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第4章

第4章


『続いてのニュースです。昨晩、石函市の住宅街でバイクが多数炎上しているのを住民が消防に通報。多数の死者を確認しました。警察ではギャング同士の抗争による事件と見ていますが、事件に使われた爆発物から暴力団関係者の仕業という見解もあり…』

「…お前か?24人死亡とか言ってるが…」

「まぁね。」

先日フィスカがもらってきた黒毛和牛のロースカツを食べながらソーマがフィスカにたずねる。もちろんとフィスカは答える。

「報酬がこのロースカツって訳か。」

「うん、これであいつらは全滅。食いたかったら今度スーパーで買って来てあげるよ。」

頼むぞ、とクレアがうなずくとソーマは驚いた様子でフィスカを見ている。

「ろ、ロースカツ3枚で暗殺を…?」

「こいつらあのスーパーのほかにも、いろんな場所で悪いことやってたしね。まぁこのくらいの価値しかないよ。それにこいつ結構高いんだよ?」

「…なぁ、フィスカとクレアにとって命ってどれくらい重いんだ?」

ソーマが恐る恐るたずねるが、フィスカは複雑そうな表情をする。

「そのときの状況にもよるけど…やっぱり手当たり次第に殺していいものじゃないって言うことはわかってる。」

「私はどうだろうか…食べ物と同じ感じだろうか。日々の糧を得るために感謝しつつも倒すと、そういうところか。」

ソーマはクレアの答えを聞いて疑問をぶつける。

「食べ物と?どうしてそんな言い方をするんだ?」

「突き詰めればこの食料も何かの命を奪っている。対象が人かそれ以外かの違いでしかない。」

「ま、まぁな…」

「それに金次第で誰でも殺す殺し屋でもないし無駄に命は奪うつもりもない。一度奪えば取り返しがつかないことくらいはわかっている。」

どこかソーマはほっとしたのか安堵の表情を浮かべる。フィスカは早速ロースカツを食べ終えると早速食器を片付ける。

「まぁでも、存在するから取り返しがつかなくなることもあるけどね。結局は場合によりけりかな…」

「そうだな。」

クレアもうなずくとそのまま食器を片付ける。すると違うニュースが流れてくる。

『続きましてはTPP交渉参加の是非を問う国民への世論調査の結果です。アンケートの結果、6割が交渉参加に賛成という結果を…』

「なぁ、2人とも。TPPって本当にいいのか?俺は良くわからないんだが・・・」

ソーマが少し困った様子で話しかけると、フィスカはダメだね、と首を振る。

「あれね…うん、本当にうまく交渉しないとやばいよそれは…」

「あぁ。確かに自国の商品を売りやすくなるが…関税を何にかけるか明白に決めなければ自国の地場産業を破壊する結果になりえる。工業製品は関税を撤廃してもいい利益になるだろう。だが農業は大打撃だ。3.2兆円の損害と軽く言うが、何十万もの農業関係者が打撃を受ける結果になるだろうな。」

ソーマはなるほど、とうなずきながら話を聞く。

「けど、政府は関税を撤廃しても農業を改革すればいいって…」

「無理だろう。大手農業企業は一定期間利益度外視で売りつけて地場産業を破壊した後、高値で売りつける戦術をとる。関税を見直そうということは悪いことではないが、自由貿易が完全にいいかといわれると話は別だ。過去、自由経済を押し付けてアフリカ諸国や中南米の経済を破壊したこともあるアメリカ主導ならなおさら、だ。」

「うわ、酷いことしてるんだな…」

「あぁ。」

クレアは静かにうなずくと、フィスカは仕方ないねとため息をつく。

「自由って言葉、響きが素敵だもんね。まぁみんな好きになっちゃうけど先生にも教えられたじゃんか。「自由って言うのは制限がつきものだ」って。」

「そういえば教えられたな、小学校のとき自習の時間とか…」

「あれと同じで、自由経済や自由貿易にしても何にしても制限をかけないとどうしようもないの。じゃないと大国ばかり都合のいいシステムになっちゃうから。」

「そうなのか?」

フィスカの言葉にソーマはまだ良くわからない様子で首をひねっている。見かねたのかクレアが説明する。

「大国はどこも市場拡大の機会を狙ってるからな。自由貿易で農業が破壊されたケースなんてたくさん見てきた。」

「本当か?」

「あぁ。さっきも言ったように利益度外視で売りつけ、農家がやっていけないと音を上げたところに企業が農家に種を売りつけるんだ。品質のいい作物が収穫できるものをな。その代わり種の保存を禁止して、それを毎年買わせれば莫大な利益になる。まぁこんなのは生ぬるいほうで、最悪土地を安く買い叩いて自国の企業を入れてそこで働かせるというのもあるが。」

