表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
咲くや恋花  作者: 桜 詩
senior high school Ⅱ
26/50

ある日のナイショばなし

翔太も彩未も、学校とそして部活と。

気がつけばしばらく、キスもハグもおあずけのままである。


玄関を開けて、廊下に出て、そしてほんの何歩か歩けばそこに、カレシがいるというのに...。

(これって、欲求不満ってやつかなぁ...)

机に向かって、半分くらいしか進んでいない宿題を前に、いたずらか!と思わなくもないRENを送る。


『つぎ、いつできるかなぁ』

『なんのこと?』


とぼけてるのか、試してるのか...。彩未は少し大胆な文を打った。

『きもちいいこと』

『えろ』


あ、ちょっとノッて来たかな?とからかう文を返してみる。

『なにかんがえてんの?翔太がえろ』

意地悪だったかな、なんて思っていると、

『ハグしたい』

なんだか、カワイイ返信がくる。

『ハグ?いいよ』


『どうやって(笑)』

『なんかじゃあ写メおくって』

と、続けて入ってきた。翔太も少し悪ノリをしているようだ。

『えー、恥ずかしいな…』


どうしようかと思い、机の前で自撮りをする。この日の部屋着はキャミソールとカーディガン。他人に見せるには露出度は高めだった。


『送るんかい。ダメでしょ』

『悪用する??』


『しちゃうでしょ、こんなの見たら』

プッと笑えてしまう。

翔太もこうやっておふざけが出来るくらいには浮上したのかと、少し嬉しい。

『はんのーした?』

さらに大胆な事を送る。

『した。せんとうかいし』

それを見て彩未もウケて笑った。


『イヤン』


『あ、父帰宅...ヤバ』

翔太の父は少し厳格な雰囲気がある。こんなふざけたやり取りを知られたら、きっと厳しく怒られるに違いない。

『今どこ?』

『部屋。机に座ってる』

『なんのべんきょーや!』


『父、風呂いった』


『まぢめに、べんきょーしなさい』

『はい、せんせー。べんきょーしまっす』


『えっと、せんせー今から教えにいっていい?』

『来てくれんの?』


『まっとって』


『いつまでもまってるよ』

『まっとって』

ケラケラと一人で笑って、その後はなんだか勉強もすんなりと終わる。


その、翌朝。


いつものように、エレベーター前で翔太と会った。

「おはよ」

「はよ」


昨日のRENみたいな文章を打ってくるとは思えないくらい、今の翔太はクールで知的である。


「昨日、来てくんなかった」

ちょっとわざと拗ねたように言うのが可愛い。


「昨日行くなんていってないでしょ」

本気じゃないのをわかってながら、そこに乗っかって返事をする。

「待ってたのにさ」


「ごめんね翔太。でも、本当に行っても良かった?」

「スモールライトある?あれでちっちゃくなれたら、ポケットにはいっちゃえば見つからないでしょ」

「えー、じゃあ。翔太がポケットサイズになってよ」

「俺は男だから、無理」

「私も女だから無理」


「何の話してんだか」

プッと笑えてしまう。


朝の家の前から、春花たちが乗り込んでくるまでのそのわずかな時間が、相変わらず二人の時間。


「本当に、次はいつデート出来るかな?」

「中間最後の日とか休みとかかな...?」


「あ、それいいね~」

「まずはテストやっつけないとな」

「だね...」


あともう少し、次のイチャイチャはお預けだ。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