一部・十一章、ヒーロー特売日
続き続き~
槍を両手で持ち、渾身のスマッシュ攻撃を仕掛ける。
「ぬぅん!」
止められた。
「虎○破斬‼」
ひょいっと避けられる。
「メガスラッシュ!」
全力の一文字斬り!!
「話を聞いて~!」
手を捕まれて放り投げられる。
「ぶばっ!」
受け身失敗。
だけど追撃をしてこない。
えみ様もバテバテだ。
+ - + - + - + - + - + - +
まるから蜘蛛女を見たと言われ、界隈高校方面へ進行中。
さすがに簡単には見つからないだろうと思って、見晴らしの良い高いところへ昇ろう……と思ったらえみ様真ん前通った。
驚いて固まっていたら素通り。
界隈高校の方へ行った。
少し高い所にいたから気づかなかったっぽい。
高校の校舎はもう視界に入ってる。
俺は一呼吸して気合いを入れると、停めていた原付をふかせ、高校に向かう。
+ - + - + - + - + - + - +
学校は蜘蛛の糸だらけだった。
えみ様の出した糸だから、人や猫や他の謎生物が絡まってる。
ゆっくりと原付で進みながら学内を見てまわる。
普通の県立学校、グラウンドがやや広く校舎は三階建て。
体育館が二つ。
武道場か?
あ、おっきい蜘蛛の巣発見。
あそこに居るかな?
……せっかくだし、映画みたいに扉ぶち破って登場!やってみたい。
よしやろう!!
原付をふかし、一気に体育館の扉へ突貫!!
槍を持ってるから片手運転。
衝撃に備えてハンドルをしっかり握ろうと槍捨てようと思ったら、
ガララッ
「何の音~?」
問い掛けと共に、えみ様出てきた。
でてきちょった。
えっ~と。
…………。
…………とつげき。
「いっけぇーーーーー!!!」
「え?うわ、何!?キャーーーー!!!!?」
ガッシャーーーーーン!!!!
えみ様固いから槍は刺さらず。
だがスピード出してた原付はえみ様にクリーンヒット!
勢いに負けて俺は体育館の床を滑り、転がり、傷だらけだ。
だが即座に立ち上がった!
(ボロボロ)
バックパックの中身が勢いで飛び散る。
咄嗟に近くに落ちてた槍を手に取る。
ボスバトル!
えみ様があらわれた。
われものの攻撃。
速攻勝負をしかけた!
しかしかわされた!
えみ様のターン。
われもののすぐ目の前にえみ様!
「待って下さい!」
えみ様の呪いの言葉!
「みな姐返せっ!」
しかし、われものには効かなかった(聞かなかった)。
われものの攻撃。
必殺の刺突!!
止められた!!
「われものさん!」
槍を折られた!!!
「聞いてお願い!われものさん!!」
原付タックルが効いたのか、ぶつかった上半身の部分は赤黒くなってる。
そしてすごく怒ってる!(ように見える、実際は痛みを堪えている)
だが怯まぬ!
われものの攻撃。
助走をつけ腰を低く落し相手の懐に滑り込みながらの正拳突き!
手首を捕まれた!
えみ様のターン。
われものが床に叩きつけられ、そのまま放り投げられる!
「うおおおぉぉぉぉぉ!」
思わず叫ぶ。
ガッシャーーーーーン!!!!
改心の一撃!!
壊れた原付に突っこみ盛大にあばら骨をやられたぜ…★
(打ち付けただけ、折れてはいない。多分)
素早く立ち上がる。
えみ様のターン。
われものの目の前にえみ様。
またか!えみ様早い!
「われものさん~、待って下さい~!」
えみ様の呪いの言葉。
だが、われものに効かなかった(聞かなかった)。
われものの攻撃。
靴を脱いでえみ様の口に突っ込む。
普通に止められる。
えみ様のターン。
「聞いて下さい~!」
呪いの言葉。
「聞かぬ!!」
われものは聞かなかった!
われものの攻撃。
ジャンピングハイキック!
counter!!!
足を捕まれた!
放り投げられる。
「うおおおぉぉぉぉぉ!」
ガッシャーーン!
再び原付のとこへ。
「おう、痛てて……」
原付の残骸の横に見慣れた調味料。
わさび。
ポケットから出ていたか。
よし、使える!
われもののターン。
なにか仕込んでいる…。
えみ様のターン。
われものの目の前にえみ様!
counter!!!
反射的に昇竜拳!
counter!!!
捕まれた!
まだまだ、足をえみ様の上半身に絡ませる。
えみ様のターン。
「聞いて下さいってば~!」
呪いの言葉。
「聞かぬ!」
しかし、われものは聞かなかった!
われものの攻撃。
零距離からの頭突き!
えみ様はびくともしない!
「われものさん~!」
……何かさっきから話をしようとしてくる。
だが敵の言うことなど聞かない!
頭突きからそのままえみ様の頭を抱え込み、驚くのを無視して、
そのまま接吻!!!
接吻!!!!!
「!!!」
「!?ん!?」
「!???んん!?」
顔が真っ赤になっていくえみ様(ばっちり目を開けてる)。
「!??」
ちゅーしたまま口に含んだわさびを発射!
「!!!?ん!んんん~!!」
涙目のえみ様。
隙が出来たな。
えみ様からホールドを解除、即時離脱。
サッと辺りを見回し、さっき真ん中から折られた槍を取る。
渾身の横スマッシュ!
「ぬぅん!」
止められた。
「虎○破斬!!」
ひょいと避けられる。
「メガスラッシュ!!」
全力の一文字斬り!
「話を聞いて~!」
涙目になり舌足らずになりながらもこちらと意志疎通を試みるえみ様。
「牙突○式!」
パッキーーーン!
槍の刃が割れた!
えみ様にわられた!!
と、同時に、
「騒がしいと思ったらなに暴れてるのこのアホーーーーー!!!」
横からみな姐の飛び蹴りが俺に決まった!
あれ、みな姐!!?
「!!?!」
吹っ飛び、何が起きたかわからず辺りを見回す俺。
「みな~!」
「よしよし、えみは頑張ったよ。」
みな姐無事だった!!
えみ様が大きな身体を丸めみな姐に抱きついてる。
「???」
状況を飲み込めず手投げ用に尖らせた箒を構え、警戒しながら二人に近づく。
近づいてくる俺に気付き、複雑な顔で溜息を吐くみな姐。
「みな姐、無事だったのね。」
「うん、まあ。」
指で頬を掻きながら、気まずそうに目をそらす。なぜだ。
「ほら、えみ?」
「われものさん、話を聞いてくれますか~?」
敵の話など……。
みな姐に睨まれる。
……話を聞こう。
続く続く~