「えぐいな、それ…」

えげつない手段を聞いてソーマは眉をしかめる。クレアは同じような表情をしながら話す。

「TPPというのも大方そういうことをするためにしているんだろう。日本相手なら利益度外視で売りつければ品質が落ちて売れない可能性もあるが、他の国家はお世辞にもそれほどの技術を持っていない。まぁ、こういうことを防ぐために関税というものを設けているんだが…まぁ、私の世界では地元産業を破壊しようとする企業の重役などを地元農家の依頼で暗殺したことが多いんだがな。」

「まぁ、な。こういう酷いことしてれば暗殺者に依頼したくもなるよな・・・毎年のように搾取されりゃあ…」

少しだがソーマもその意見に納得してしまう。

「そういうわけ。酷いことやってる連中は金を溜め込んでるから刺客としても仕事の料金は割に合うしさ。」

「え?そ、そういう連中から金を盗んでるのか…?」

「たいていはね?どうせ警察が押収してしまって戻ってこないお金なら依頼の代金としてもらっちゃうよ。標的がいくら使ったか、なんて依頼主にもわかんないし。こういうことがあるからお金持ち相手の暗殺って依頼主からの料金が安くても需要があるわけ。権利書とかは売らないけどね。」

フィスカは笑みを見せながら答える。ソーマはそのあたりの感覚が違うのか、どうにも納得がいかない様子だ。

「…なんか、泥棒する暗殺者って聞いたことないけどな…」

「証拠を残したくないから慎重になったりする奴らも多い。私たちみたいに敵のいる場所に乗り込んで暗殺するなんてそうそうできることではないからな。それに金の運搬手段も確保する必要があるという問題もあるな。まぁ私達はコンビを組んでいるからいろいろとやりようもあるが。まぁ基本は欲張らないことに尽きる。300万円程度、金品ならポケットが膨れないくらいの量を持ち帰ると決めている。」

「良くやるなぁ…」

「生活がかかっている以上きれいごとはいえないだけだ。創作物の暗殺者はやけに金に執着しない連中が多いらしいが、私達みたいに仕事にしていれば事情も変わる。」

クレアはため息をつきながら応える。報酬だって年間を通してみればそんなに多いわけでもなく、多額の報酬も機材や武器などを仕入れていれば生活に困らない程度でしかない。フィスカもつらい現実を思い出したのか表情が沈んでしまう。

「依頼といっても断りきれないの多くてね。やっぱり財産をたっぷり持ってる連中でも暗殺して一稼ぎしないと無理なのよ。」

「つらいんだな…そういう仕事やめられないのか?」

ソーマが首を傾げるが、クレアは首を振る。

「それもそれでいやだな。他の仕事を探すのが大変というのもあるが私たちがいなければその分、私達がこれまで倒してきた連中がのさばってしまう。それを考えるとやっぱり続けたい。」

「小難しいこと考えてるんだねぇ、クレアってば。私は依頼とか楽しいこともあるし欲求も満足できるし…天職だと思ってるの。」

フィスカもクレアもやめる気はまったくないらしく、ソーマは小声で愚痴をこぼす。

「刺客以外の仕事やったらいいのに…」

「無理だと言っただろう。それより時間だ。」

クレアは平然とバッグを持ちながら応える。ソーマは今にも跳ね上がらんばかりの勢いで驚きながら荷物をまとめる。

「聞こえてたのか!?」

「まぁ、刺客だしね。この距離でぼやく声程度は聞き逃さないよ?声を潜めてる相手から噂話を聞く訓練もしてるしね。」

明るい様子でフィスカは応えると、玄関に出て靴を履き大型の軍用ケースを持ちながら応える。先日リューゲルから貸してもらったもので、無駄に頑丈で重い。

「まったく…もっとそういうことは早く言ってくれよ…」

「気をつけよう。」

クレアがこくり、とうなずくとフィスカが玄関の扉を開けて首をかしげる。

「何するんだっけ、私達。」

「…お前、昨夜も説明しただろう。ソーマのチームに、幌板ほろいたのサバゲーチームが交流試合をするから一緒に行くんだ。お前の銃も私の銃もソーマが貸してくれるから大事に使うんだぞ。」

「はいはい。」

フィスカはケースを開けて武器を確認する。PP2000を2丁とマガジンが入っているのを確認してケースを閉める。クレアは89式小銃とSIGP220を、ソーマはCZ805とCZ75をそれぞれ持っている。いずれも電動ガンやガスガンだが、現実の装弾数で戦うチームのためマガジン装弾数は実銃と同じ程度にしている。

