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七章 (1) “ラウシール”



 ヴァフラムの部屋には魔術師が四、五人集まって容態を見ていたが、誰ひとり有効な手立てを持たなかった。何度も脈や呼吸を確かめ、毛布や火鉢で体を温めて、精神が戻ってくるまで命の火が消えぬよう祈る。それが精一杯。

 と、力の動きを察知した一人が慌てて壁際に下がり、場所を空けた。直後そこへ、セレスティンとカゼスが現れた。

「長!」

「ライエル様!」

 ああ助かった、と安堵の声が上がる。

「ヴァフラムは?」

 セレスティンが問う間にも、カゼスは椅子に沈み込んだままの右輔を見付け、その手を取っていた。リトルがすぐに状態を知らせる。

〈脈拍と呼吸はありますが、血圧はかなり低下しています。危険な状態ですね〉

「大丈夫、生きてます。すぐに追いますから、呼び戻さないで下さい」

 カゼスは短くそれだけ言うと、セレスティンがうなずいたのを確かめ、床に座って目を閉じた。その時になってカゼスの髪に気付いた他の魔術師たちが、驚きに息を飲む。だがその音はもう、カゼスの耳には届かなかった。

 精神を開くと、目の前に一条の光があった。時空を越えた彼方に続く道標だ。その光の糸が続く先には、荒れ狂う『力』の海があり、その嵐をかいくぐらなければ『狭間』への道は開けない。だがカゼスは迷わず光の糸を取り、帰還のために精神のもやいを元の『場』につなぐと、自らの意志で荒海に飛び込んだ。

 聖堂の時と同じく、ほとんど何を感じる暇もなく、カゼスは一瞬で『狭間』に抜けていた。手にはしっかりと握りしめた一条の光。これだけ引く力が強ければ、狭間に呑まれてしまうことはあるまいが、念のためカゼスは呼び声を放った。

(ヴァフラム)

 めまぐるしく変化する流れの中を、確固とした声が槍のように走り抜ける。光の糸の先で小さな星が瞬いたほかは、何の反応もなかった。

(ということは、もうあっちに着いているわけか)

 そして、ファルカムだか誰だか、呼び声の主と対面しているだろう。カゼスは気を引き締めて、さらに光をたどった。

 唐突に『狭間』を抜け、カゼスは荒野に立っていた。

(どこも似た景色に見えるけど……ここは、あの場所だよな)

 五年前、ファルカムと出会ったあの荒野だ。確かあの木の下で、彼は弟子たちに教えを垂れていた。今は誰も――何も、いない。

 カゼスは茫然と辺りを眺め、それから我に返って、もう一度呼び声を放った。

 今度は確かな手応えがあった。カゼスは急いでそちらへ意識を向ける。風景が後ろへ飛び去り、赤茶けた岩山が前方に現れた。

 その荒涼とした威容を目にした瞬間、カゼスの意識にのぼったのは、

(違う)

 奇妙な違和感だった。光の糸を辿り、ヴァフラムの居所を求めて来たはずなのに、最後の一歩で別の扉をくぐってしまった、そんな感覚。困惑し、カゼスは周囲を見回す。だがほかに行くべき所があるとも思われず、仕方なくカゼスは岩山を登って行った。

(いる――)

 そこに、いる。

 違和感とは裏腹に、謎めいた確信が強まる。無意識にカゼスは先を急いでいた。岩肌に、人が登った跡がある。

 ああ、彼はここに手をかけたのだ。そこには靴の滑った跡がある。

(『彼』? 私はいったい、誰を追っているんだ?)

