変態じゃないんです!匂いフェチなんです!
なんで。なんで、なんで、なんでなんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!!
なんで俺より紗代を優先するの。 --紗代置いて俺の所来てくれたのは分かってる
なんで俺と居るのに紗代のところ行くの。 --付き合ってるからしょうがないって分かってる
戎が俺のこと好きじゃないことぐらい、戎の中で俺が一番じゃないことぐらい
戎が俺のものじゃないことぐらい、痛いほど分かってる。分かってる分かってる分かってる!!
全部全部分かってるけど、玄関が閉まって数十秒後、俺は玄関に泣き崩れた。
涙があふれてあふれてあふれて。
アリスみたいに、涙が海になって溺れるんじゃないかとおもった。寧ろ溺れたかった。
呼吸困難になって、なんにも分からなくなって、戎の思い出だけ残ればいいのに。
泣き過ぎてしゃっくりが止まらなくて頭痛くて目も喉もいたくて、意識が浮上してきた。
泣きながら気絶とか、我ながら笑える。
足元みると、涙の水溜り。海にはならなかったみたいだね。
母さんと父さんは昼帰り。俺とは会わない。昼は学校だし。姉さんは論外。年中家出。
ダイニングに戻ってソファーに座る。戎が座ってた所に顔を押し当てる。微かに戎の匂い。
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