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獣人メイちゃん、ストーカーやります!

父ちゃんと鹿と男の情け(『獣人メイちゃん、ストーカーを目指します!』番外編)

作者: 小林晴幸

こちら『獣人メイちゃん、ストーカーを目指します!』の番外編となります。

視点はメイちゃん達のクラスメイト、熊獣人のアドルフ君。

獣人メイちゃんのお話を知らなければ中々謎のお話かもしれません。


さて、彼から見た『バレンタイン』とは……?

 今日はバレンタインっていうイベントの日、らしい。

 なんかここんとこ、俺らの住むアカペラの街で女どもに持て囃されてるお祭りだ。

 仲いい奴とか、好きな奴とか。気になる奴とか。

 なんか特別な相手にチョコを贈る日なんだってよ。

 だからか、なんか今日は街中で甘くて良い匂いがする。

 あと、野郎の悲哀の声。

 悲喜こもごも、いろんな思惑が街中を錯綜してやがる。

 その恩恵で良い思いをしてる俺に否やはねーけど。

 良い思いっつか、甘い思い?

「あ゛ー……甘ぇ」

「父ちゃん、顔しかめて言うなって」

「けど甘くね? 甘いだろ、これ」

「あぐあぐ……父ちゃんの分は甘さ抑えてもらってんだから文句言うなって。母ちゃん、もう作ってくれなくなっちまうぞ」

「あ゛ー……あま」

 俺と父ちゃんは今、家の前にある空き地で並んで菓子を食ってるとこだ。

 俺のは母ちゃんにもらった蜂蜜と林檎のパイにチョコを仕込んだヤツ。

 父ちゃんのは、母ちゃんが砂糖控えめ酒大量投入で作ったトリュフってヤツ。

 父ちゃん以外にも、父ちゃんの賞金稼ぎ仲間がいる。

 それぞれの手には、やっぱチョコのお菓子。

 父ちゃんもそうだが、それぞれ嫁に菓子をもらったらしい。

 ……んで、嫁の前で食べるのが照れくさくって撤退してきたんだと。

 この空き地で食って、帰りに花でも買って帰るかって相談してる。

 なんかすっげぇ頭を悩ませまくってるみてぇだけど、ガキの俺には関係無いよな。

 家に帰ったら母ちゃんの肩を叩く、それで良いだろ。


「なあ、父ちゃん。次の仕事は俺も連れてってくれよ。雑用でも何でもするからさ」

「あ゛? 坊主にゃまだ早ぇよ」

「つってもさ、もうスペードもミヒャルトも賞金稼ぎの仕事、一端にやってんだぜ? このままじゃ俺、あいつらにどんどん差ぁ付けられちまう! それを黙って見過ごすのは俺が許せねぇ!」

「お、おお……あいつらか。なんだ、比べて焦ってんのか?」

「そうだよ悪ぃかよ! だから、俺も仕事に連れてけ!」

 俺の父ちゃんは、強くてかっけぇ。

 漢気に溢れる良い男ってヤツだ。

 仕事は賞金稼ぎ。

 でも昔は、どっか此処とは違う貴族の治めてるとこで軍人やってたらしい。

 けど上司が若い姉ちゃんを襲おうとしてるとこ見て、思わずぶん殴っちまったんだって。

 っつうか、軍のお偉いさんが通り魔とか最悪じゃん。

 俺がそう言って怒ったら、父ちゃんの仲間はニュアンスが違うっつってた。

 うん? 襲うって殴って金品奪おうとしたとかじゃねーの?

