表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/26

一部・八章、ずっと俺のターン!

続き続き~。



「はっ!」

グッドモーニング、世界。

今日も俺を野放しにしていることでうんざりするはずだぜざまぁハッハッハッ!


……あれ?暗い、夜?

仕切り直し。



「はっ!」

グッドナイト、世界。

闇に紛れて悪巧みをし何も出来ないまま朝日に浄化される小悪党な俺を笑えばいいさハッハッハッ!

…………。

あれっ!?ツッコミこない、みな姐いない!!

「みな姐ーーーーーー!!!」

大声で呼んでみる。


シーーーーーン


「みな姐様ああああぁぁぁぁ!!!」

ふざけて呼んでみる。


シーーーーーン


「みなちゃぁぁぁぁああああん!!」

語尾を上げて呼んでみる。


シーーーーーン


「みな姐?」

普通に呼んでみる。


シーーーーーン


…ぼっちになった。


お腹空いた。

ご飯にしよう。

みな母さんからもらってバックパックに入れておいたおにぎりを取り出す。

潰れてる。

アルミホイルが巻かれてるから中身はだいじょうぶだけど。

おにぎりは三つ、ふりかけ(のり○ま)、しゃけ、しお。

水筒も持ってきておいた。

中身は澄まし汁。

ずず~っとすする。

まだ温かかった。

おにぎりをもっちもっちと含みながら、澄まし汁をずず~っと流し込み、身体に染みていくのを感じながら食事をすまし、



「よし、慌てよう。」

俺は慌てる事にした。



「みな姐ーーーーーー!」

「みなさーーーーーん!?」

「みなーーー」

「みいいいいいなあああぁぁぁぁ!!」

「みなみーーーーなみなーーーー!」

「みっみっなみなみなーーー!」

廃虚の階段を全力で駆け上がり、

電車の通らない踏み切りを線路から落ちないようにふらふら走り、

水が漏れまくってる噴水をびしょびしょになりながら突っ切り、

ゾンビ犬を飛び越え(追われた)、

途中カメラ(一眼レフ)を拾い、

バイオハ○ードのリ○カーみたいなのにタックルをかまして川に突き落とし、








フリフリゴスロリ少女と対峙した。







なにを言ってるかわからねぇと思うが、俺はわかる、心配するな。


小柄だ、髪が白くてサラサラ。

黒を基調とし、金と白で花や鳥が意匠として施されている。

真っ白で不健康そうな肌に金色の目、手には日傘を持ち、物が良いのか服には汚れひとつない。

月を背負い佇む姿に熱いものがこみあげたが(超カッコいい!)、

そんな女の子の表情は変わらないものの間違いなく引いている感じで俺を見てる。

走り回った後、びしょ濡れで息を切らせながらにじりより両手を広げている(怖くないよアピール)俺を不審者として見ているのだろう。


廃虚の街でゴスロリもいい勝負だと思うけど。


みな姐を探したいが情報を持ってるかもしれないので、


「腹を割って話そう」


と、横になってみる。

交渉の基本、どっしりと腰を据えて。

横になってるけど。

……。

沈黙がいたい。

そして反応が無い。

その後も歌ったり冗談を言ったり場の空気を一瞬で凍りつかせる一発ギャグを言ったりしたが、無表情無反応。

生きてる?と疑問に思うくらい微動だにしない。


何しても反応が無くOTZしていると、

「……。」


ロリが近づいてきて、頭を撫でてくれた。


色々突っ込みたかったが、一番強い気持ちをひと言。



幸せ。



おっといかん、状況に流されてた。

意外と時間使ってしまった。


へこむのは終わり。

やることをやろう。

服を払いながら立ちあがり、改めてロリをみる。

ちっちゃ。

みな姐のさらに頭一つ分小さい。

ちっちゃ。

近くで見ると顔が整っていて、まばたきをしなければ人形だと思いそうだ。



……人形じゃね?念のためロリの頬にぶにゅっと両手で包むように押し当てる。

冷たい、氷のようだ。

少なくとも人ではないと感じ、何をしても反応せず、情報は持ってなさそうっぽいので「じゃ」と、横を通り過ぎようとしたら、


キュッ


手を握られた。冷たっ!


驚きつつも、声をかける。

「うん?」

「……。」

「どしたの?」

「……。」

「誰か一緒に」

「……。」


抱きつかれた。冷たい。


とりあえず「ヘイヘーイ!」と言いながら頭をわしわし撫でる。

「迷子?」

そのまま疑問を問いかける。

「……。」

何も言わない。



ん?