彼らはバスに乗り、郊外の山へと向かう。


「イリアー、お前も着替えろ。」

山中にある休憩所のような場所で黒い服に身を包んだ刺客たちはサバゲーのチームが着ていた衣装に着替え始める。イリアーは若者たちの死体を見下ろし、悲しげに目を伏せる。

「殺す必要はあったのか?無用な犠牲は出すなと依頼主から言われていた。我々はバラクラバ着用で顔も見られていないのに…」

「だったらやさしく説得するか?それとも札束で死ぬまでぶん殴ればよかったか?」

「極端な発想しか出来ないのか、ミケロット。我々は刺客だ。標的はフィスカとクレア、それ以外の民間人を殺すのは好ましくないだろう。」

イリアーが少し口調を強めるが、ミケロットは愛用のM14EBR自動小銃をいじりながら答える。セミオートの狙撃銃で、銃剣とダットサイトも装着している。

「この異世界に俺たちは長くとどまらないんだ。依頼を終えて帰れば警察だって追ってこないだろう。」

「お前はそんな心配しか出来ないのか!?お前らも…」

刺客として誇りを持っているイリアーは周囲の刺客を見つめる。彼らは何の反応も示すことなく、死者から奪った服に着替えそれぞれの武器を準備している。

重火器を使うわけには行かないが、それでも突撃銃や槍などバリエーションに富んだ武装をしている。ミケロットは着替え終わったのを確認すると東屋のテーブルに地図を広げる。

「あいつらの情報によるとこのポイントにフィスカとクレアが来る。俺が狙撃してどちらかを負傷させる。他の奴は狙撃を合図に包囲、殲滅しろ。」

「あぁ…」

民間人を巻き添えにする意図を読み、イリアーはため息をつく。しかしフィスカとクレアを倒せる絶好の機会でもあり、一応はうなずく。

「行くぞ。会合地点に敵は必ず来る。予定時刻に配置につき狙撃、殲滅しろ。」

了解、と軽くイリアーや他の刺客は答え銃火器を持つ。イリアーは使い慣れているSG552に銃剣を装着し、4倍スコープをつけてマガジンも装填するが表情は沈んだままだ。まったくと言っていいほど戦意がわいてこないのだ。

「こんな戦いなんかやめてやりたいくらいだ…フィスカとクレアの2人を殺すにしても、これは…」

他の刺客が配置につくのを見て、イリアーもそのまま所定の場所へと向かう。


「ここだな?」

「あぁ。」

バスを降りて徒歩でフィスカとクレア、ソーマの3人が10分くらい歩き山中の広場に到着する。そこにロッカとヒナタ、そしてもう1人の女性がいる。ロッカ達と同年代のようだ。

「ちょっと遅刻だな…ん、その2人が例の元軍人か?」

ヒナタはフィスカに近づくと早速手をとる。フィスカは複雑そうな表情で握手を返し、ソーマにたずねる。

「だれ、このなれなれしいの。」

「俺の友人でさ…ヒナタって言うんだ。まぁあんまり気を悪くするなよ。」

「わかったよ。」

フィスカはこくり、とうなずくと握手をといて軍用ケースから銃を取り出す。クレアも準備をしているともう1人のメンバーとぶつかってしまう。

「きゃ…ちょ、ちょっと!気をつけなさいよね!」

クレアはくるり、と振り向くともう1人のメンバーを見つめる。

「名前はなんだ。クレアだ。」

入陶いりす 美沙みさですけど。」

「そうか。まぁ邪魔だと言わなかったことだけはいいことだな。」

そういうとクレアは89式小銃とP220を装備してケースを閉める。イリスはカナリにむっとした様子で愚痴をこぼしている。

「何です、あの見下した態度は…気に入らない。」

「まぁまぁ…」

ヒナタが言葉を尽くしてなだめている間にフィスカも準備を整える。PP2000を持ち、マガジンもセットする。

「大体服装とか私服でしょう?あれでは雰囲気が…」

「落ち着けって。な?」

ソーマもイリスを落ち着かせている。このメンバーの殆どは迷彩服を着用しているがフィスカとクレアはいつもどおりのカジュアルな服装をしている。会話の内容が聞こえたのかクレアはイリスに反論する。

「一応言っておくが銃を入れやすいようにポケットは大きくしているしマグポーチをつけやすいように改良もしているぞ。」

「そ、そういうことじゃなくて!ただ軍の雰囲気に…」

「まぁ今回だけ許してよ。次から用意するから、ね?」

フィスカは2人の間に割ってはいって何とかなだめる。イリスも納得したのかそのまま準備を続ける。

それぞれが準備を終えると、1個分隊とそこに居合わせた諜報員のような構図が出来上がっていた。ソーマが全員を呼び集める。そして折りたたみ式のテーブルにこの周辺の地図を広げるとブロックを使って作戦を説明する。味方は青、敵は赤のブロックで示しているようだ。

「いいか、作戦だが…敵軍は待ち合わせ場所を指定してきたからには包囲していることだって考えられる。だまし討ちをしてくる可能性もあるからな。だからこの高所を比較的早く制圧し、視界を確保するのが最優先だ。」

