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黄昏の眷属  作者: 倉井部ハルカ
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第14話 眷属襲来

「はい、カ――ット! 良いシーンでした〜!!」


 緊張感の欠片もない浮かれた声が一触即発の空気を叩き壊す。

 

「せ、生徒会長……!?」


 眼鏡のクラス委員長が呆気に取られた声でつぶやく。

 

 いつからそこにいたのか、噴水池の小便小僧像の上でハンディカムを構えながら、端整な顔立ちの美少年が不自然なほど気取ったポーズを取る。

 

「なに、これって、もしかして生徒会の広報ビデオか何かの撮影?」


「広報ビデオで女の子同士の格闘シーンって、どんなんだよ! いや、でも、それもありか……?」


「うそ、もしかしてあたしたちも映っちゃった?」


 生徒たちがざわめく中、

 

「とうっ!」


 噴水の上から忍が華麗に跳躍し、そして目測を誤り池の中にボチャンと着地する。

 

「愚兄」


「チッ。バカ忍」


 興を削がれた退魔の少女たちが、互いの得物を下ろし迷惑そうな眼差しを彼に注いだ。

 

 ケイの兄に対して敬意の欠片もない呼びかけに加え、龍姫が忌々しそうに舌打ちをする。

 

 しかし彼はそれを気にした素振りもない。

 

 脛まで思い切り水に浸かりながら、これも予定通りみたいな態度を装ってフッと気取った笑みを浮かべ、池から上がって来る。

 

「いやあ、実は今度の球技大会のイメージビデオを制作中でね、格闘技の心得がある彼女たちに協力してもらったんだけど、なかなか素晴らしいものが出来そうだよ」


 すべて口から出任せ、それを聞いた生徒たちから興奮のどよめきが湧き起こった。

 

「すげえ! 球技大会そのものよりも、そっちの完成の方が楽しみだよ!!」


「なんか生徒会ビデオ、毎回派手になっていくよね。そのうち映画一本分くらいの大作になっちゃったりして」


 何代か前の生徒会長がやたらとお祭り好きな人物で、それ以来この学園では行事ごとをやたらと派手に盛り上げる様になったらしい。

 

 そういう傾向があるのに加え、去年からお調子者の忍が生徒会長に就任したため、ますますエンターテイメント性に拍車がかかった。

 

 今年の入学式でも、講堂の巨大スクリーンにど派手なウェルカムビデオを映し出したのは、いまでも語りぐさになっているため、忍の行動を不審に思う者はいない。

 その彼らに向かって、

 

『さてと、これからは彼女たち二人だけのシーンを取りたいので、みんな中庭を空けてくれないかな?』


 指先で空中に印を記しながら、忍は意識が朦朧となる異様な響きの声で告げた。

 

「は……い……」


 途端に、その場にいた生徒たち全員が、虚ろな眼差しとなり一斉に小走りで校舎へと向かっていった。

 

「な……? 柊っ! 坂本っ。沢井まで……」


 呼び止めようとするが、彼女たちは朔也の声も耳に入っていないかのように、走り去ってゆく。

 

「いったい何を?」


 呆気に取られて尋ねると、

 

「避難させたんだよ」


 忍がいつも通りの軽い口調で答える。

 

「避難……?」


 やはり訳が分からずキョトンとする朔也を押し退けるようにして、龍姫とケイが詰め寄って来た。

 

「眷属ね!?」


「どこ?」


 すべての生徒がこの中庭から立ち去ったのを確認して、軽薄な美少年が青炎の狐へと姿を変える。

 

「ここだよ。ほんの少し前から異質な気配がこっち目がけて一直線に突き進んでくる。隠蔽術で普通では察知できないようにしているようだけど……、ほら、来た」


 ズン、と重々しい波動が押し寄せた。

 

「うわっ!」


 たまらずよろめく朔也だが、ケイも龍姫も微動だにしない。

 

(こ、転びそうになったの、オレだけか)


 情け無さに赤面しながらその波動が来た方向を振り向く。

 

 中庭の噴水を挟んだ正面、十数メートルの距離を置いて見知らぬ男が立っていた。

 

 酷薄そうな顔立ちに斑に染まった茶髪を生やし、にたにたとしまりの無い笑みで少女たちの身体を舐め回すように見てくる。

 

(こいつが、眷属?)


