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十二章 (2) 暴走する装置



(感じる……これは相当まずいぞ)

 荒々しい力が一箇所に集中し、しかも何の目的も道も与えられず、暴走寸前になっている。

(あれが壊れたら、ただじゃ済まない)

 実際にも爆発が起こるだろうし、滅茶苦茶な力の波が街を襲えば、生物も非生物もその影響を受けずにはいられない。いきなり消えたり、形状が壊れたり歪んだり、何かと混ざってしまったり。

〈カゼス! またあなたは考えなしに飛び出して、行ってどうするつもりですか。事態を収拾できる見込みはあるんですか、あなたの方が巻き込まれて大怪我でもしたら何の意味もないんですよ!? 無事に済んでもその髪を人目に晒せば別の危機が来るだけだと分かってるんですか!〉

 追い付いてきたリトルが憤慨した。

〈仕方ないだろ、あれを放ってはおけないよ! ともかく最善を尽くすから、おまえも手伝って。緩衝シールドがあれば物理的な面では大分楽になるから〉

〈言われなくてもそうします、本当はあなたの首根っ子をひっ掴んででも、この場から遠ざけたいところですがね!〉

〈おまえ、いつ手が生えたんだい〉

 しらっといなし、カゼスは風を緩めて滞空した。地上は既に大騒ぎになっていた。どうやら『長衣の者』の支所にいる魔術師たちも、仕事を投げてはいないらしい。それらしい長衣姿が五、六人、兵士と協力して周辺から市民を避難させようと躍起になっているのが見える。

 だが成果は芳しくない。異変の見える範囲に留まろうとして垣を成す野次馬、自宅を案ずるあまり兵に囲まれてもまだ門にしがみつく者。ほかにも兵士の姿があちこちにあるのは、混乱に乗じての掠奪を警戒しているのだろう。

(仕事熱心なのはいいけど、もっと離れなきゃ危ないのに)

 死んだら元も子もないだろう、とカゼスは自分のことを棚に上げて嘆息した。

 それから彼は用心しながら力に触れ、まやかしで自分の姿を消した。仕事熱心な誰かが、カゼスを見咎めて連れ出そうと走って来たりしたら困る。建物の中に入ってからまやかしを解けば、作業の妨げにはならない。

 すうっと建物の裏手に降りると、既に力の歪みは身体に直に感じられるほどになっていた。リトルが緩衝シールドを張り、カゼスもそれに重なるように防壁を作る。

 一番近くにいた魔術師が、それに気付いた。ぎょっとなって振り返り、同僚らしき名を叫ぶ。誰かが無茶をして飛び込んだとでも思ったのだろうか。

 カゼスは急いで出入口を探すと、中に飛び込んだ。まやかしを解きながら当てずっぽうに歩き、短い廊下の途中で開け放しになっている扉を見付けて覗き込む。

「うわっ」

 思わず声に出してしまうほど、そこは酷い有様になっていた。

 転移室だったが、床に描かれた陣は一部が焦げたり消失したりして、それだけでも既に危険になっている。室内に閉じこめられた力が行き場をなくし、てんでに稲妻や騒音や火花となって暴れだしているのだ。

 カゼスは素早く陣を意識でなぞった。その全容が精神に描かれた途端、愕然とする。

(何だこの陣、これじゃ不完全じゃないか!)

 取り込んで利用する、ただそれだけ。変えた力の流れを戻すことも、レベルを調節し可能な限り力場への影響を少なくする措置も取られていない。

(そこは機械が担当してるってことか? それにしたって、こんな陣じゃ力を流す度に劣化するのは当たり前だ。よく今まで利用者が焦げなかったもんだよ)

 なんと杜撰な。長衣の者たちもこれを利用していながら、なぜ気付きもせず忠告もしなかったのか。

 カゼスは怒りを感じながら、意識の中で別の陣を新たに描いた。古い陣と極限まで近く重ねあわせ、力の流れを移しながら古い方を消していく。

 転移室の床に残っていた焦げた陣が薄れていき、その下から浮き上がるように新しい陣が輝き始めた。爆発寸前まで圧力の高まっていた『力』の一部が、堰の割れ目を見付けてどっと押し寄せる。

(間に合え!)