「ほう…なかなかいい作戦だな。理にかなっている。」

クレアはソーマを見て感心してしまう。するとロッカが脇から声をかける。

「作戦の立案はうまいの。私達の技量がちょっとね…」

「多分そのために私たちを呼んだのだろう…まぁ、今度教えるとしよう。」

ブリーフィング中に私語はまずいだろうと思い、クレアはソーマの話を聴くことに集中する。

「フィスカは前線でヒナタとイリスで行動。ロッカと俺とクレアが支援射撃を行う。それでいいな?」

「了解!」

声をそろえて一同が答えると、全員が立ち上がり武器を持ってソーマに続く。小走りでソーマは合流ポイントの山中まで向かっていく。

冬も近いため寒くなってきたが、そんなことはかまわず6人はそのまま進んでいく。フィスカはPP2000をもって周囲を警戒するが、ポーチにはPP28を隠している。そして、所定のポイントで別れると

「敵、いるか?」

ヒナタが首をかしげる。フィスカは首を振って答える。

「…素人の兵員にしちゃ訓練されてるのか、あるいは…」

そういうか言わないかのうちにいきなり銃声が響き、空気を切り裂く音とともにフィスカが倒れこむ。

「フィスカ!?」

「っつ…脚やられたよ。」

フィスカの脚から血が流れ、すぐにイリスが駆け寄る。

「だ、大丈夫!?」

「大丈夫なわけないじゃん…!無線で敵襲伝えて!本物の敵だって…」

わかった、とうなずくとヒナタは身を伏せて無線でソーマに連絡する。

「ソーマ、聞こえるか…!?後退しろ、敵だ…実弾撃ってきたんだ!」

『実弾?』

無線機から気の抜けた声が返ってくるがクレアがすぐに無線を奪ったらしく、真剣な声でたずねてくる。

『今はどのあたりだ!?それと銃弾は!?』

「歩いて15分だから合流地点の付近だが…銃弾?」

「5.56mmだと思う…!」

ヒナタが迷っている間にフィスカが寝転びながらコートの下からサブマシンガンを抜きつつ答える。敵も銃弾を発射してくることはなく、周囲は静寂に包まれる。

『よし、いいか。ヒナタとイリスは撤収だ。出来るだけ身を低くして撤収しろ。いいか、何があっても…』

銃声がした後、無線機からは雑音しか聞こえなくなった。ヒナタは無線機を投げ捨てるがフィスカは這って2人のところに来る。イリスは青ざめた表情でフィスカにたずねる。

「て、敵って何よ…」

「最近噂になってない?タックスヘイブンとか襲ってる連中…あいつら。あるいは連中の雇った刺客。」

簡単にフィスカは答えると片方のPP28短機関銃を地面に置く。マガジンもいくつか置き、周囲を警戒する。

「どうするんだ、これ…」

「護身用程度にはなるでしょ。どっちかが持って、万一敵見つけたらぶっ放して。反動はそこそこ抑えてるからあんたたちなら両手保持で何とかなるでしょ。マグチェンジは銃後部から水平に行うから。」

「それって、撃てってことか…?」

意図を察したのかヒナタは呆然としてしまう。イリスも驚くが、フィスカはこくり、とうなずく。

「AP弾装填してるからボディアーマーぶち抜けないってことはないよ。早くあいつらに合流して。食い止めるから。」

フィスカはPP28短機関銃を構えているといきなり銃弾が飛んでくる。今度は左腕に当たったらしいがフィスカはかまわずに銃弾の飛んできた方向に射撃をかえす。

とたんに悲鳴が聞こえ、敵の刺客が1人倒れこんでくる。

「え、映画じゃないのこれ…!?」

「本物よ、早く行って!」

イリスが戸惑っているが、フィスカは声を張り上げてすぐに行くようにせかす。2人はフィスカを置いて先に進んでいく。銃弾が飛び交い、何十発も銃声が聞こえ周囲に着弾するがフィスカは寝転びつつ、時々移動して応戦する。

