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咲くや恋花  作者: 桜 詩
senior high school
19/50

さわりのいみ

「...て、ゆぅことがあったんだ。サワリってなに?どういう意味?なんか聞いちゃダメな感じがして」


彩未は和奏の部屋で、おやつを食べながら話していた。


「それは、アレでしょ」

男兄弟のいる春花が男らしく答えた。

「翔太くんは、反応しちゃったわけだよ」


「はんのう」


「...あんた、まさかキスの後にナニするか全く分からない訳じゃないよね?」

和奏が彩未に言ってきた。

「..正直あんまし分かってない、かも」

「じゃあ、そういう和奏は説明出来んの?」

春花が言うと、

「...いや何となく」

(なんだい、和奏も分かってないのに!)


「ドラマとかだと、キスしてそのあと点々々ってかんじだもんね」

英乃が言うと

「確かにそうだ...」

彩未はうーんと、うなずいた。

「何がどうなるってとこまでは、分からんよね」

春花も説明出来ないみたいだ。

「年上ならともかく、翔太くんが経験あるはずもないし、彩未がリードするしか、ないんかな?」

和奏が言うと


「春花の家か彩未の家には、あるんじゃない?そういう教材」

英乃が真面目に言った。

「年頃の男の人って絶対に持ってるらしいよ?エッチなやつ」


「は、はなの?」

珍しく英乃がそんな事を言ってくる。

「惶成は交際禁止だけど、南苑丘なんて休み時間とかになったら男女ともにそんな話がもう、すごいよ?」

「まじで?」

「昨日彼と、なにがどうしてああなったとか」


「あー、そのなにとどうして、とああが気になってきた!」

彩未が小さく叫ぶと

「アホ兄に借りてくるわ」

春花がすくっと立ち上がると...


「ついでに部屋も借りよう!」

和奏の家から近所に住んでいる春花だから、みんなそのまま移動した。


冬悟(とうご)~」

冬悟は、春花の兄で芸術大学2年。春花の兄だけあって美形だ。


「なに?お願いならお兄様って呼んで」


「お兄様のとっておきかして」

「とっておき?」

「あるでしょ?男女のお勉強のやつ」

「...見んの?みんなで?」

「そう。かして、ついでに部屋も」


「そっか...はるちゃんもお年頃なんだね。お兄ちゃんは複雑だよ」

「早くしろ。親が帰ってきちゃう」


「へいへーい」


とんとんとん、階段を上がる冬悟の後に続くと、黒を基調とした男っぽい部屋の引き出しから、DVDを何枚か出してきた。

「えーと、どれがいい?」


「...」

冬悟の好みはどうやらバラバラ。

「ひとづま?」

「なーす?」

「じょしこーせー?」


「声に出さないでイヤン」


「イヤンじゃないよ、変態兄」

「どれでもどうぞ」


彩未が目をつぶって選んだのはナースのものだった。

春花がデッキに入れ、再生する。


*。゜*。*゜。*。゜



「...」(英乃)


「こういうのって、でもオーバーにしてあるんだよね?」(和奏)


「だよね?」(春花)


「多分そうだよね?」(英乃)


「翔太と、私...あんなこと出来るんかな...?」(彩未)


「多分、向こうは我慢してんじゃない?」(英乃)


DVDを出すと、ケースに戻して冬悟の部屋を後にする。何となく気まずい雰囲気がある。


「おー、お疲れ~勉強になったかぁ?」


「...」

「なかなかじょしこーせーには刺激的だったかなぁ?...よし、まっとれ」

部屋に行って戻ってきた冬悟は、四角いお菓子っぽい平べったいパッケージを4人に渡した。


「いざという時にはコレをちゃんと使いな?」

「くそバカ冬悟!」


「えー、大事だよ。それは~はるちゃん、それ買う勇気ある?」


冬悟が二個ずつ手渡した事により、えらく現実的になってしまった。


「てゆーか、見つかったらヤバイよ」


「...サニーポーチに入れとく?」

「あ、それいいね」


「私は彩未にあげる」

「私のもあげる」

と、みんなの分も貰ってしまい、彩未は戸惑った。


「...て、ゆうか、こんなの持ち歩くの恥ずかしいんだけど?」

「や、私もだから。困るもん、でも彩未はいついるかわからないでしょ?」


「...えー、でもいきなりは、困るよ」


「昨日だって翔太くんが止めなかったら危なかったでしょう」

「え!?そういうのこと?」


「「「そういうことだよ」」」


「ぅわぁ...。やだ、なんか恥ずかしいな」


「それも今更だから」

英乃が冷静に言いはなつ。


しかし、翌日からはまた全国に向けての鬼の練習が待っていて、ポーチの中身の事は記憶から薄れていって、楽譜とフォーメーションとステップと。それに頭は満たされていったのだ。






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