 ちなみにそん時、父ちゃんが助けた姉ちゃんってのが母ちゃんなんだと。

 でも父ちゃんが殴った上司っつうのがそこの領主の弟だかなんだかで、父ちゃんと母ちゃんは故郷にいられなくなっちまったんだってさ。

 手に手を取って逃げる中で、気付いたら夫婦になって姉ちゃんが生まれていたらしい。

 展開はえーよ。


 真昼間から強盗なんてしようとしたごく潰しでも、貴族は貴族。

 今でも父ちゃんは出るとこに出たら罪人扱いになっちまうらしい。

 けどそれは悪い事をしたからじゃなくって、良い事をしたからだ。

 いつか父ちゃんが捕まることがあっても、息子の俺は胸を張れって父ちゃんは言う。

 たまに最低なことも言う父ちゃんだけど、俺はそんな父ちゃんをすげぇ尊敬してんだ。

 だから姉ちゃんも、父ちゃんを邪険にしつつも仲が良い。

 今も、父ちゃんの手元には姉ちゃんが作ったチョコ菓子があるしな。

 俺の手元にも同じのあるけど。

「そーいや、おいアドルフ? ゲルダのヤツはどこ行ったんだ?」

「姉ちゃん? チョコ配りだろ」

「は?」

「だから、チョコ配りだろ」

「……ゲルダにチョコをやる相手がいるってのか!? 野郎、呼び出して一発殴らないことにゃ気が済まねぇ!」

「相手、女だぜ」

「ゲルダちゃん、そっちの趣味!? 父ちゃん、しょーっく!」

「友達だろー。父ちゃん、うぜぇ」

 あーもう、女の親父ってみんなこうなのか?

 メイちゃんとこも凄いって話だけど、うちの親父も大概うざい。

 姉ちゃんだってもう13歳だぜ?

 気になる相手の一人や二人、いてもおかしくねーっての。

 

 俺が父ちゃんうぜぇなあとか思いながら、俺はふと思い立って家に向かった。

 チョコの食い過ぎで喉が渇いて、水が飲みたくなっちまった。

 けど家に目を向けて、不審なヤツをうっかり見つけちまう。

 あれ? あいつって……

「鹿じゃん。どーした、鹿」

 そこにいたのは、鹿だった。

 それも知ってる鹿だ。

 鹿つっても鹿そのものじゃねえけど、鹿の獣人。

 それも姉ちゃんの元同級生だから俺も知ってる。

「おい、アドルフ……仮にも先輩に鹿ってなんだ、鹿って」

 顔を引き攣らせる、鹿。

 だが今のヤツはどう見ても不審人物だ。


 だってコイツ、木の陰から俺の家をちらっちら挙動不審に窺ってやがる。


「おい、警備隊に通報すんぞ、鹿」

「俺がその警備隊だって忘れてないか、おい」

 そういやそうだったか。

 こいつ、初級学校卒業して警備隊に就職しやがったんだよな。

 まだまだ下っ端だろうけどよ。

 警備隊の制服着てねぇってことは休暇か、この鹿。

「鹿、鹿って、この街に鹿の獣人が何人いると思ってんだ、お前」

「それよりどうしたんだ、あんた。ストーカーか」

「失礼なこと言うなよ! それより……今日、ゲルダは?」

「は? 姉ちゃん?」

「そうだよ、ゲルダはどうしてんだ」

「姉ちゃんだったら職場に行ったぞ」

「職場? ゲルダは今日、休みだろ。それなのに職場に行ったのか?」

「職場にチョコ配りに行った」

「えっ」

 おいおい待てや。

 っつうかこいつ、姉ちゃんの休日把握してやがんのか?

 姉ちゃんは初級学校を卒業してから、街のメインストリートに面した店で働いてる。

 賞金稼ぎや命がけで運河を行き来する商人、その護衛が多く立ち寄る街なんで、アカペラの街は武器や防具を扱う店がそこそこ多い。姉ちゃんはそんな店の1つ、そこそこ大きな防具屋で売り子をやってる。

 今日は姉ちゃん休みだから、売り子の予定はねえんだけど。

 鹿は休みだって知ってて、うちの周りをうろついてた……と。

 あの様子じゃ約束してたとも思えねぇんだけど。

「ちょ、チョコ配りって……男か?」

「いんや、バレンタインにかこつけたお客様感謝デーだっつってた。店員でそれぞれチョコ菓子焼いて持ち寄って、今日来店したお客さんに配るんだとよ。姉ちゃんのチョコ欲しいっつうならアンタも行ってこいよ。運が良けれりゃ姉ちゃんのチョコが当たるぜ」

