プロローグ
筋肉系という小説の新たなジャンルに挑む
この小説は友人と行ったリレー小説を元に製作しています。
所々に矛盾などあるとは思いますが、筋肉を前にそのような事象は
ほんの些細な事に過ぎないのです。
要は圧倒的な筋肉を前にしては、盾も矛も無力なのです。
その男はひ弱であった。風が吹けば飛んでしまいそうな……
人は彼を見て、風が吹けば飛んでしまいそうな印象を受けた。
そんな彼であるから、侮辱を受ける事もしばしばだった。
やれ生まれたての仔鹿やら、もやしチワワやら。
しかしある時彼は、肉体改造に一念発起した。
何をやっても三日坊主な男だったが、始めてみると意外な事に
己の肉体を鍛える事になんの抵抗も無く、日に日に増して行く
筋肉に喜びを感じた。
そしてこの出来事をきっかけに、全ての筋肉物語が動き出す。
彼の筋肉は数年間の肉体改造によって見違える程になっていた。
その頃になると、もう彼をひ弱などと馬鹿にする者など皆無だった。
その年の最高の筋肉にも輝いた。
彼の筋肉は今や世界最高峰にまで達していた。
今まで侮辱されていた自分が、今や崇め奉られる存在。
しかしこの時彼は気付かなかった。すっかり慢心していた。
既に己の精神は筋肉によって支配されていたのだ……
それからというもの、彼の振る舞いは筆舌に尽くしがたいものがあった。
まずファッションの流行となり得るものを全てチェックするのだ。
そして理不尽にも筋肉の良さを押し付け、デザイナーの目の前で
服という服全てを破り捨て、蹂躙する。あまりの超展開に
デザイナー達は皆ショック状態に陥り、デザイナーの世界から脱落する。
たった一匹の筋肉に日本の服業界は壊滅寸前であった。