ヒナタがサブマシンガンを持ち、構えながら駆け足で先導しイリスも後ろからついていく。実銃のため少し重いが、両手で構え剣に気をつければ何とか構えられるようだ。

「だ、大丈夫よねそれ…」

「まぁ、なんとか…」

イリスが不安げに声を出すと、横の茂みからいきなり刺客が槍を突き出してくる。反応しきれずヒナタはわき腹に槍を受けてしまう。

「っ!?」

「きゃ…!」

ヒナタが傷を負ったのを見てイリスが目を伏せてしまうが、その間に刺客は槍を引き抜くとイリスに構える。

「こ、来ないで、来ないでっ!」

イリスは悲鳴のような声をあげながらヒナタの手からPP28短機関銃を奪い取り射撃するが、刺客は穂先で簡単に銃弾をはじいていく。

「うらみは無いが覚悟するんだな。」

無機質な声で刺客が槍を構え、突き出そうとした瞬間に真横に刺客が吹っ飛ばされる。イリスは何が起こったか良くわからないのかきょろきょろと首を左右に振る。

「無事か!?」

遠くからクレアがバレットM82を担いで駆け寄ってくる。イリスはほっと安心したのかその場に座り込んでしまう。刺客は横から12.7mm銃弾を受けて倒れこんでいる。

「ど、どこ行ってたのよ…!?」

「銃を取りに行っていた。いくらなんでもお前たちを丸腰で助けることは出来ないからな。フィスカは?」

「最初に狙撃されて、それで1人で残って…」

イリスからフィスカの状況を聞き、銃を置くと無線機でソーマに連絡する。

「担架をこっちに持って来い、それと移動手段の確保だ!私はフィスカを救出に行く!」

それだけ言うと応答も待たずにクレアは応急キットをイリスに押し付ける。

「ちょ、ちょっとどう使えば…!」

「止血剤を飲ませ包帯をあてがえ!」

それだけ言うとクレアはわき目も振らずフィスカのほうへと向かっていく。イリスはすぐに止血剤のパッケージ表示を見るが日本語で書かれている。

「ロシア人の軍人じゃないの…?」

そんなことをいいながらイリスはヒナタに止血剤を飲ませ、わき腹の傷に包帯を巻いていく。少しカナリの顔色がよくなり、血も少しずつだが止まっていく。


クレアは急いでフィスカとの合流地点に向かおうとするがその前に刺客が立ちはだかりナイフを突き出してくる。

「覚悟しな、ここは通さねぇ…っ!?」

「どけ!」

バレットM82の銃身で刺客をぶん殴り、クレアはフィスカの元へと向かう。銃声が響いているため、銃撃戦はまだ続いているらしい。

いつまで持つかわからないため、クレアは駆け足で山中を駆け抜けるとフィスカを発見する。片腕と脚に怪我をしており斜面に寝転がりながら銃撃しているようだ。

「ちっ…!」

威嚇にバレットM82を構えて射撃し、相手の銃撃がやんだ隙にクレアはフィスカを木陰に引きずっていき傷口に包帯を巻く。

「もう大丈夫だ…!」

「よかった…死ぬかと思ったよ…」

フィスカはほっと安心したのかそのまま目を閉じようとするが、クレアが頬を軽く叩いて意識を保たせる。

「まだ寝るな。一般人4名を無事に家に帰さなければならん…お前がいなければ銃は撃てない。」

「わーったよ。背負って。」

「あぁ。」

軽くクレアが答えるとフィスカを背負う。フィスカはぐっとクレアに抱きつく。バレットM82はキャリングハンドルで保持してそのまま撤収する。銃弾を受けないよう、木を利用しその近くを駆け抜けていく。

「ソーマ、フィスカを確保した。」

『それよりロッカがいない!』

クレアは驚いた表情でソーマからの報告を聞くが、すぐに指示を出す。

「あのときに捕まったか…!いいか、まずこの戦場から退却することを考えろ!ロッカは後で救出する!」

『冗談だろ!?』

「武器も持ってない奴をわざわざ殺すとは思えん。相手も一応は刺客だ…最終的に利用しようと考えるだろう。それよりここにとどまればまず間違いなく死ぬぞ!」

それだけ言うとクレアは無線を切り、フィスカを抱えて最初にブリーフィングを行った場所まで戻る。時間はどれくらい経ったかもわからないが、とにかく広場まで戻るとイリアーが剣を抜いてソーマ達の近くにいるのがクレアには見えた。

「あいつ…!」

「クレアか!」

イリアーはすぐにP226拳銃を抜いて発砲。クレアはとっさにかがんで銃弾を回避する。クレアは武器とフィスカを置いて出てくる。

「な、何すんのさ!?あいつの前に出たらやばいって!」

「説得してみる。無理なら戦う。」

クレアはそういうとイリアーの前に両手を上げて出てくる。イリアーはP226を後ろの木めがけ発砲するがクレアは動じることはない。

「戦う意思がないのか。どういうつもりだ。」

「お前の狙いは私達だろう。こいつらを見逃してもらえないか。」

「何?」

イリアーは目を丸くする。いきなり交渉に入るのを見て疑問符を抱いているようだ。

「私が捕まってもかまわん。ここで射殺されても、な。だが…この3人は民間人だ。武器は持っているがフィスカのを使っているに過ぎない。」

「…あぁ。1マガジン分フルオートで発砲してきたが狙いも甘かったな。だが…司令部から殺せと言われている。」

「お前はそれを望むのか?」

クレアはイリアーの瞳をじっと見つめる。一瞬だが目が泳ぎ、剣の切っ先も震えたのをクレアは見逃さなかった。

「…関係ないだろう。報酬が目的だ。」

「お前もそれほど落ちた人物ではないだろう。原発で戦ったとき、お前も警備員にまったく手出ししていなかった。そんなお前が、民間人を傷つけるのか。」

イリアーの表情がゆがみ、P226をクレアに向ける。クレアはまったくと言っていいほど動じることはない。ソーマ達は声をあげることもできずにじっと2人の様子を見つめている。