口が動いてる。

ロリの口に耳を近づける。


「……。」

聞こえぬ。


「もう一回。」

「……。」

聞こえぬ。


「ごめんねもう一回。」

「……。」

やはり聞こえぬ。


どうしよう、なんかまっすぐ見上げてくるし、やっぱ無視して通りすぎればよかった。

関わった以上放っておけないから関わらないようにして生きてきた。

気紛れに気を引こうとしちゃいかんかったかな…。




…仕方ない、まずは意思の疎通をせねば。

出来る限りの優しい声音を出す。


「名前は?」

「……。」

うん、口は動いてる。声が聞こえぬ。


何か使えないかと周りを見渡す。

今は走り回った結果、ぼんやりとした街灯の下で元は商店街だったであろう場所にいる。


よく見れば破けた服や引き裂かれたランドセル、血が渇いた後なんかがある。


明滅を繰り返す蛍光灯、割れたガラスや食器なんかが通りに散らばり、ここでなにがあったかを嫌でも想像させられる。


近くの半壊状態の店に入ってみる。

ロリは離れてくれないので抱き抱えて運ぶ。


「お邪魔しますわ」

「……。」

重い空気をぶち壊そうとありもしない芸人根性で笑いをとろうとおネエっぽく喋ってみるがやはりロリは反応しない。


しかし冷たいな、この娘。

さっきから人間ではないなと思ってるけど、襲ってはこない。

妙に不安げだし、初対面で奇行を披露した挙げ句疲労と子供をあやす才能の無さに落ち込んでいた俺を慰めてくれた。

そして繰り返すが冷たい。


…体温が低い、そして生気を感じない。

吸血鬼?ゾンビ?以外と雪女?

二次元知識からぼんやりそんなことを考えながら、店を探索。


「すみませ~ん」

人がいる感じはしない。

店の中も乱雑になっていて歩きづらい。

暗い。ポケットからライトを取り出す。

…つかない。壊れたか電池切れかな?

「ちょっと失礼」

「……。」

ロリを下ろし、しゃがんでバックパックから予備の電池を探す。

「……。」


床に置いたライトを不思議そうに見つめるロリ。

そのまま手に取る。と、

「お?」

「…!」

ライト点灯。

急に明るくなった事に驚いて放ってしまう。

俺の足元にライトが転がってくる。

拾ってもう数回スイッチを押してみるがやはりつかない。

「……。」

警戒しながら近づき、再び俺の手からライトを取る。

「おぉ」

再びライト点灯。

不安げな目で俺を見るロリ。

「大丈夫、持ってて」

うなづいて、両手で包むように持つ。

かわいい。


壊れた物を一時的に直したり、修復出来るのか?あるいは光属性とか雷属性で触媒を使うとか、魔力がたまたまライトと相性が良いとか?

…まぁ、今はいいか。


ライトで照らしてもらい、店を見回す。

鍋やおたま、金卸、バケツに包丁なんかがある。金物屋かね?

「ちょうどいいや♪」

必要な物を調達させてもらおう。

ロリが転ばないよう気にかけながら、店のレジがある所まで行き、壁にかかってるカギを拝借。


レジの下にあるカギ付きの引き出しや段ボール箱、物置やお客さんが入らない所まで家捜し。


針金、ガムテープ、少しの小銭とやすりに太い輪ゴム、食器用洗剤に包丁に中華鍋、生卵、ラップ、塵紙、カッター、サラダ油など必要そうな物をバックパックに入れていく。


ついでにモップに別の包丁を括りつけて簡単な槍をつくり、箒をカッターで削り先端を尖らせ、投げ槍を数本作った。

えみ様対策である。

「いよっし!」

槍を上に突き上げ、気合いを入れる!

「……。」

つられてロリも俺と同じポーズをとる。

かわいい。


準備万端、意気揚々に進もうとしたところで、


「ま、待てっ!!」

「ん?」


ブオン‼


空気を切る音…攻撃!?

「いやん」

「…!」


殴られそうになった。あぶねぇ!

反射的に情けない声を出しながら身体を前に数歩進ませて避け、たった今殴られそうになった場所を振り向く。

暗い店の中で、ロリがライトで照らすと。


「そのガキぶっ殺してやる!!!」


血塗れの鉄パイプを握りしめ、怒りの形相を張りつかせた大柄の男が、今にも飛びかかろうとそこにたっていた。

























続く続く~。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