 カゼスが最後の作業を終えて意識を離すと同時に、古い陣のひとかけが弾け飛び、代わって新しい陣がまばゆい光を放った。赤、青、緑に紫、目に見える輝きとなって『力』が陣を巡り、流れ、檻から放たれた鳥のように自然界の力場へ戻ってゆく。

「……ふぅ」

 それを見届けて、カゼスはほっと安堵の息をつくと、今の内にと操作室の方へ向かった。ひとまず危機は脱したが、完全に解決されたわけではない。それに今なら、誰もいないだろうから遠慮なく実物をいじれるし、万一それでどこか調子を狂わせたとしても、元から壊れかかっていたのだから自分の責任にはなるまい。

 そんなせこい事まで考えながら、カゼスは操作室の扉を押した。案の定、鍵はかかっていなかった。緊急避難したのだから、戸締まりする余裕などなかったのだろう。

「ふうん……これがそうか。だいぶ違う雰囲気だな」

 故郷の転移装置は、カゼスも何度か利用したことがある。行ったことのない土地に、写真などの手がかりだけで跳ぶことが出来なかった頃の話だ。

「リトル、今のうちに内部を走査して記録を取っておいてくれるかい。どうせここで私が蓋を開けて中を見たとしても、何が何やら分からないからさ」

「あなたに何か分かったとしたら驚きますね」

「……なんでそう一言余計かね君は」

 思わずカゼスはしゃがみこみ、操作台の角に頭をぶつける。黙ってさっさと仕事しろ、と言いたくなるが、しかしリトルは息継ぎなしの怒涛の小言を繰り出しながらも、簡単な走査ぐらいは片手間でやってのける性能を有するのだ。勝ち目はない。

「本当に誰だよプログラミング責任者は」

 ぶつくさぼやいているカゼスを尻目に、リトルは悠々と機器のまわりを飛んでいる。カゼスが床に落ちていた小石を見付けて、生意気な玉っころにぶつけてやろうと指でつまんだ、まさにその時。

「そこで何やってるの!」

「すみませんっ!」

 厳しい声に咎められ、カゼスは縮み上がって反射的に謝った。次いで、ぎょっとなって振り返る。黒い巻き毛の若い女が一人、仁王立ちでこちらを睨みつけていた。

 慌ててカゼスは立ち上がり、きょろきょろする。ほかに人はいない。どうやら彼女一人が、危険をかえりみず突っ込んで来たものらしい。

「あなたの方こそ、何やってるんですか」思わずカゼスは言い返した。「ここはまだ危険ですよ、原因を解決できたわけじゃないんですから」

「だからあたしが来たのよ。あんたこそ何やってたの。あんたがこの暴走の原因だったら、ただじゃおかないわよ」

「違いますよ! 私はたまたまこの街にいた魔術師で、大変なことになりそうだから慌てて飛んできただけで」

〈カゼス。原因がおよそ特定できました〉

〈え、もう?〉

 リトルの報告に、カゼスはひとまず女を放って装置に向き直る。リトルがふわりと飛んで、筒状のパーツのそばに降りた。

〈作動させた状態をチェックしたわけではないので、確実とは言えませんが、恐らく精神素子の培養が不完全な為だと推測されます。そもそも精神素子としてこちらの技術者たちが認識しているのかどうか〉

「それ何?」

 女がカゼスの肩越しに覗き込む。カゼスは例によって魔法の水晶球と言ってごまかそうとしたが、振り返った瞬間ふと閃いた。

「あの……あなたはもしかして、技術者ですか」

「だから来たんじゃないの。あんた、私の話を聞いてた?」

「すみません、ちょっと確認したかったんです。ということは、つまり転移装置の開発に携わったんですか?」

「そんなわけないでしょ」女が呆れる。「転移装置が開発されたのはもう十年以上前よ。あんた、あたしを幾つだと思ってるの?」

「あ、いえ、その」

 しまった、とカゼスはむにゃむにゃごまかす。だが女はそれも聞いていない風だった。

「あたしが参加したのは三年前の改良計画よ」女は鼻を鳴らした。「正確には、その一部。あたしが関ったのは、力の変換回路とその周辺少しだけ。国家機密だからって他の部分については全く知らされなくて、時々どんな理由だか知らないけど、全体を統括している誰かからの司令で変更や修正をさせられたわ。まぁ全体を知ってたら今頃どこかに幽閉されてるか、下手したら死んでたでしょうから、知らなくて良かったんだけど」

 忌々しげに言って、彼女は転移装置をまるで敵のように睨んだ。

「でも、なんとなくこうなる事は分かってたのよ。自分が担当した部分だけでも、ちょっとこれはまずいんじゃないの、って勘が働くところがあってね。思うに、あの三年前の一斉工事で何かがおかしくなったに違いないわ。ミエリアス回路って分かる? これでいいって言われたんだけど、あたしにはどうも納得いかなかった。他の方法も試させてくれって頼んだんだけど、そのせいで煙たがられてね。仕事を干されて、仕方ないから温泉で不貞腐れてたってわけ」