 焦燥と共に、山の頂に出る。そこに、『彼』はいた。

 カゼスに背を向けて胡座をかき、天を仰いで身じろぎもしない。単純なつくりの質素な衣服は、時代を物語っていた。そして、風にもつれる長い髪の色は――

(ラウシール)

 カゼスがつぶやく。『彼』はぴくりと肩を動かし、素早く振り向いた。カゼスを見据えた目は、髪と同じ、深い海の青。そして――まるで鏡を見ているかのような顔立ち。

 お互いが愕然としたまま、しばし時が止まった。

 先に表情を変えたのは『彼』の方だった。驚きから、ゆっくりと納得のそれへ、そして徐々に穏やかな喜びの笑顔へと。何ひとつ理解も納得もできないカゼスは、相変わらず当惑したまま相手を見つめていた。

(あなたは誰です?)

 ほかに訊くべきことがあるだろうに、カゼスはそんな問いを投げかけた。『彼』はにっこりと嬉しそうに笑い、男とも女ともつかない、若々しい声で応じた。

「レーニア」

 その瞬間、静かな衝撃を受けてカゼスの精神像が揺らめいた。

(……『レーニア』)

 長い間カゼスに届いていた不明瞭な呼び声が、突然強くはっきりした声になる。その単語が、神官あるいは巫子、呪い師といった類の意味を内包することが感じられたが、レーニアとはそのいずれの意味にも収まらない、独特の存在を示していた。強いて言うなら、『力の流れに浴する者』――とでもするのが近いだろうか。

(それは……あなたの、名前なんですか? でも、あなたは……私は)

 私も、そうだ。

 確信がどこからともなく訪れる。呼び声は確かにカゼスを招いていた、レーニアという名ではあったがそれはカゼスを指していた。

 混乱するカゼスの前で、もう一人のラウシールは、天を仰いで何かの印を切った。

「これが答えなのですね。感謝します」

 恐らく彼は、何か悩みがあって神意に伺いを立てていたのだろう。カゼスが現れたことによって、どうやらそれが解決したらしいが、当のカゼスはわけが分からない。

(あの、いったい何がどうなって)

 言いかけたカゼスに構わず、レーニアはつと手を伸ばし、カゼスの背後を指した。

「また会いましょう、『継ぐ者』よ」

 言葉が終わるや否や、カゼスは強制的に彼の示す方へ引っ張られた。

(待って下さい! 待っ――)

 岩山が飛び去り、風景が滲んで消える。カゼスの意識は風に舞う木の葉のように翻弄され、そして、再び『狭間』へと投げ出された。同時に、誰かの精神が光る防壁に守られ、同じく流れに落ちるのが見えた。細い糸が投げられ、カゼスの手に絡みつく。

 蜘蛛の糸に似た感触を知覚するかしないか、色彩の奔流が渦を巻き、『狭間』を飛ぶように抜けていた。

 元の部屋に戻されたと気付く間もなく、意識が肉体に引き込まれ、視界が暗転した。全身が鉛になったように重く、しばらくは息をするのもやっとだった。

「カゼス? 聞こえるかい」

 知っている声がぼんやりと耳の奥に響いたが、それが誰のものかを認識するまでに、随分と時間がかかった。

〈聞こえているなら、気合を入れて生き返った方がいいですよ。人工呼吸を施されたくはないでしょう?〉

 意地の悪いリトルの声で、カゼスは冷水を浴びせられたように跳び起きた。途端に目眩に襲われ、吐きそうになって口を押さえる。

「おっ、起きた起きた。生還おめでとう」

 すぐそばにしゃがんでいたエイルが、呑気に祝福する。カゼスはどうにか吐き気を堪え、情けない顔で辺りを見回した。既にアーロンやナーシルたちも揃っており、セレスティンはヴァフラムの介抱に当たっている。

「……いったい、何が」

 かすれ声でカゼスが問うと、セレスティンが振り返って泣きそうな笑みを見せた。

「無事に戻って来ました。ありがとうございます、本当に……ありがとう、ございます」

 語尾が揺れる。カゼスは茫然と首を振ると、深く長い、本物のため息を吐き出した。ではあの精神が、ヴァフラムのものだったわけか。

「私が……連れ戻したんじゃ、ありません。誰だったのか……」

 なんとかしゃべろうとしたものの、声がひび割れている。カゼスはよろよろと手近な椅子に体を沈めると、自身の体内に精神の糸をめぐらせ、問題がないことを確かめて回復を待った。