「お前の身を差し出してまで守ろうと言うのか。フィスカも。」

「そうだな。所詮は作られた命だ、惜しくもない。今ここで殺すなら殺せばいい。」

じっとイリアーはたたずんでいたが、銃を下ろし背中を向ける。

「何のつもりだ。」

「見なかったことにしておく。行け。」

クレアもこの答えには面食らったのか呆然としていたが、10秒くらいしてからすぐにフィスカを背負いと対物ライフルのキャリングハンドルを持って茂みから出てくる。

「…何故だ。私も殺さないのか。」

「お前が死ねばまず間違いなくお前の仲間は皆殺しになるだろう。目覚めの悪い思いはしたくないが、かといって表立って反逆するのも俺には都合が悪い。」

「……」

「勘違いはするな。貴様らシェルディアの刺客を妨害、暗殺するのが依頼だ。せいぜい背後には気をつけることだ。」

そういうとイリアーは退却する。クレアは安心したのかすぐにソーマに指示を出す。

「すぐにヒナタを運び出せ!撤収するぞ!」

「わ、わかった!」

呆然と今のやり取りを見ていたソーマだが、クレアの声を聞くと直ちにカナリを乗せた担架を担ぎ上げる。イリスが後ろを担当し、そのまま運んでいく。

クレアも後に続き、後方を警戒しながら進む。刺客達はスナイパーであるクレアを警戒しているのか追撃速度が鈍く銃弾も発砲してこない。

道路に出ると黒いワゴンが停車している。クレアは扉を開けると乗るように手招きする。ソーマはイリスとともにカナリの乗った担架を後部座席に乗せ、フィスカも乗り込む。

「はい、ご注文は…って何よあんたら!?」

「車を借りる。1人槍で刺されて一大事だ!」

「は!?」

クレアはすぐに運転手からスーツ姿の女性を下ろす。女性もすぐに助手席に乗り込むが、まったく状況がわかってない様子だ。ソーマがそっと女性に尋ねる。

「あ、あのあんたは…?」

「シェルミナよ。それより何なの!?数十分で駆けつけてほしいといったら…」

シェルミナが戸惑っていると後ろからスポーツカーが追いかけてくる。そして身を乗り出して刺客が銃撃してくる。防弾ガラスのためか窓は割れないが車に衝撃が走る。

「きゃ!?」

「行くぞ!」

クレアがアクセルを踏み込みワゴン車を急発進させる。フィスカはワゴン車の窓を開け、片手にPP28を持つ。

「あのね、クレアだっけ…何なのよこの状況!?」

「緊急事態だ!後部座席に乗ってる奴を病院に届ける。携帯で救急車を呼んでも電波が届かないからお前を呼んだんだ…お前ならすぐに来ると思ったからな。」

「で、私まで狙われてるじゃない!ついたらバンの料金弁償してもらうわよ!後私が撃った銃弾の分も!」

シェルミナは早口でまくし立てながら前部座席の窓を開け、ベネリM3をダッシュボード下から取り出すと発砲する。

刺客側も突撃銃を構え応戦する。するとシェルミナが後ろの人を見て呼びかける。

「あんたたち、グレネードランチャー取り出して応戦して!」

「俺達!?」

「誰がいるってのよ!荷台にRG-6があるから出して!」

ソーマの声が裏返っていたが、シェルミナはベネリM3散弾銃を後ろに発砲しながら答える。すぐにソーマはイリスとともに荷台を調べるとイリスがAT-8を見つける。

「こいつね!ぶっ飛ばしてやるわよ!」

「開けるから遠慮なくぶっ放して頂戴!」

後部の扉が開くとイリスはAT-8対戦車ロケットランチャーを構える。それをみてフィスカが呆然とする。

「あ、あんた何構えてんの!?」

「ぶっ飛べばいいのよ!」

車内でイリスはAT-4を発射する。砲弾は先頭車両脇の地面に着弾、先頭車両は横転してしまうがその脇を黒い車が通り抜けてくる。

「1台撃破よ!」

「バカかお前!?車内でロケットランチャーを撃つな!」

クレアが思わず大声で怒鳴ってしまう。AT-4CSと呼ばれる新型のタイプなので車内が湯気に包まれる程度で済んだが旧型を撃てばランチャー後部から噴出す発射炎で全員が死んでいるところだったのだ。