 ぺらぺらと一気に喋ると、女は「それで」とカゼスを見た。

「その丸いの、何?」

「あなたの仲間みたいなものですよ」

 いろんな意味で、と内心で付け足し、カゼスはリトルをつついた。

「とても優秀な機械です。あなたと協力すれば、転移装置の不調を解決できるんじゃありませんかね」

〈どうだい、リトル? 私じゃこの人の話について行けそうにないんだけど〉

〈仕方ありませんね。貴重な情報源ですし、ともかく問題解決を優先させましょう〉

 精神波でため息を送ってよこしつつ、リトルが合成ボイスで自己紹介した。

「はじめまして。私はリトルです。あなたのお名前は?」

 変に機械ぶった物言いに、カゼスは危うく失笑しかけて顔を背けた。女はそれには気付かず、目を丸くしてリトルを見つめた。

「……何これ、喋るの? ちょっと待って、ねえ、あんたこれがあたしの仲間だって言ったわね、つまりこれが技師だってこと?」

 問いかけられたカゼスは笑いを堪えるのに必死だ。リトルが代わって答えた。

「技術者ではありませんが、その知識はあります。あなたのお名前は?」

「はぁ……驚いたわね。ああ失礼、あたしはワルド=イスハーク。それで、玉っころさん、どこが不具合の原因か分かるの?」

 ぶっ、とカゼスがふきだす。リトルは不機嫌な沈黙を挟み、傷ついた自尊心を隠して平坦な口調を装った。

「ミエリアス回路とあなたがおっしゃったのは、精神素子の網目構造を含む変換回路のことですね。確かに、私の調べた範囲ではそこが一番問題だと思われますが……」

「他にも問題がある、と言いたそうね」

 技術的な話になると、途端にワルドは平静を取り戻し、玉っころ相手に話しかけるという奇妙な構図を気にかけもせず、熱心な議論を始めた。もちろんカゼスには、何のことやらさっぱり分からない。どこかで聞いたような単語を小耳に挟みつつ、転移陣の調子は大丈夫か、機械がどこか火花を散らしたりしていないか、ぶらぶらと行きつ戻りつしながら、二人の話が終わるのを待つしかなかった。

 リトルの指摘を受けてワルドは持参した工具を床に広げ、手早く筐体を分解する。その間も議論する口は休めない。

「つまり力の変換が不完全で還元されないが為に、回路が疲弊して力場に負荷がかかっているわけね。でも開発には魔術師も関っていたのよ? もしそうなら、あの連中から改善するよう要求が来ていたはずだわ」

「気付いていなかったか、この程度なら自然に解消されると楽観していたか、でしょう。政府から新技術を早期実用化するよう圧力がかかっていた可能性もあります」

「いつまで経っても予算を食うばかりじゃ困る、ってわけね。お役所ってやつは!」

 ワルドは皮肉な笑みを口元に浮かべながら、切れた銅線をつなぎ、何やら魔法陣の描かれた小板を差し替える。

「あ、ちょっとそれ、見せて下さい」

 カゼスはその内の一枚に目を留め、手をのばした。てのひらに載せられた板を眺め、やっぱり、と眉を寄せる。これもまた、不完全な陣だ。カゼスはそれに連なる他の数枚も出して貰うと、それぞれの役割と連結を確かめ、一部を描き変えて返した。

「多分これで大丈夫だと思います。どんなに急かされたとしても、ここまで複雑な陣を複数連結させられるような魔術師なら、この欠点に気付かない筈はないと思うんですが」

「わざと残したんなら大事よぉ」

 冗談めかしてワルドは言い、板を並べて嵌め直す。カゼスは顔をしかめた。

「エデッサに戻ったら、セレスティンに訊いてみないと」考えながら独りごちる。「転移装置に関係した魔術師に会えないかどうか……」

「セレスティン、ってライエル女史? あんた、あの人の知り合いなの?」

 作業を終えてワルドが立ち上がる。室内に漂っていた焦げた臭いは、薄れてほとんど分からなくなっていた。カゼスは目をぱちくりさせ、小首を傾げる。

「ええまあ、一応」

「それなら丁度いいわ。あたしからもお願い。そのこと、調べておいて貰える? 親戚の子が確か女史の弟子だった筈だけど、名前も忘れちゃってるぐらいの間柄だから、ややこしい事を頼むのも気が引けてたのよね」

「親戚の子……って、もしかしてラジー?」

「ああそうそう、そんな名前だったっけ。いきなり支所に行って見ず知らずの他人に転移装置のことを調べたいなんて、言えないでしょう。でも魔術師の知り合いって言ったらその子ぐらいだし、本当、困ってたのよね。もうどうでもいいやと思ったりもしてたんだけど、さすがにこんな事故が起こっちゃ、放ってもおけないし。頼むわ、ね」

「はあ……」

 押され気味にカゼスは曖昧な返事をし、それから困り顔で問い返した。

「調べるのはいいですけど、どうやってあなたに知らせたらいいんです?」

「手紙を書いてよ。えーっと、ちょっと待って」

 ごそごそと工具入れやポケットを探り、ワルドは紙と、ちびた鉛筆らしきものを取り出した。何やら走り書きし、はい住所、とカゼスに突き出す。こすれると一瞬で真っ黒になってしまいそうだ。カゼスはリトルにそれを記録して貰うと、一応はそっと丁寧に畳んでおいた。