 そこへ、のこのことナーシルがやって来て、水のグラスを差し出した。

「なんか大変なことになってるみたいだとは思ったけど、まさか魔術師の失踪が全国規模だったとはねぇ」

 けろりと言われ、カゼスは危うくグラスを落としそうになった。顔を引きつらせ、誰が話したのか、と連れの面々を順に見る。エイルが慌てて首を振り、セレスティンは眉をひそめ、リュンデは困惑顔をした。最後にアーロンが、目をしばたたかせて「あれっ」といまさらに驚く。

「話しちゃまずかったですか? てっきり、その……仲間なんだとばかり」

「…………」

 カゼスは眉間を押さえた。なんだってこう、頭痛のするようなことばかり次から次へと起こるのか。と、そこではたと気付いてカゼスは顔を上げた。

「ナーシル、今、なんて言いました?」

「何って」ナーシルがきょとんとする。「魔術師の失踪が……」

「全国規模だったとは、って言いましたよね。ということは、あなたも失踪については既に情報を掴んでいたんですね?」

 あっ、と一同がナーシルを見る。注視にさらされ、初めてナーシルは一本取られたような顔を見せた。

「ありゃ、しまった。案外あんたも、言葉尻を捉えて揚げ足を取るのが上手いんだな」

「それは褒め言葉じゃありませんよ。で、どうなんです。白状しないと、手が後ろに回っても知りませんからね」

 珍しく脅しをかけたカゼスに、ナーシルが大袈裟に首を竦めた。

「自分の城だと強気だね、ラウシール様。そりゃ俺も、魔術師だらけの学府であんたに楯突くほど馬鹿じゃないけどさ。なんか嫌だね、こういうのは」

「私だって嫌ですよ」カゼスはうんざり顔でため息をつき、水を飲む。「でも今は、腹の探り合いをしたり、余計な考えを巡らせたり出来るほど、気力がないんです。話を進めてくれませんか、ナーシル」

 ほとんど投げ遣りに言われて、ナーシルはおやおやと言いたげに眉を上げた。何を考えてか、しげしげとカゼスを眺め、それからちょっと肩を竦めて答える。

「分かったよ。うん、確かに俺たちも失踪のことは気付いている。そもそもは警備隊が教えてくれたんだ。おまえたちがやったんじゃないのか、ってね」

「……なるほど。あなたたちの主義に反対した魔術師が消えた、というわけですか」

「偶然だけどね」ナーシルは頭を掻いた。「それに、反対と言っても露骨に対立したわけじゃない。俺たちが話をした相手は『共感はするが協力はできない』と応じた、それだけさ。口でも拳でも争っちゃいない。でも間が悪かったよなぁ。どうせ失踪するなら、もうちょっと時期をずらしてくれたら良かったのにさ」

 ナーシルはわざとらしいほど迷惑げに眉をひそめた。

 二人のやりとりを聞いていたセレスティンが、徐々に険しい表情になる。

「まさかナーシル、あなた……」

「多分お察しの通り。俺はいわゆる、デニス解放の志士ってやつだよ」

「――!」

 セレスティンと、ほか数名の魔術師が息を呑み、警戒のまなざしを交わす。空気が剣呑になった中、自らの立場を暴露したナーシルは、相変わらず飄然としていた。

「まぁね、誤解を招くような類似の連中がいることは認めるよ。でも俺たちは……ラウシール様には言ったけど、ならず者の集団じゃない。暴力的な手段に訴えるのは、最後の最後だ、ってのが俺たちの約束事なんだ。だから警備隊が、あれもこれもおまえらの仕業だろう、ってねじ込んで来た時には、それこそあんぐり口を開けちまったね」