「くそっ…!」

車内のガラスが一気に曇り、クレアは速度を落としながら運転する。シェルミナはすぐにティッシュでフロントガラスの露を拭く。

「あぁもう何この素人達!こっちの命がいくらあっても足りないわよ!」

「これでいいのか!?」

ソーマがバックミラーにRG-6を移す。シェルミナはうなずくとすぐに撃つように手でサインを送る。

こくり、とうなずくとソーマはぐっと力をこめてトリガーを引く。40mm砲弾が車体に命中するが爆発せず、変わりに車体にくっつくと煙を噴き上げ続ける。

「な、何だこれ…!?」

「粘着砲弾よ。本来は戦車にぶっ放して赤外線センサーなどをジャミングするためのものなんだけど…いい具合ね。」

フロントガラスにくっついた砲弾から煙が吹き上げ続け、まともに運転が出来ず刺客の乗っている車はスピンして停止してしまう。もう1台は追撃をあきらめ引きかえしていく。

「…お、終わったの?」

「終わりよ。あんた達最悪。」

シェルミナはぐったりしながらもスイッチを押し、扉を全て閉鎖する。クレアは表情を崩さないが、そっと札束を渡す。

「迷惑料だ。」

「…あんた達の司令部に迷惑料金割り増しでもらうから。でも受け取るわよ。それと、後ろの2人。」

シェルミナは札束を受け取り、ダッシュボードにしまいながら低い声でソーマとイリスに話しかける。

「な、何よ?」

「ありがとう、といいたいけど指定された兵器以外は触らないで頂戴。特に貴方。ロケットランチャーに何で触ったのよ。」

「…だ、だって映画で・・・」

イリスが言いよどむが、シェルミナはきつい口調で説教を始める。

「いい、狭い場所でそんなもの使えば死ぬのよ!今回は新型をリネージュに納品する予定だったから良かったけど…」

「リネージュに?」

フィスカが話に入ってくるが、シェルミナは咳払いをして話を変える。

「言い過ぎたわね。とにかく素人の判断でいろんなものに触らないで頂戴。」

「何よ素人って!大体ソーマと私がいなかったら撃退できなかったじゃない!それを…」

イリスも言い返すが、ソーマは間に入ってなだめる。

「シェルミナ…さんの言うとおりだ。イリス、俺だってあんなことしないぞ?こんな狭い場所で撃ったら本当に誰も助からなかったんだ。」

「ご、ごめんなさい…」

イリスはしょげてしまい、声を落として謝る。するとフィスカがぽん、と肩に手を置く。

「まぁ、みんな生きてるしいいじゃんか。それより差し迫った問題2つほど解決しないといけないしさ?」

「そうだな。」

クレアは法定速度ぎりぎりのスピードでワゴンを走らせ、病院まで向かう。なるべくヒナタの傷が開かないよう、それでいてなおかつ迅速に向かう。

「ちっ…!」

右折待ちの車をよけ、クラクションを鳴らしながら進んでいくが自転車が車道を走っているのが目に付く。

「何よあいつ、ヘッドフォンして…邪魔よ!」

「シェルミナ、ゴム弾を装填して撃ち落せ!」

「……」

渋い表情をシェルミナがするが、クレアににらまれ仕方なくベネリM3から銃弾を抜きゴム弾を装填する。

「悪いけどどいて頂戴!」

シェルミナがトリガーを引くと銃声が響く。都会の喧騒に紛れ銃声は気づかれなかったが自転車の乗員は銃弾を受けて中央分離帯に衝突してしまう。無事を確認せずにクレアはアクセルを踏み込む。

「行くぞ!」

クレアはわき道から病院へと向かう。前方の大通りが渋滞を引き起こしていたため迂回せざるを得なかったのだ。

わき道に入りクレアはスピードを上げようとするが、急激に車を止めてしまう。前方に道をふさいでいる車がいるのだ。近くに工場があり、ここの関係者が何らかの所要で車を止めたであろうことは想像がつく。しかし狭い道に陣取っているのだ。

「な、何よあれ!邪魔よ!」

「ちっ!」

クレアがクラクションを鳴らすが、ドライバーがいないらしく道を開けてくれない。しかしいまさら引き返し別のルートを通るにしても時間がかかる。

「ソーマ、私に肩を貸して。ちょっとどけてくる。」

「どけるって、そんなこと…」

「いいから!」

扉を開けるとフィスカが外に出る。ソーマもフィスカを支えるために外に出るとフィスカに肩を貸す。

フィスカは何とか乗用車の近くまで到着すると、いきなり剣を抜き窓を叩き割る。

「そんなことをしたらまずいだろ!?」

「盗むんじゃなくてどけるからいいの!」

割れた窓からフィスカが運転席にもぐりこむと、ハンドル下のカバーを剣で切り裂いてからこじ開け、導線を接続してエンジンをかける。

それからバックして工場敷地内部に車をどかすと、また割れた窓から戻ってくる。

「ソーマ、頼むよ…!」

「あ、あぁ!」

鮮やかな手口をソーマは見守っていたが、フィスカに言われすぐに肩を貸しワゴン車に戻る。

「少し時間をロスしたな…行くぞ。」

フィスカとソーマが乗り込んだことを確認し、クレアはアクセルを踏み込み病院へと向かう。路地を抜け大通りに出ると料金表のポールの手前で停車する。目の前に石函救急病院が見える。