 当然朔也もその対象にされ、気色の悪さにゾクゾクと背筋を震わせ緊張を高めた。

 

 趣味の悪いタンクトップから露出する日焼けした肌を、脈絡のないタトゥーで埋め尽くす。

 

 だぼっとしたズボンをパンツが見えるほど低く下げてだらしなく穿く。

 

 その姿形は人間そのもの。しかし滲み出る気配が、全くの異質。人に在らざる、モノ。

 

「つーか、ガンスレイヤーとアビスウォーカーいるってマジかよ? うっぜ! めんどいし、姫をさあ、こっち受け渡せよ、オーケイ?」


 カチャカチャ耳障りな音を立てて、手に持ったバタフライナイフをこれ見よがしに開閉させながら、異様に滑舌の悪い巻き舌で不明瞭に捲し立てる。

 

 両方の耳朶は勿論、鼻にも唇にも、へそや指の股にまで無数のピアスを通した男が人に在らざる異形の気配を隠そうともせず溢れさせる。

 

「黄昏時でもないこんな白昼に、眷属の方からわざわざあたしの前に現れたってわけ? このあたしが誰かを知りながら。ハッ、上等だわ! この人喰いの化け物がっ!!」


 龍姫はすでに戦る気を昂ぶらせていた。

 

 空色の瞳に狂気を宿して見開き、両手の護砲童子を固く握りしめる。

 

 その様にチャラけた姿の眷属があからさまに面倒くさそうな顔で舌打ちした。

 

 ごてごてといくつも身につけたゴールドのアクセサリーがじゃらじゃら鳴る。

 

「リリアム返せっつってんだクソビッチ。そしたらぁ今日んとこは人喰らわね〜。とっとと帰ってやんぜ。オラッ、とっととオレらの姫様、返せつーの!」


 へらへらと軽薄極まりない眷属の下衆な口調に、小柄なツインテール少女が口の端を吊り上げる。

 

 目に殺意を宿したまま、軽蔑の笑みを満面に浮かべた。

 

「リリアム? ああ、あのアホ女のこと。あんなのがお前らのお姫様ってわけ? あたしに腕吹っ飛ばされて、悲鳴上げながら逃げ惑ってた無様な雌豚が、お前らのお姫様〜? いいわ。あのとき皆殺しにしてやった虫けらどもと同じに、お前もそのお姫様の所へ送ってやるわ!! ――忍ッ」


「ガンスレイヤーッ、てめえは、この埒暴のガムド様が……ブッ殺すッ!」


 情け容赦のない雑言にチャラ男顔が怒気を滲ませる。噛み殺したような声。

 

 ナイフに加えメリケンサックが眷属の指にはめられた。

 

 高まる緊張の中、忍の狐姿から三体の分身が現れ出でて中庭全域の三隅に陣取る。

 

「神糸を紡ぎて編み成さん。絶え無き交差を連ね成さん。急々如律令、我が身より出でし式傀儡よ、現世より離する綴籠にて厄威を封ぜん。式術結界ッ、籠目ッ!!」


 呪言の詠唱が朗々と、獣の顎門(あぎと)から響き渡る。

 

 調べに導かれる炎狐を角として中庭を囲む正三角形が形成されると、その領界が薄皮が剥がれるかのように浮き上がる。

 

(な、なんだ!?)