「警備隊にしてみたら、ともかく犯人を挙げたかったんでしょう。あなた方ならうってつけだったわけだ」

 やれやれ、とカゼスが口を挟む。「そういうこと」とナーシルも苦笑した。二人の様子に、セレスティンが失望を隠せない様子で詰問した。

「ラウシール様。この人がそうした活動家だとご存じで、連れていらっしゃるのですか。あなたがこの地においでになったのは、やはりデニスという国の為なのですか? エンリルの前でおっしゃった事は嘘だったのですか」

「私はそんなややこしい演技が出来るほど、芸達者じゃありませんよ」

 カゼスは苦笑し、ようやく椅子から腰を上げた。

「ナーシルがそういう人だと知ったのは、ついさっきのことです。ただ彼は今のところ、強引な勧誘はしないと言っていますし、だったら、彼がデニス独立を求めているというだけの理由で、解雇して追っ払うわけにもいきません。実際、腕っ節を当てに出来るのは、今のところナーシルだけですしね」

「その点は頼りにしてくれていいよ」

 にこにこと愛想良くナーシルが請け合う。もちろん、セレスティンはじめ学府の魔術師たちは、揃って顔をしかめたが。

「おっしゃる事は解りますけれど」なおもセレスティンが抗議する。「危険ではありませんか。ナーシルが暴力に訴えなくとも、彼の仲間は違うかもしれません。それに、エンリルが彼の事を知ったら、あなたにも何をするかわかりませんよ」

「そうですねぇ」

 カゼスは怒れる総督の姿を思い浮かべて苦笑し、ついでにその後の成り行きをも思い出して、ややおどけた顔をした。

「その時はまた、あなたが助けてくれそうな気もしますけど」

「私は彼に反対は出来ます。でも、彼を止める力があるとは思えません」

「そうですか? まぁ、だとしても、あの人にしてみれば、下手に動いて私と魔術師全員を敵に回すよりは、少しぐらい不安があっても泳がせておく方が、得なんじゃありませんかね。偉い人の考えはよく分かりませんが……」

 カゼスの言い草に、エイルが失笑した。師長だって充分『偉い人』なのに、と言いたいのだろう。カゼスは視線だけでそれに応じ、それから何気ない風情でぶらぶらとナーシルに歩み寄った。

「まぁそういう事情はこの際、ちょっと横に置いておきましょうよ。こんな事を言えるのは、私がよそ者だからかも知れませんが…… 事態をどうにかするには、立場だのなんだの、常識的なことに構っていてはいけない気がします。というわけでナーシル、あなたもひとまず自分の立場をその辺に避けて、答えて貰いたいんですけどね。警備隊がねじこんで来たってことは、あなた方の活動に協力ないし賛同している魔術師は、失踪していない、と考えてもいいですか?」

 ナーシルが目を剥いた。セレスティンが絶句し、魔術師の何人かが口をぱくぱくさせ、アーロンは小さく息を飲んだ。

〈あなたにしては、鋭いですね。いい質問です〉

〈ボーナス点をくれるかい?〉

〈失点を埋め合わせるには程遠いですがね〉

 ちぇっ、けち。カゼスは内心で小石を蹴飛ばしながら、顔はにっこりしたまま言った。

「答えにくいとは思いますけど、別にその人たちの名前を出せと言ってるわけじゃありませんよ。いるんでしょう? そういう人たちが」

「あんた……」

 ナーシルは呆然とした。与しやすい相手だと思っていたのに、気付けば自分の方がいいように情報を引き出されているとは。これはまずい。その思いが、目元の険しさになって表れる。

 相手の表情を読んでカゼスも真顔になり、小さくうなずいて見せた。

「最初にあなたに隠し事をしたのはこちらですから、公平ではないかも知れません。でも、あなたが隠したり嘘をついたりせず相談に乗ってくれるのなら、私もあなたに嘘はつきませんし、隠し事もしません。私は今、何が起こっているのかを知りたいんです」

