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一部・七章、なんで俺戦ってるの?

続き続き。


われものとは俺の名前だ。


豆腐メンタルに無駄に多い雑学、自己中心な性格ゆえに人と仲良く出来ず、まわりから腫れ物を触るような扱いづらい奴とされてキングオブぼっちの称号を手に入れた、人に期待しないし、されなくなった残念な変態である。



ただ、どうせ期待されてない、必要ないと言われるならそれこそ自分の為だけに生きる事にも迷いがなくなった。


当然、自分の中に葛藤はあったがいつまでも解決しない考え事は一生かけて向き合うしかなく、割りきるよりも悩み続けて生きるのも酔狂で良いかもと思ったりする。




「落ち着くんだえみ様ー!!!」

「うぐぐぐ…」

「話せばわかる!!!」

「ふぐぅ……」

「簡単に暴力に手を出しちゃダメだ!!!」

「むぐう(何か言いたげな目)」



そう、今俺とみな姐はアラクネえみ様に追いかけられていたが、一瞬の隙をついて背中に飛び乗り、渾身のキャメルクラッチを極めている。


…でもあんまり効いてないっぽいな。


ならばと辛いものが好きな俺はポケットからチューブタイプのわさびを取り出すとアラクネの鼻に突っ込み、そのままギュッ♪と力をこめる。


「ぐぎゃああああぁぁぁぁぁぁ?!!」

あ、きいてるきいてる、さすが日本の詫び錆びの心、攻撃にだって使える。


追加でくらえ、目にブバーーー‼(含みタバスコ)。

「ぎゃあああああぁぁぁぁぁぁ!!!」

さすがに強力だな、一瞬で敵が真っ赤だぜ!!(物理的に)

「ふははは、見たか!!」



たった今、自分はコピーだとか言って突っ込んできたえみ様から真面目に逃げようとしたみな姐とは反対にノリノリで飛びかかった俺は、思い付くかぎりの攻撃をえみ様にたたきこんだ。



ドロップキック(防がれた)。


着地してすぐに回し蹴り(避けられた)。


隙ありと足を狙う(足が多くて転ばない)。


クロスチョップ(体格差がありとどかない)。


飛び膝蹴り(えみ様固い!)。


スペ○ウム光線(出るわけない)。


ならばとお前も家族だ(正拳突き)。


螺旋綴り(手に布を巻いただけ)。



「…ふっ」

後ろから鼻で笑うみな姐の声がした!

「うわああああぁぁぁぁ!」

全部効果なくて泣きながら腕を振り回して攻撃(地面に組伏せられる)。

鼻で笑われたのが悔しくってやけくそになった俺に怯まずその場で捕まえるような相手では勝てる訳もないか(自己弁護)。



動けなくなった俺に乗っかり、えみ様が拳を叩き込む!

そうはさせない!懐中電灯(百円)フラッシュの目潰しで隙をつくり、華麗に脱出!

出来ない、えみ様重い!


「ヘルプッ!!」


みな姐に助けを求めると、

「あんたは何がやりたいのよ…」

警戒していたはずのみな姐はなんだか半眼で俺を見ていたが、しぶしぶバックパックから、前に暇で作って渡したスリングショットを取り出すと、その辺に落ちてる石ころを広い、

「ごめん、えみ!」

みな姐の撃った小石がえみ様の口にはいる。

入った!入っちゃった!!

射撃俺より上手い!一発成功!!


ガリッ!


えみ様の歯が欠ける音がした。

「うげう!?」

急に小石が口に入るのは流石に驚いたようで、隙が生まれた一瞬になんとか脱出。

元女子高生の乳を下から拝めなくなったのは残念だけど、あのままだと潰されそうだった。


「大丈夫?」

「大丈夫、問題は(頭にしか)ない。」

「…大丈夫ね。」

大丈夫だと思われたみたい。

一様、自分よりずっとでかい相手にのしかかられてたから、体のあちこちから悲鳴が聞こえるんだけど。

こんな感じで。


※妄想です。


肩(いたたた…歳はとりたくないのぉ)


胸(く…苦しい…息が…)


背中(ふざけないで、こんなに強く潰されたら立てなくなるじゃない!)


膝(ふ…まだだ、俺はまだまだやれる…!)


頭(お腹すいたな~)



※妄想でした。



そう、俺は戦闘中にも関わらずお腹がすいて集中できないのだ。

早く終わらせて何かをみな姐にはい、あ~ん♪してもらいたい。」

「いや、しないから。」


…はい、あ~ん♪て口に出してたみたい。

途中から妄想が声に出てた。これは恥ずかしい。

なので開き直る。

「ハンバーグがいいな~」

「しないってば。」

夏の路上に転がる、朽ちる前のセミを見るみたいな顔をされてる。

「随分余裕ね、みな?」

あ、そうだったえみ様えみ様。

今の声すごいな、女の子とおじさんと、子供の声を混ぜて、低音にしたみたいなアルトヴォイスだった。


「えみ様、俺と一緒に世界を泣かせに行かないか?」

えみ様ならきっと世界一の歌姫になれる。

アラクネ女子なんて珍しいから話題性も充分だ。

何より今の声。

声にはその人の性格がよく出る。

ストレスが強ければ声は小さく、低く濁る。

緊張していれば震え、楽しければ弾み、悲しければ冷える。

えみ様は無邪気な子供と、包容力のある家族の大黒柱(おじさん)と、等身大の女の子の、三つの魅力があるみたいだ。


間違いなく天下をとれる!


天下をとるのは自分でやりたかったが、こんな逸材を見つけては黙ってられない。

俺の夢を、えみ様と一緒に連れていってもらおう。




…とか考えてたら捕まった。

「あ~~れ~~」

「バカッ!!」

シンプルなツッコミ。

「みな姐ヘルプ!!」

「わかったから黙ってて!!」

「みな姐かっこいー!!」

「気が散る!!」

そんな事を言いあいながら必死に脱出しようとうねうねくねくねしまくっている俺は、


「鬱陶しいから大人しくしてね?」


ガスッ


えみ様の鉄拳制裁で意識を奪われた。
































続く続く。

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