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序章 秘められし約定

 時はシーラ暦354年。サンガナ大陸の南に位置するユーランス王国。かの国は、諸国を飲み込むシラナミ帝国の脅威にさらされ、今まさに壊滅の危機に瀕していた。


 相次ぐ戦いに兵は疲弊し、人心はもはや王から離れつつあった。そんな時、ユーランス王国の元に第一王子が戦死し、複数の将軍と兵士が捕虜となったという報が伝わる。これにより、ユーランス国王ギルク・バウエイは帝国に対し全面降伏の意思を示す。


 己の首と引き換えに国の救済を願う王へ、シラナミ帝国は実質傘下としながらもユーランス王国を同盟国として迎え入れると申し出た。

 だが、そこには秘められた約定が存在した。


 その約定とは──皇帝の元に第一王女を嫁入りさせることだった──。


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