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一部・十六章、踊る大捜査網

続き続き~



「われもの、ですかい?」

「そう、俺の名前。」

「本名ですかい?」

「ん?」

「なんでもありやせん!」

名前を聞かれたので答えたら、なんとも言えない顔をされた。

われものは当然本名で、世界が壊れる前に役所にも正式に書類受諾してもらった。


だから疑う事なくしっかりと俺の名前なのだが、何故ほぼみんなから本名?と聞かれるんだ?

界歪(かいわい)高校のキャンプでも挨拶するたびに「本名?」って聞かれた。



とりあえずこの人形どもは、ゴマから生まれたからゴマツブと名付けた。

みな姐が安直なネーミングに何か言いたそうだったけど俺は気づかなかったよ?

「全部で何人いるの?」

と、みな姐。もっともな疑問だ。

数え切れないくらい視界にはゴマツブだらけだからね。

「……少しお待ちくだせぇ!!」

ゴマツブリーダーが言うなり、

「整列!!」

号令をかけて、

「点呼!!」

「壱!」

「弐!」

「参!」

「肆!」

「伍!」

…………。



+ - + - + - + - + - + - +



「お待たせしやした!」

地面に横になり睡魔との戦闘に敗北濃厚となっていた所へゴマツブから声をかけられた。

みな姐はバックパックから軽食を取りだし食べていた。


「数え終わった~?」

仰向けで顔だけゴマツブ達の方へ向ける。

「お待たせしちまいすいやせん!!」

「全部で何人?」

みな姐は何"人"なんだな。

「あっしら一同、全員で一万百一でさぁ!!」

……。

一万百一。

10101。

いちまんひゃくいち。

「飼えない!」

「そこ!?」

思わずエサや住居の事でいくら金がかかるか不安になり叫ぶ。

みな姐は数に驚いたのか?

数は見ればそれくらいかなって予想してた。

だってショッピングモールの駐車場埋め尽くされてるし。

……なんか遠くの奴ら集団行動で幾何学的に歩いてる。きれいだ。

生まれたてであんな動きが出来るのか。

先にゴマに呑まれたらしい人が軍人かなにかだったのか?


「親っさん。」

「ん?」

「あっしらは人じゃありやせん。この大きな世界へ挑む為に生まれた一人一人の侠でございやす。お気遣いはありがたく心意気だけ頂戴して、どうかご自身と奥方だけに愛を向けてくだせぇ!」

住居の話したからかな?

「奥方って私?」

みな姐が顔を赤くして少し心外と言った感じで自分を指差す。

「自分ら畜生を気にかけ過ぎて、親っさん自身の安寧を手放さぬよう、それだけに注意を向け幸福を掴んでくだせぇ!それがあっしらの幸せにもなりやす!」


……ダ。

ダンディー。



+ - + - + - + - + - + - +



ゴマツブ達に侠気を魅せられ、男らしさは完全に敗北したとわかった後、みな姐に、

「ゴマツブはいいとして、ロリはどうしたの?」

と言われて本題を思い出す。


「ロリが行きそうな所とかわからん?」

「いや、私会った事ないから」

そうだった。


ロリと一緒に過ごしたのは俺だけ。

なんだか不安そうだったから声をかけて、金物屋に行き襲われ、まると合流した所まで。

一時間も一緒にいなかった。

それだけしか一緒にいなかったのに、あの寂しそうな顔と冷たさが忘れられない。

「このショッピングモールの屋上から見渡して見ようか」

「そうだね」

バックパックに単眼鏡が入ってる(学校で荷物を実用性重視にしてきた)から、高い所から見渡して見よう。

みな姐の提案に乗り、ショッピングモールの屋上を目指す。

「どちらへ?」

ゴマツブに話しかけられる。

「迷子を探すために高いとこへ行こうと思ってね」

「迷子、ですかい?」

「小さな女の子なんだけど」


「おめぇら、聞いたな!?」

「「「「「へい!!!」」」」」

「おおう!?」

「わぁっ!?」

ゴマツブ達が急になんだかやる気になり、みな姐と一緒に驚きの声をあげる。

「小さな女の子だ!町中くまなく探して、迷子が居ねぇか探してこい!!」

「「「「「へい!!!」」」」」

返事をするなり、ゴマツブ達は我先にと駐車場から散らばっていった。

凄まじい機動力である。

跳躍であちこちへ跳んでいく。

「親っさん、人探しならあっしらにお任せくだせぇ!人間の女の子供を片っ端から集めて来まさぁ!」

……ん?

「待った、片っ端から?」

「へい!!自分も行きやす!」

と、ゴマツブリーダーもしゃがんで、まさに跳ぼうとしたときに、

「待てい!」

俺がゴマツブリーダーにタックルをかました。


ズッシャアアアアアァァァァァァァァ!!!!