 いまいる世界から自分の存在が剥離する。そんな感覚に捕らわれた。

 

 驚き見る間に浮き上がった正三角の領界が、大地に描き刻まれた大元の三角形から四十五度回転し六芒星の籠目模様を形作る。

 

 その刹那、

 

 周りに見える日常の光景が、どこか遠い異世界のように感じられた。

 

 すぐそこに在りながら、手を伸ばしても決して届かぬ別の空間のように。

 

「“籠目”という結界術だよ。魔法陣で囲った内側を時空連続帯の隙間にずらし込むことで眷属を封じ込めて、本来の世界に一切被害を及ぼすことなく存分に戦うことが出来るんだ。便利だろう?」


 傍らに控える炎狐の本体が得意げに説明する。

 

 難しい理屈とかはよく分からなかったが、とにかく六芒星の内側が、朔也が感じたとおりの別空間であることは確認出来た。

 

「さて、とばっちり食わないように下がっていようか」


 結界の領域ぎりぎりの所まで移動する忍に、放心した面持ちでついて行く。

 

 昨日から人知を越えた怪異を見せつけられてきたが、一向に慣れることが出来ない。

 

 どうなってしまうのかと不安な心持ちで様子を伺う。

 

「へっ、メガくだらねえ。こんなんでオレ閉じ込める? ブチ破ってやっぜ。決めた。さっきの取り消し。てめえらブッ殺してリリアム助けたらここの人間全部喰っちまうわ。参謀の命令とかもう知んね! 勝手にやんぜ、オレッ!!」


 “籠目”結界に怯えるどころか埒暴の二つ名を持つ眷属は一段と気を昂ぶらせ、素早い踏み込みで瞬時に間合いを詰めた。

 

 右手のバタフライナイフで龍姫の喉笛目がけ切り付けた。

 

「鬱陶しいその口、永遠にきけないよう吹っ飛ばしてやるわ!」


 だが小柄な人間の少女は、高速で連続的に繰り出される刃を最少のステップだけでことごとく避けきった。

 

 怪物にも負けぬ剣呑な声で言い放つと、右手に握った鬼銃“護砲童子”を半身に構える。

 

 大の大人でさえ発砲の反動で肩が外れるのではというほどの大口径。

 

 鋼の塊のように巨大で重厚な銃身を敵へと狙い定め、撃つ。

 

 途端に、壮絶な銃声が大気を震わせた。

 

 間一髪身を躱すガムドの頬を掠めて、錬気を凝縮した弾丸が結界の境に着弾した。

 

「うっへ、おっかね〜。けど、そんなひょろひょろ弾、当たんね!」


 その現世界と亜空間を遮る不可視の壁面が軽く振動しつつも、強力な衝撃を吸収する。

 

 確かにこれならどれほどの激しい戦いでも、学校に被害を出す恐れはない。

 

「へえ、いかにも三下の雑魚キャラって顔してるのに、案外とやるじゃない。昨日は誰かさんのおかげで不完全燃焼で終わっちゃったし――」


 恨みがましい視線をぶつけられ、たまらず朔也が竦み上がる。

 

「んを?」


 その女体化少年の姿に、チャラ男が注視する。

 

「――せいぜいあたしを愉しませなさいッ!」 


 龍姫が軽やかな足裁きで移動しながら、一瞬気の逸れた眷属目がけ遠慮無しの連射を敵目がけて叩き込む。

 

「ぬおおっ! ファァアアアックッ!!」


 仰天しながらも、ガムドは幾本ものバタフライナイフを一気に投げ放った。

 

 弾丸と刃がぶつかり合い、壮絶な爆音が続けざまに炸裂する。

 

「クソチビ女ぁあああっ! あっぶねえだらぐぁああああぁっ!!」


 それでも防ぎきれなかった弾の威力が男の脇腹と内腿、そして側頭部をごっそりと刮げていた。

 

 人間ならば確実に致命傷、しかし人に在らざる怪物は怒気をみなぎらせて爆煙の中から龍姫へと殴りかかった。

 

 両手の指には物騒な棘が突き出たメリケンサックが握られている。

 

