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ビンタはやっぱり流行りみたい。決定。
「落ち着いた?」
「うん・・」
「そ。中入るよ」
戎の腰にくっ付いたまま離れない俺を確認して、俺をズルズル引き摺りながら家の中入っていく。
ダイニングのソファーに戎が座って、俺は自然と戎に向かい合わせで跨る感じで座る。
胸に頭寄せてたら、戎に顔掴まれて上向かされた。
「お前、いっつも殴られてるよな」
「殴られて無いよ。ビンタだから」
「おんなじだ」
「ふーん」
一応、俺は心から大好きだった子達が、俺に手を挙げて殴った疑惑?をかけられたから
庇ってみたけど、同じなんだって。ビンタと殴るは違う気がするけど。まあいい。
「ビンタ、流行ってるのか?」
「あ、それ俺も思ってた。なんで皆ビンタ?」
「なんでだろうな。位置がちょうどいいんじゃね?」
「・・むか。流行ってるだけだと思います」
それって、腕を上げた高さに顔があることバカにしてる。俺が背低いことバカにしてる。
俺が睨んでも、笑う戎。まあ許すけど。
「戎は、何してたの」
「紗代と居た」
「・・ふーん」
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