「おっ俺が欲しいのはそんな……はっ!? おま、何にやにや笑ってやがる!」

「やっぱアンタ姉ちゃん狙いか」

 前々から怪しいと思ってたんだよな。

 けど、やっぱコイツ姉ちゃん狙いか。

 別に姉ちゃんも悪いって訳じゃねーけど……俺だったら御免だ。

 あんな可愛げのねえ姉ちゃんが良いなんざ、物好きだよな。

「店にチョコ置いて、ダチにも配りに行くっつってたから、まだ帰らねえと思うぜ?」

「……」

 ついついにやにや笑いながら見上げちまう。

 この物好き鹿、姉ちゃんが家にいたらどんな面下げてチョコをねだるつもりだったんだ?

 別に恋人でも何でもない、いいとこ友達が精々の関係でよ。

「……ひとつ、聞きてえんだが」

「ん、なんだよ。鹿」

「その……ゲルダのヤツ、誰か男にやるとか、ってのは……」

「そりゃ聞いてねぇな。けど、誰か野郎向けに作ってる気配なんざなかったぜ」

 何しろ作業してるとこ、隣で見てたからな。

 っつうか、姉ちゃんに強引に手伝わせられたんで嫌でも知ってる。

 本命チョコらしきブツを作ってる様子は無かった。

 色気のねぇ話だが、完全に配布用と友達用しか作ってなかった。


 それつまり、鹿にやる分を作ってる気配もなかったってことだけどな。


 この鹿も何を胸撫でおろしてやがんだ。


「おい、アドルフ……この鹿の坊主、誰だ」

「あ、父ちゃん」

「っおとうさん!?」

「誰がお義父さんだ、ごるぁ!!」

 うちの父ちゃん、大人げねー……

 会話が聞こえたのか、なんかの気配を感じ取ったのか。

 鹿が姉ちゃん狙いだって察して忍び寄ってきやがった。

「おい、この鹿は?」

「父ちゃん、姉ちゃんの元同級生だぜ?」

「あ゛? んな若造の分際でうちのゲルダに何の用だ」

「よ、用と言う用はないんですけど……!」

「父ちゃん、姉ちゃんの元同級生だからな? 別に恋人じゃねーんだからな?」

 いくらなんでも先走った挙句に元同級生を血祭りに上げたら、姉ちゃん怒るぜ?

 俺は呆れた目で父ちゃんの腹をばしばし叩く。

 正気に戻れ、いい大人。

「アドルフ、この鹿坊ちゃんのお名前は?」


「セリヌンティウス」


「…………ワンモア」

「セリヌンティウスだって」

「せり……?」

「姉ちゃんは長くて面倒だっつってセリーヌとかセティとか呼んでる」

「あー…………セリーヌ君?」

 お、よりにもよってそっちをチョイス?

 鹿は突如現れたうちの父ちゃんを前にびびってんのか?