「シェルミナ、悪かったな。今運び出す。」

「あーはいはい。せいぜい助かりますように。」

ワゴンからソーマとイリスが担架を下ろす。クレアはフィスカに肩を貸して降りるとシェルミナはワゴンを早速走らせる。

そして病院内部に行くとクレアは受け付けに駆け込む。

「急患だ。腹部に刺し傷、深さは5cm程度だ。すぐに医者を呼んでくれ!」

「わかりました、少しお待ちください。」

受付は冷静に対応する。クレアも深呼吸しながら受付にかじりつきじっと待つ。フィスカはイリスやソーマと一緒にヒナタをじっと見つめている。カナリの呼吸は浅くすでに意識もない。

「…あんたのせいよ。あんた達の。」

「え?」

いきなり、イリスがうつむいたまま声をあげる。フィスカが首をかしげるといきなりイリスはフィスカにつかみかかる。

「あんた達が来なかったらヒナタが怪我しなかったし、ロッカだって・・・!」

「……」

フィスカは何も言い返せずに黙ってしまう。イリスはさらに激しく詰め寄る。

「あんた達のせいよ、何もかも!何か言ったらどうなの!?」

「…ごめん…イリス。」

「謝ったって何も解決しないのよ!ここから出て行ってよ!あんた達のせいでロッカが…」

泣きながらイリスが手を離し、フィスカもしょげてしまう。ソーマも何もフォローすることも出来ず黙ってしまっている。

クレアも話は聞いていたが、何も声をかけることは出来なかった。

「…私たちの、せいか。」

そう短くつぶやくのがやっとで、クレアは受付の声も何も聞こえないままふらふらと病院を出て行く。

「お、おいクレア…」

「ほうっておけばいいのよ!あいつらが来たせいで全部むちゃくちゃよ…!」

イリスは泣き喚きながらカナリへとすがりつく。フィスカはただ黙ってカナリを見つめ、時々イリスも見る。イリスは泣きそうになっているのを見てフィスカはそっと声をかける。

「ヒナタの怪我はまだ浅い。死なないだろうからすぐ戻るよ…私はロッカ助けてくる。」

「フィスカ!?」

ソーマがとめようとする。イリスも目を丸くしつつ引き止めようとする。

「け、怪我してるのにいくつもりなの!?」

「あんた達の友達ってなら行くよ。無事に帰してほしかったら、無事なうちに行ってくる。足の怪我くらい、鎮痛剤でごまかして行ってくるから。」

「ごまかすって…そ、そんなことして大丈夫なの!?」

あまりに無謀なことをするためイリスは戸惑ってしまうが、フィスカはあえて笑って見せる。

「仲間を助けに行かなきゃ、ね?怪我くらいなんてことないよ。」

そういうとフィスカは外に出る。クレアは病院外の階段に座り込み無線をかけている。

「誰と連絡とってんの?」

「リューゲルだ。内通者がいるかどうかをたずねている。」

「内通者?何かよくない響きだね。」

フィスカはため息をつく。内通者などいれば誰も信用できなくなる上に作戦行動に大幅な制約がついてしまう。誰かはっきりさせなければいつもどおり動くことは難しくなるだろう。

「そうだが、可能性を排除しきれん。そもそも今回のサバイバルゲームだが…敵の刺客もそれっぽい服装を着ていた。場所も正確に把握されていた…情報が流出しすぎている。」

「相手チーム拷問して吐かせたんじゃないの?」

「その相手チームをどうやって知った?それに私達が参加するかどうかもわからないのにそのチームになりかわって行動しようと思うか?」

「そ、そうだね…」

フィスカは考え込んでしまうが、クレアは渋い表情をしながら話を続ける。

「情報がどこからか流れているのは間違いない。リューゲルに無線の周波数を変更し暗号コードをリシスに作ってもらったタイプに変更した。破られたら傍受先を全力で叩き潰す。それで相手を拷問して吐かせよう。」

「はいはい、拷問は任せたから。それより奪還作戦どうするのよ?」

「まずは敵軍がどこに行ったか突き止めよう。ナンバーは覚えているから車からあたっていけばいい。所有者、あるいは借主からある程度の地域に特定できる。後はそこからフランス系の企業と思われる連中を片っ端から調べればいい。」

おっけー、とフィスカも答える。少しだけ2人とも表情は明るくなっていた。



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