「…うわ~痛そ~」

なぜか小声で言ったみな姐の声をハッキリ聞き取った。



しばし沈黙。



「どうされたんですかい?」

無傷ですかそうですか。

「片っ端からはダメ」

「ダメですかい?」

「ダメ」

ダメだ。

普通に家族と一緒にいて、何かの用で一時的に離れてるだけとか、逆に見た目は完全に人間の子供の姿のまま化け物になりさまよってる異形なんかも見かけた。

正直みな姐と会う前一人で行動中に小学校や幼稚園の近くを通り抜けた時は結構精神的に来るものがありキツかった。


無差別に子供を一ヶ所に集めるのはとても危険だ。

「了解しやした!」

そう言って、ゴマツブリーダーは息を大きく吸う。呼吸するんだなこいつら。

そして、

「~~~~~~!!!」

聞き取る事は出来ないが、大きな声?を上げた。

耳鳴りの大音量みたいな、不快な音だ。

そして、そのすぐ後に散らばっていったゴマツブ達が、

「「「「「戻りやした!!」」」」」

早っ!戻ってきた。……犬笛?

「点呼!」

「壱!」

「弐!」

「参!」

「肆!」

「伍!」

……。



「全員戻りやした!!」

今度は早い。

二分くらいで終わった。

指揮系統が出来たのだろうか。



……ん?待て。

「いる!?なんかいる!?」

足の早いゴマツブが既に何かつれてきてしまった!

足が後頭部から生えてる。

腕が逆向きで、横向きになった体を腕と頭から生えた足で四つ足で立ってる。

すげぇ。

顔には口、鼻、 耳、目がちゃんとついてる。裏返ってるけど。

喉には……なんだあれは?爪や歯がみっちりと生えている。

「あぁ、人間だ人間だ人間だ♪」

こっちを見て何か言い始めた。

「……ぉぃ。」

「なんですかい?」

小声でゴマツブに話しかける。

「あれ違う。戻して来て」

「分かりやした」


二体のゴマツブが異形を抱えて跳躍。

「あっはあああぁぁぁぁ~~~」

謎の雄叫びをあげながら遠ざかる異形。

みな姐は目を細めてなるべく視界に入れないようにしている。

俺を見るときみたいに。

あれ?俺は視界に入れたくないのかな。

異形と同じ扱いなのかな?


「なぜあれをつれてきた!」

「親っさん方と同じ、足が二本に頭が一つ、肌色でよく笑う生き物だったからでさぁ!!」


……あぁ~、そうゆう基準。


なるほどなるほど、理解。

「ゴマツブリーダー」

「へい」

「俺やみな姐と同じ形をした子供を探して?」

「形ですかい?」

首をひねるゴマツブリーダー。

「頭が一番上で首があり胴体がその下。腕が二本に尻と股間があって足が太もも、膝、ふくらはぎ、足首とついている人で、今も人間。元人間はいいからね?」

自分の体を指差しながらゴマツブ達に説明。

「わかりやした!」

「後、近くに保護者がいる場合は連れてきちゃダメだよ?」

「保護者?」

「君達で言う俺みたいな」

「了解しやした!」

……返事はいいんだよな。

ただ、返事のいい人って相手の話を聞く事事態に集中してて言葉は理解してない事が多いから不安だ。

「行けおめぇら!!」

「「「「「「へい!!!」」」」」」

簡単な説明を終えて、再び散らばっていくゴマツブ達。

「……大丈夫なの?」

「あの数は武器になるし、こちらに害が無くしかも従順なら信用はしてもいいんじゃない?」

「はぁ、あんたがいいならいいけど。」

「みな姐は不満?」

「不満っていうか、なんていうか……」

「うん?」


「…………私奥方じゃないし」


気にしてたのか。

「そうゆうのって、まずちゃんと告白してからだと思うし」

不機嫌そうに目を反らし腕を組んで、なんだか可愛らしい事をいい始めるみな姐。

「一緒にいるだけで夫婦とか」

ゴマツブに言われたのを真に受けたんだね。冗談だと俺は聞き流したけど。

「……確かにママはGO!出してたけど」

みな母さんは恋愛にGOを出しているらしい。

「みな姐みな姐?」

「なによ?」

「俺はいつでもウェルカムだよ」

「私は場所とか時間とか雰囲気とか気にするの」

遠回しにだからあんたは無理、ってことか。

恋愛に関しては以外とセオリー&ピュアなんだな。

「その前にみな姐」

「なに?」

「気になる相手いるの?」

ライバルになるのならぜひ聞き出して置かなければ。

「まぁ、ね」

鼻から深めのため息を吐きながらこたえてくれた。

「マジでか!だれ?」

「単純でアホで真っ直ぐなわかりづらい奴」

まるか!!

「なるほど!わかった!!」

「えっ!」

興奮してみな姐の肩を思わず掴む。

サッと赤面するみな姐。

「わ…わかったの?」

「わかった!」

やはりモテるな、我が心友!

「応援するよ!!」

「え?え?ちょっと、何を?」

「みな姐の恋を!!」

「あぁそう???」

手を離す。

顔を赤くしたまま首を傾げるみな姐。

確か前にアホが好きだと言っていた。

まるだな確定。

俺じゃないのは残念だけど、ここはみな姐の恋を全力で応援しよう!




「……このアホ、わかってないな」

小さい声でみな姐が何か言った。

なんの事かわからないけど、多分恋は自分でなんとかしたいんだろう。

みな姐は俺のヒロインだ。

ヒロインは幸せにならなくちゃ行けない。

みな姐には悪いけど、全力でくっつけるぜ!!!






































続く続く~

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