかないわ。

これは・・・そう・・

あせよ!」

―――――――――――

そう言って、

トテトテ…と

げるように…

歩く速度をあげて、

またポチの前を歩くので

―――――――――――

ポチは、そのまま、

シルフィのうしろを

箱を持って、歩きながら

―――――――――――

ポチ

「なんで?そこまで

意地いじ

なるんだ?」

・・・と、

聞いてみると、

―――――――――――

シルフィ

「だってさ・・・

こんな荷物にもつ一つはこべないような

女が、風の精霊の

元になったって、

知ったら、みんな

ガッカリするじゃない?

だから・・・

精霊信仰せいれいしんこうとか、してる人達に

もうし訳なくて」

―――――――――――

そのあと、

両肩を少しだけ

ふるわせながら

―――――――――――

シルフィ

「ああ!もぉー!

なんで、こう

不器用ぶきよう

なんだろ!

あたしは・・・」

―――――――――――

そうさけんで

一人で葛藤かっとう

していたので・・・

―――――――――――

歩きながら、その背中を

見ていたポチは、


「まあ、どんな人間だって、理想通りには、なかなかいかないものさ・・・。

だからさ・・・

いそがないで、

着実ちゃくじつ

一歩ずつさ・・・

理想にかって

あゆんで

いこうな・・・」

―――――――――――

すると、シルフィは、

また、両方の肩を

震わせながらも・・・

今度は、プッ…ククッと

笑って・・・

―――――――――――

シルフィ

「ぷはははは・・・

あんたも良く笑わないで、そんなずかしい

セリフがいえるわね!」

―――――――――――

シルフィが、

うつ向きながら、笑っているのが、

背中から見えるので


ムッとしたポチは、

両手に木箱を

もちながらも


「し…仕方ないだろ!

言ってるオレも、

死ぬほど恥ずかしかった

んだよ!」

―――――――――――

シルフィの後方を

歩きながら、

恥ずかしそうに

そう言うと・・・


シルフィが

「あなたも、良くあたしにかまうわよね…。

なんで?」


その理由を聞いてくるので…


先を歩くシルフィの

背中を見ながらポチは、

―――――――――――

「あ・・いや・・・何だ、その・・・つまりだ。

シルフィのその考え方が

嫌いじゃないからさ…」


れくさそうに、

そう話すと、


それを聞いたシルフィが


「素直に好きって言え」


前を歩きながらボソッと

そうつぶやいたの

だが…


ポチには、良く聞こえず


ポチが

「へっ?

何か言ったか?」


そう聞いても、

シルフィは、一度


「な!ななんでもないわ!そ…空耳そらみみ

そう空耳よ。きっと!」


そう言って・・・

―――――――――――

それを聞いたポチも


「そうなのか?」


そう答えて、


そのはなしは、

一度、終わったのだが…


少しすると・・・


歩きながらも、

そおっ…と、ポチのいる

うしろを見た

シルフィが

「ねぇ…聞こえた?」


また、そう言ってきたので…


ポチが、

少しれる

木箱を両手で

かかえながら…


「なぁ、ホントに

なんか言わなかったか?」―――――――――――

そう聞いては、

みたものの、シルフィは


「え…えっと…あの〜

その〜そう!風の音。

きっと!風の音よ!!」


プイッと前を向いて

歩きながら・・・

そう答えるので、


ポチは、

「そ…そうか!」

気のせいか・・・と、


シルフィと話を

していた時に

おそくなった

歩行速度を、また、

はやめるのだった

→・→・→・→・→・→

それから、

目的もくてきの場所にかって、

少し歩いていると・・・


ポチの前を歩いていた

シルフィが


「はぁ〜…良かったぁ。

今日は、生徒達に

会わずにすんだわ…。」


―――――――――――

きゅうに、

そんな事を言ったので、

ポチは、

「生徒達と何か

あったのか?」…と、

聞いてみると、

シルフィは、

「何かあったって訳

じゃないけど・・・」

―――――――――――

そう言うと、そのあとで

両肩を震わせながら

―――――――――――

「だって、あの子達、

あたしの事を・・・

勝手かって

ミャアちゃんとか、

タマちゃんとか

名付なづけたりして

猫扱ねこあつか

するのよ・・・。

はてに、

あたしののど

指先でコロコロ

でたりして…

ホント、失礼しつれいしちゃうわ。」

―――――――――――

そう話すので、

ポチは、

バゥッ…と、

吹きだしてしまい

―――――――――――

シルフィ

「笑うなよ。もぉー!」

―――――――――――

一瞬いっしゅん

うしろの方を見て

そのあと、フン!…と、

前へ視線しせん

もどして、

歩く速度を速める

シルフィに・・・

―――――――――――

ポチ

「ゴメンゴメン・・・」

…と、

あやまりながらも

頭の中では・・・


(ちっちゃいし・・・

ホント猫っぽいから、

つい…からかいたく

なるんだろうな・・・)