「局留みたいですけど、いいんですか?」

「ええ、どうせまだしばらくは家に戻らないし、どこに行くかも決めてないからね。そこ……セディアの郵便局なら、どうするにしても立ち寄りやすいのよ。それが無理でも、落ち着いたら転送して貰えばいいわけだし。さてそれじゃ、ここはこれでひとまず大丈夫ね。使っていいんでしょ?」

 元通りに筐体を閉め、ワルドがぱんぱんと手についた埃をはたく。カゼスは転移陣の方を確かめ、支障ないのを確かめてから「大丈夫です」と応じた。

「まぁ一応、何かで試してみた方がいいとは思いますけど……」

「じゃ、外の人たち、入れてもいいわね」

 言うなりワルドが出て行こうとしたので、カゼスは慌ててその腕をとらえた。

「そ、それは待って下さい」

「何よ、何か困るっての? ああそうか、あんたあたしが来るより前にここにいたものね。不法侵入とかなんとかって言われるのが困るってわけか。いいわよ、あたしが適当に言ってあげるから、もうちょっと付き合ってよ。ちゃんと作動するかどうか、あんたも確かめておきたいでしょ?」

「そうじゃなくて」カゼスはいささか疲れた風情で答える。「あのですね。私を見て、何かおかしいと思いませんか?」

「……何が?」

 言われて改めてしげしげとカゼスを眺めたものの、ワルドはきょとんとしてそう答えただけだった。

〈リトル、私の髪、青く見えてるよねぇ?〉

 思わず確認してしまう。ええ、と肯定の返事を貰い、カゼスはますます困惑してしまった。見えているのなら、なぜ驚きも訝りもしないのか。

「髪の色とか……」

 おずおずと自分から言ってみる。ワルドはあっけらかんとうなずいた。

「ああそれ、すごい色よね。どうやってんのか知らないけど、最近流行ってるの?」

 がく、とカゼスは床に両手をついた。

(そうか、言葉は悪いけど専門馬鹿ってやつかな……魔術のことに興味がなければ、ラウシールなんて過去の人、知らなくても当然か)

 助かったような、悲しいような。複雑な気分でため息をつき、カゼスはなんとか立ち直ると言った。

「ともかく、あんまりこの髪を人目に晒すわけにいかないんです。最後まで立ち合えないのは私としても心残りではあるんですけど、人が来ない内に退散しますから、呼びに行くのはちょっと待って下さい」

「あんた、お尋ね者ってわけ? それじゃ、あたしが一人でこれ全部やったってことにするの? 無茶言わないでよ、あたし魔術師じゃないんだから、こっちはともかくあっちの転移陣はどうにもならないわよ」

「そこはあなたが『適当に言って』おいて下さいよ。ともかく、青い髪の魔術師がここにいたって事は内緒にして下さい。ばれると面倒なことになりますから。下手すると、あなた自身も厄介事に巻き込まれかねませんよ」

「大袈裟ねえ、何様よ」

 ワルドは苦笑していなしたものの、それでも一応は「わかった」とうなずいてくれた。

「誰かが逃げて行くのを見かけた、ってぐらいにしとくわ。それじゃ、さっさと出てってくれる? あ、手紙、忘れないでよ。でないとあたしも、今回の事故の報告書をまとめられないからさ。今度こそお上も耳を貸さざるを得ないでしょうよ。辞書ぐらいありそうな報告書を突き付けて、そら見たことか、って言ってやるわ。ついでに仕事干された分の賠償金も請求してやるんだから」

「……まぁ、頑張って下さい」

 カゼスがむにゃむにゃ言うと、何を思ったかリトルが「ほどほどに」と付け足した。ワルドとカゼスは揃って怪訝な顔になり、水晶球を見つめる。リトルは中心のシンボルをくるりと回して言った。

「単身突っ走るのはお勧め出来ません。転移装置の改良が国の指揮で行われたのなら、不具合が出ると予想されていたのに隠蔽した可能性もあります。それを一市民が告発した場合、あまり望ましくない結末が予想されます。裏付け調査は慎重に行い、公表は時機を待って行なうよう、お願いします」

「へえ」ワルドが感心した。「気の利く玉っころねぇ。心配してくれてありがと。そうね、気を付けるわ。仕事を干されるどころか、市民権だの命だのって話になっちゃ、洒落にならないものね」

 またも玉っころ呼ばわりされ、リトルが沈黙する。カゼスは苦笑を噛み殺し、それじゃ、と別れを告げるとそそくさと部屋を出たのだった。


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