「はっ!」


 しかし、眼に捕らえられぬ速度で繰り出された拳は凛とした美貌に掠りもしない。

 

 重心を低く落とした少女が下がるどころか敵に向かって足を踏み込ませる。

 

 銃把を握った手をだらんと下げて、ほんのわずか上体を翻す。

 

「ぐああっ!!」


 刹那、触れてもいないのにガムドの身体が跳ね上がり、脳天から地面へと叩き付けられた。

 

「な、なんだあっ? 何しやがった、クソあまああっ!」


 何が起こったか分からぬ様子で、埒暴の眷属がよろめきながら立ち上がった。

 

「龍姫は一条流錬気柔術では師範級の腕前だからね〜。銃撃をかいくぐって接近戦に持ち込んでも投げられまくるだけだよ。接近戦で互角に戦えるのはケイくらいかな」


 なぜかまるで自分の事のように、得意げな口調で忍が解説してくれる。

 

「……生徒会長は戦わないんですか?」


 女の子一人に戦闘を任せて、こんな所で油を売っている炎の狐に皮肉っぽく言ってみる。

 

「ぼくは“籠目”の維持に全力を注いでいるからね。戦いが外の世界に影響したら大変でしょ?」


 言われてみれば、彼の分身たちは結界を張り巡らせた後も、炎に包まれた身体からエネルギーのような物を六芒星の陣形へと注ぎ続けている。それを彼が全て制御しているのだろうか?

 

「なにいい加減なこといってんのよ、バカ忍ッ! 籠目は一度展開したら、タイムリミットが来るまで自律して維持される仕組みでしょ!! まあ、余計な手出しなんかしたら、敵より先にあんたの息の根を止めてあげるけどねっ!」


 呆れ口調で拳銃娘が即座にツッコミを入れた。

 

「ほら、龍姫があの通りだから、ぼくは黙って見ていた方がいいかなって思って」


 じゃあなんで変な見栄を張るのだろう? 言葉も無く呆れた眼差しで見詰めていると、

 

「ちいっ! そっちの弱っちいの先にブッ殺してやらあっ!!」


 龍姫を手強いと見た眷属が、いきなり朔也の方へと飛びかかってきた。

 

「なっ!!」


 慌てて龍姫が銃を構えるが、ガムドは射線上に朔也が来るように突っ込んできた。

 

 もしヤツが避けきれば弾丸は身を守ることの出来ない“少女”と炎狐姿の生徒会長に直撃する。

 

「ちっ!」


 銃を手にしたまま追うが、すでに眷属は二人の元へとたどり着いていた。

 

「シャァアアッ!!」


 炎狐姿の忍にメリケンサックの拳を叩き込む。

 

「ギャンッ!」


 一声泣いて四つ足の身体が火の粉を撒き散らして吹っ飛び、千切れた紙札となって舞い落ちる。

 

「うわぁあっ! あ、ああぁっ!!」


 一連の動作でバタフライナイフの切っ先が朔也の喉元に突きつけられた。

 

 逃げるどころか身動きすら出来ぬまま、恐怖に顔を引き攣らせる。

 

 殺戮の悦びに歪んだ人に在らざる者の笑みが、その刹那ハッと驚きを浮かべた。

 

「チィイッ! なんだあっ、いるじゃねえか姫さんっ。冗談もいい加減にしやがれだぜえっ!! こんな奴らに紛れてやがるたあっ! オラァ、お遊びはお終いだっぜ、盟主殿が待ち侘びてやがる。伏魔殿に帰りやがるぜっ!!」


 ナイフが納められ、腕をがっしりと掴まれる。

 

 振り解けそうもない強さに顔をしかめながらも、不可思議な敵の行動に呆然とする。

 

「ひ……め……?」


「そんななりしてやがるから誰だかわかんなかったぜい。リリアム姫とあろうもんがあ、こんな地味くせええ身体に受肉するたあなあ。折角の婚礼なんだからよ、ケバい肉体喰らってくると思ったのによぉおおっ! ほらっ、いくぜぇ!!」