…と、

そんな事を考えながら、

シルフィのあとを

うのだった→


そして、それから、

さらに少しあるいて…

―――――――――――

――心霊科学研究所――

目的地もくてきち

辿たどりついた

ポチは

「ここか・・・」

両手に木箱を抱えながら

―――――――――――

その外見がいけんが、

少し黒っぽい鉄の色をした…

半球形はんきゅうがたの大きな建物を

見上げていた・・・。

――――――――――――入口のそばには、

白いワンピースを着た

シルフィが立っている…

―――――――――――

そして、ポチが、研究所の入口いりぐちである

その白いドアの前に立つと…

シルフィが、

「箱は、もう

なくなった?」


そう聞いてきたので

―――――――――――

ポチ

「ああ・・・少し前から

おとなしくなった…」

…と、

ポチが言うと…

シルフィは、


クルリと、

ポチに背中を向けて、


「ほ…ほほほほんと、

いろいろ助けてくれて、

その…なんだろ・・・」


両肩りょうかた

ふるわせながら、

何かを話そうとしてるのでポチが、

「いや・・・

何を言おうとしてるのか

分かったから・・・」


無理をするな…と、

言おうとした時

―――――――――――

シルフィ

「つまり!

感謝してるって

言う事よ!!」


ひらきなおった

ように・・・

シルフィが話すので、

両手に木箱を抱えながら

ポチが


「いや・・・

オレも、シルフィや、

フワリに

世話になってるから

あたり前の事をしただけ

だって…」


こっちこそ、いつも

ありがとうな・・・と、

シルフィのうしろ姿を

見ながら話すと、

―――――――――――

その前でシルフィは、


恥ずかしそうにほおを薄い紅色べにいろめながら・・・


「素直に返すなよ。

対応たいおう

こまるじゃないか…」


そう言うと、フッ…と、

フワリの姿に変わり

―――――――――――

フワリは、桜色がうすく

かかった白い髪を

フワッと、らし

ながら…

り向いてポチを

見上げると・・・


「シルフィちゃん・・・

ポチに感謝かんしゃ

されて・・・

とっても、恥ずかしかったみたい・・・

それでね。ポチ・・・」


次の瞬間しゅんかん

ポチは、

思わず息を飲んだ

―――――――――――

フワリ

「まっ、ありがとね・・

だって…」


なぜなら・・・そう言う

フワリの姿に、

やさしく

微笑ほほえ

シルフィの

面影おもかげ

かさなったから

だった・・・。


6話へ続く・・・



――――次回予告―――

――心霊科学研究所――

その入口である

ドアの前で、

木箱を持って立っていた

白いジャージを

着たポチは

―――――――――――

そのそばで、

ポチを見上げる

白いワンピースの

ようなものを着た

フワリに

―――――――――――

ポチ

「なあ、シルフィって…

たまに、背中を向けて

話すけど・・・

どうしてなんだ?」


その事について聞くと…

―――――――――――

頭のうしろの方に、

蝶結ちょうむすびに

した

青く大きなリボンを

つけたフワリが、


「シルフィちゃんって…

照れると、そっぽを向く

クセがあるの。」

…と、

そう話すので、ポチが、


「そうなのか?」

…と、

もう一度、聞くと、


フワリは、

「うん。そうだよ。」


・・・そう答えたので、

―――――――――――

ポチ

「ここで、フワリに

変わったのも…

恥ずかしかった事が

理由なのか?」

…と、

聞いてみると、フワリは

自分のあご

左手の人差し指の指先を

そえて・・・


「う〜んと・・・

違うみたい…ここに

苦手な人がいる

みたいなの・・・。」


そう言うので、


ポチは、

「苦手な人・・・」


そう…つぶやきながら、

頭の中で

(すべての答えは、

このドアの中か・・・)


このドアの向こうにいる

シルフィが苦手な人物と

いうものに思いを

めぐらせるのだった…。

―――――――――――

はたして、シルフィが

苦手な人物とは・・・


次回、第6話

【サイレントキル】

お楽しみに・・・



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