 今までに見たことねぇってくらい、縮こまってんだけどよ。

「うちの娘と交際したくば、俺の年収を超えた上で給料三か月分のダイヤを用意して出直して来い!」

「まだ姉ちゃんの元同級生に過ぎねえって言ったろボケ親父」

「おぐぉっ!?」

 あ、思わず父ちゃんの腹にワンパンかましちまった。

 しかもうっかり、部分獣化で熊の腕にして。

 かなり良いとこに入ったのか、蹲る父ちゃん。

 おう、すまねぇ……。


 右腕を熊にしたまま、空を仰ぐ俺。

 予測を超えた展開に、棒立ちの鹿。

 そして地面に蹲って、痛みに悶える父ちゃん。

 カオス。

 まさに、カオス。

 これからどーしたもんかと悩む現場に、切り込んできたのは聞き馴染んだ声だ。

「あれ、父さん……なに、どうしたの、この状況?」

「あ、姉ちゃん」

「ゲルダ!」

「アドルフ、セリーヌ……って、なんでアンタまでいるのよ」

「そ、それは……」

 姉ちゃんが、帰って来た。

 男3人よって固まる奇妙な三すくみに、すっげえ不審そうな顔をして。

 俺と父ちゃんの組み合わせはともかく、そこに何の接点もねえ鹿。

 どういう状況なのか、俺だってわかんねぇよ。

 だが、1個だけ言えることがある。

「姉ちゃん、この鹿ねえちゃんの――……」

「おうこらまてアドルフ言わせるか……っ」

 鹿が、いきなりすげぇ瞬発力で速度を発揮した。

 しゅぱっと飛びついてきて、俺の口を塞ぐ。

 おうてめぇ、こういう時ばっか素早いな。

 瞬発力は中々どうして、道場通いも流石ってとこか?

「あれ? あんた達って仲良かった?」

「あ、ああ……ほら! アドルフは賞金稼ぎ志望だろっ? 俺が稽古見てやるって約束してたんだ」

「ふぅーん……? まあ、確かにいろんな人に見てもらうのは武術の上達に良いかもね」

 姉ちゃん、騙されるな姉ちゃん!

 俺、別に鹿に見てもらう約束なんざしてねぇっ!

 つーか、鹿ってスピードファイターだろ?

 俺とは戦闘スタイルの方向性違い過ぎだっての!!

「まあ良いわ、弟が世話になってるってことよね。有難う、セティ」

「あ、ああ……っ」

「そうだわ、丁度良かった! セティにこれあげる」

「えっ?」

 驚く、鹿。

 俺も驚いた。

 姉ちゃんは肩から下げていた鞄をがっさごそと漁ると……

 中から1つの包みを取り出して、鹿に放り投げた。

 咄嗟に両手で受け止める、鹿。

 中身は脆いんだから力入れすぎんなよ?

「それじゃあね!」

 姉ちゃんは呆然とする鹿と、俺と、蹲る父ちゃんを後にして家に入る。

 鹿は姉ちゃんが去った後も、ポカンとした顔で手元の包みを眺めていた。

 そんで父ちゃんは、そんな鹿をギラギラした目でぎろっと見ていた。

 父ちゃん、睨むな。

 あの中身はそんな大したもんじゃねーよ。

 

 姉ちゃんが家に入ってから、たっぷり5分くらいして。

 鹿はハッとしたように、動きを再開した。

 包みが気になるのか、あたふたと袋を開けて……

「……っ!」


 中から出てきたのは、ナッツたっぷりのブラウニー。

 大きなハートの形に型を抜いて、チョコレートでコーティングしたヤツ。


 鹿はハッと息を呑んで、信じられないって顔に書いてる。

 ぶるぶる震える指で、大事そうにハート型の菓子を掴んでやがる。


 ……が。

 

 鹿の正面……

 菓子の反対側が見えている俺と父ちゃんは微妙な顔をしていた。

 うん、つーか哀れみの温い眼差しで見てたんじゃねーか?

 いつまでもぬか喜びさせてるのもヤバいよな。

 俺は胸を痛めながら、鹿に現実を直撃させてやることにした。

「鹿、鹿……おい色ボケ、ちょっと菓子の反対側見てみろや」

「あっ?」

 鹿に、強引に菓子の反対側……菓子の、表側を見せる。


 そこにはホワイトチョコで、『謝意』と達筆に踊る2文字。


 どこからどう見ても、義理チョコとしか思えないビジュアルが。

 っつうか、まあ、義理チョコなんだけどな。

 だってあれ、姉ちゃんが防具屋のキャンペーン用に焼いた菓子とおんなじヤツだし。

 姉ちゃん……余りを渡したな?