 恐らくはそれこそが、自分を呼ぶ声の正体を突き止める鍵だろうから。

 カゼスは真摯なまなざしでナーシルを見つめる。

「…………ふぅ」

 ややあってナーシルがため息をついた。彼はまたおどけた表情に戻り、苦笑しながら首の辺りを掻いた。

「ラウシール様に、そんな風に見つめられちゃ参るなぁ。うーん。だけどさ、俺が白状しちまったら、そこの長殿や何人かのお偉いさんは、困るんじゃないかな?」

「知らないままの方が困ると思いますよ」

 けろりとカゼスが言ってのけたもので、ナーシルは笑いだしてしまった。

「あんたも結構、面白いね。ああ、そうだよ、確かに俺たちに賛同してくれる魔術師もいるし、俺が知る限りでは、その連中は消えてない。なんでだろうね」

「『糸』の先を見ていなければ、それこそ、独立を目指す過激派の仕業だ、と言うところなんですけどね」

 カゼスは言い、ついと視線をそらした。ナーシルが「糸?」と変な顔をする。カゼスの視線の先では、ヴァフラムがようやく正気付き、学府の魔術師から水を受け取ったところだった。

「ええ。彼が犯人を見た筈です。時空を超えた向こうから、呼び声を使って魔術師たちを引き寄せていた張本人。どういう基準で人を選んでいるのかは分かりませんが、セレスティンが調べた限りでは、失踪が始まったのは『長衣の者』の末端からでした。気付かれないように、ということでしょう。加えて今、その政治的な立場も影響するらしいと分かったわけです」

 淡々としたカゼスの説明を聞きながら、ナーシルはちらちらとセレスティンに目をやった。聞いてもいいのかな、と問うように。セレスティンの方でも不安げな顔をして、カゼスとナーシルを何度も見比べていた。

「ラウシール様……」

 遠慮がちに、それでもどうしても抑えられない様子で、セレスティンがカゼスの話を遮る。と、カゼスは振り向いて苦笑した。

「その呼び方も、変えて貰わなくちゃいけないかもしれません」

「え?」

「私が見たのは、魔術師たちを呼んでいた当人かどうかはっきりしませんでした。ですが……間違えようもなく、青い髪をしていたんですよ」

 皆が一様に息を飲んだ。すぐには誰もが何を言うことも出来ず、沈黙が続く。カゼスは一人一人の顔を順に見つめていき――エイルの意味ありげな視線を受けて、うなずいた。

「どうやら私は、本来自然には存在しえないもの、だったのではなく……いつか、どこかにいた者たちの仲間だったようです。厳密に同じなのか、それに似ているだけなのかは分かりませんが。ラウシールという古語があることからして、気付くべきでしたね。青い髪の人間は私一人じゃない、って」

 つまり、幼い頃にぼんやり夢想したことは、間違ってはいなかったのだ。どこかに青い髪の人ばかりの国がある、という夢は。

〈驚くべきことですが〉リトルの精神波も何か感動のような気配を交えていた。〈理論上は、その方が筋が通ります。たとえ現生人類を基にしたとしても、見た目も生態も異なる新しい人類を創造するなど、数億分の一以下の確率でしょう。それよりは、既にあったものをどこかから見付けてきたと考える方が自然です〉

 それに同意するかのように、エイルもぽつりとつぶやいた。

「確かに、その方がありえそうだ。未発見の記録あるいは遺物を隠匿し、それをもとに再現した……罪深さに変わりはないな」

 二人だけの会話に、周囲が訝る目を向ける。カゼスは肩を竦めてごまかした。

「ともかく、ヴァフラムさんの回復を待って、話を聞きましょう」


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― 新着の感想 ―
[良い点] 仲間がいるなんて、LOSTの頃のカゼスさんなら、泣いて喜んだかも知れない……! けど、どうにもこれは素直に喜べなさそうなお互いの状況。 カゼスさん、帝国復活の頃より更に頼りになる魔術師長さ…
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