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閑話1

閑話閑話~



白を基調とした、質素で清潔な部屋に来た。

私はいつも休日になるとこの場所に足を運び、何をするでもなくただただ話をして、陽が落ちてから帰る。


この部屋は静かで落ち着く。

賑やかで騒がしく便利な都会も悪くはないけれど、ずっとそこにいたらいつのまにか呑み込まれて、自分で自分を否定する、自分を見失ってしまうような気がする。


私はここに来るといつもの指定席に腰掛け、大きすぎず小さすぎず良く通る、好きと言われたこの声で語りかける。


あいさつから始まり、以前来た時から今日までにあった出来事を。

仕事で失敗して平謝りした事。

物静かな後輩が出来た事。

うっかり目覚し時計を壊した事。

それで遅刻してまた平謝りした事。

父が体調を崩した事。

具合が悪いと言ってもただの風邪だった事。

始めて作った料理が微妙だった事。

評判の笑える映画を見てなんだか涙が出た事。

友人が結婚した事。

思っていたより妹が大人になっていた事。

会社で美人だと言われていてにやけた事。

気まぐれに歩いて帰ったら美味しいお店を見つけた事。

最近随分と寒くなってきた事。

新しくコートを買おうか悩んでる事。

知らないおじいさんにナンパされて驚いた事。

体重が増えてへこんだ事。

スマートフォンを新しくした事。


話したい事を話しているうちに気が付くといつも外は暗くなっていて。

楽しんでいると時間は私を急かす。


だから私はまたここに来るんだ。

ここが好きだから。

またたくさんの[私]を聞いて貰いたいから。

聞いて貰うために、また頑張れるから。


またくるね。



話閑話閑~

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