「………………」


 じっくりとっくりと菓子を見つめる、鹿。

 そんなヤツの眼差しは……なんつうか、透明すぎて何の感情も見つけられなかった。

 いたいいたい、胸痛い。

 俺と父ちゃんは、そんなヤツからそっと目を逸らす。

 やがて再起動した鹿は、ふらりと足をもつれかけさせて……

「今日は…………かえり、ます……」

 そのままどっかにふらふらと消えた。

 姉ちゃんに貰ったチョコ菓子は、しっかりと胸に抱えて。

 俺と父ちゃんは、そんなヤツの背中を黙って見送るしか出来なかった。

 だけど鹿が完全に見えなくなってから、俺は父ちゃんに聞いてみる。

「なあ、父ちゃん」

「なんだ、坊主」

「姉ちゃんにチョコ貰った野郎は、呼び出して殴るんじゃなかったのか?」

「…………あー……それは、今回は、なあ? うん、今回はいいだろ」

 鹿、鹿、良かったな!

 うちの父ちゃん、獣人でも何でもねぇ人間のくせに拳骨めっちゃ痛いんだぜ!?

 同情の生温い眼差しと共に、どうやら鹿は見逃してもらえたらしい。


 けど、なー……

 鹿はかわいそうだった。

 だが、その姿勢には何か見習うべきものを感じんでもない。

 何事にも喰らいついて、何かしらの成果を望むってのも悪くない。

 うーん……休日だからって、スルーしてたけどよ。

 俺もやっぱ何かしら行動すべきだよな。

「父ちゃん、俺ちょっと出かけてくるぜ」

「お? どこ行くんだ」

「ちょっとクラスのヤツんとこ」

「ほー……遅くなるなよ」

「おう!」


 俺は見送る父ちゃんに元気に答えて、走り出した。


 目指す先は、メイちゃん、スペード、ミヒャルトん家。

 あの3人、家が近すぎんだよな。

 まあ、今回は好都合だろ。


 あの3人は幼馴染だ。

 だけどスペードもミヒャルトもメイちゃんに意識されてねぇ。

 そこは俺としてもホッとするとこだけど。

 けど、こういうイベントの時は分が悪ぃ。

 幼馴染の気安さにかこつけて、高確率であの2人はメイちゃんから何か貰えるからだ!

 どうせ義理だろうけどな!!


 それを癪だ、癪だと思いながらも、あいつらは幼馴染だからって流してた俺。

 でもそんな姿勢じゃ、いつまで経っても状況は動かねぇ。

 たまには鹿も見習うべきだ。


 まずはスペードとミヒャルトへの妨害だな。

 おっし、メイちゃんから貰うだろうチョコを強奪しよう。

 凄まじい戦争の気配がするぜ……だが、負けてはいられん!

 醜い争いを繰り広げていたら、もしかしたらメイちゃんが介入してくれるかもしれないしな!

 争いの元になったチョコについて再考してもらえりゃ万々歳だ。

 喧嘩の元になるからって、ミヒャルト達から回収なりしてもらえりゃ言う事はねぇ。

 逆に喧嘩しねぇようにって俺までおこぼれに預かれれば、この上なし。

 どう転ぼうとも、俺に損はねーな!


 俺はあの2人をどう出し抜くか、足りねぇ頭でいっぱいいっぱい考えた。

 考えながら、走って行く。

 

 目標地点へは、もうすぐ到着。

 見てろよ、犬猫コンビ!

 そしてメイちゃん。


 正直に言ったら、俺もメイちゃんのチョコが欲しいだけなんだ。

 こんな日に醜くあがいたって、別に良いだろ。

 それも込みで、イベントなんじゃねーの?


 好きな子の思いの欠片がほしい。

 それで、あがいてもがいて努力する。

 そういう楽しみ方だって、こんな日の醍醐味のひとつだろ。


 俺はイベントを全力で楽しむつもりで。

 勢いよく、犬猫コンビの元へ駆け込んだ。




この後、仁義なき争い勃発。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 鹿ぁぁぁ!!!!!! お前は頑張ったよ(敬礼) そしてアドルフ含む壮大な争奪戦の結果はいかに!? [一言] そういえば、明けましておめでとうございます。
[一言] アドルフ君は部分獣化を身に付けましたか!
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