 リリアムとか姫とか婚礼とか訳が分からないことを捲し立てながら、朔也を連れて行こうとする。

 

「オレはそんな、リリ……なんとかなんかじゃないっ!! は、離せっ!」


(肉体が眷属化した者は、いずれ心まで人を喰らう化け物になる)


 拳銃使いの少女が投げつけた言葉が頭の中でリフレインした。

 

「い、いやだ、そんなの……はぁああああぁっ!!」


 激しい恐れが胸に込み上げ、必死にガムドの手を振り払う。

 

「ぐぁああっ!」


 その刹那激しい火花が手のひらから弾けて、眷属が驚き顔で飛び退く。

 

 朔也の腕を握っていた指が黒く焼け焦げていた。

 

「こ、このアマぁあっ! 冗談もいい加減にしやがれ、腐れ姫ぇえっ!!」


 信じられないと言った様子で怒気を昂ぶらせる。そのガムドの首筋に、

 

「あなたが探している眷属はわたしが首を刎ねた。そこにいるのはあなたたちの姫じゃない」


 刃渡りが広い大型ナイフがめり込んだ。

 

「ケイッ!」


 何の気配もなく唐突に姿を現した。

 

 いや気配というか、今の今まで彼女の存在すら失念していた。

 

 アビスウォーカー。深淵の暗殺者。犬神ケイ。

 

「くぉおおっ!!」


 喉笛を切り裂かれながらもガムドは朔也から手を離し、首が切断される前に必死で飛び退いた。

 

 人間ならば即死する傷。だが、眷属はまだ退却の余力を残す。

 

「こ、の、忌まわしい、短剣使いめ、が、ぁああああああッ!」


 悔し紛れの叫びを流血にくぐもる声で張り上げ高く飛び上がる。

 

「――はっ!!」


 その腹部へと、龍姫の“護砲童子”が錬気弾をぶち込んだ。

 

「ごぁあああっ!」


 苦痛の呻きを張り上げて、大きな風穴が空いた身体で悪足掻きする。

 

 とどめとばかりに銃型の鬼神を狙い定めた。

 

「えっ!? 籠目がッ! もう、何やってんのよ、バカ忍っ!!」


 だが、忍が叩きのめされたからだろうか? それとも発動時間が経過したのか、次元の狭間にある空間へと魔法陣の内側を封じ込める籠目結界が消え失せる。

 

「クッ! 逃げるなっ、このおっ!!」


 焦りながら撃った錬気の銃弾が眷属の右手を吹き飛ばした。

 

 だがそれでも必死の逃亡を計るガムドを止めることは叶わなかった。

 

 結界の遮りが無くなり天空を貫く錬気弾の軌跡から遠ざかるように、埒暴の二つ名を名乗る眷属はあっと言う間に空の彼方へ逃げ去っていった。

 

「チッ、仕留め損なった」


 追撃を掛けようとして舌打ち混じりに“護砲童子”を下ろす。

 

 憤りに顔をしかめ振り返り、龍姫はつかつかと真っ直ぐに歩み来るとまたしても銃口を朔也の頭に突き付けた。

 

 それを間髪入れずケイのナイフが払い退けた。

 

「あんたも見たでしょ! こいつ、錬気を使った術を発動させた。それもまったく制御出来てない。このままだとその内、周りに被害を及ぼすわ!!」


「わたしが制御の仕方を教える」


「それにあの眷属。こいつを同胞と認識したわ。姫だなんてふざけたこと抜かしてた。また取り返しに来るわよ、それも今度はもっと強いヤツが!」


「わたしが護る。眷属には渡さない」


 二人の少女が互いに一歩も譲らず睨み合う。

 

 その最中で、朔也は自分の手からあふれ出た不可思議な力の感触に、呆然とした眼差しを漂わせていた。

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